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海外ビジネス コラム

市場動向 2014年10月07日

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「タイ・プラスワン」が加速する3つの要因とは?

堀 明則(Hopewill Group)

タイ・プラスワンとは何か

少し前の話になりますが、タイ憲法裁判所は、2011年の政府高官更迭人事問題に対し違憲判決を下しました。インラック首相と当時の閣僚が即時失職ということになりました。東南アジア経済を牽引してきたタイの不安定は大変な心配事です。

さて、数年前に生産・販売活動の中国偏重に危機感がうまれ、チャイナ・プラスワンなる言葉がよく聞かれるようになりました。中国の労働コスト、人民元動向、政治動向、市場動向に、企業活動が大きな影響をうけることへの危機感でした。
チャイナ・プラスワンの考え方は尖閣問題をピークに一気に加速し、中国進出を検討していた企業の軸足を東南アジアに向かわせることになりました。

東南アジアでは主にベトナム、タイが第一候補先として検討されることになり、チャイナ・プラスワン機運にのってベトナムやタイの再躍進が始まりました。そして、一足先に外資集積を実現させていたタイにおいては、労働コストの上昇や、中国同様に政治的リスクの顕在化もあり、「タイ・プラスワン」なる言葉が聞かれるようになってきたわけです。

タイ・プラスワン地域とは主に、ミャンマー、カンボジア、ラオスをさします。今回のコラムでは、「タイ・プラスワン」について発信させていただきます。
何かと話題のミャンマー、カンボジア、ラオスなどを理解いただく一助にでもなれば何よりです。

さて、タイ・プラスワンとは、タイに集積している事業工程のうち、労働集約的な工程を、タイよりも労働コストが安価で、かつ労働人口の容易な確保が見込めるミャンマー、カンボジア、ラオスに移管させる動きをさします。移管先は主に、それぞれの国の経済特区といわれる地域になります。
それぞれの国の外資受け入れ態勢の未成熟さを、経済特区はと特例的に整備し、外資の投資を容易にしているわけです。

チャイナ・プラスワンとの大きな違いは、製造拠点そのものの移管を考えるということよりも、タイが抱える問題を補完するために、「分業」を実現するというところにあるかと思います。
もちろん、チャイナ・プラスワンとタイ・プラスワンに共通する大きな問題として、「労働コスト高」「現地通貨高」「労働人口減少トレンド」があげられるわけですが、チャイナ・プラスワンに関しては、ここに加えて共産党一党独裁による、不条理や方針転換の可能性が事業リスクになってゆくことが大きなポイントです。

チャイナ・プラスワンは、中国から東南アジアへの全工程一括分散を加速させました。その受け皿になった国がタイであり、ベトナムというわけですが、今そのタイから周辺国への部分的工程分散が活発化してきているということ、これがタイ・プラスワンであり、チャイナ・プラスワンとの相関になるといえます。

タイ・プラスワンが加速する3つの要因

上述の通り、このタイプラスワンが現実味を持ち始めた背景には、「労働コスト高」「現地通貨高」「労働人口減少トレンド」があげられます。タイの失業率は1%を下回り、賃金水準はこの2年間で30%以上も上昇しました。
加えてタイ周辺の後発新興国が外国企業の投資受入地として成長してきたことも、タイ・プラスワンが加速する大きな要因となっています。
直近の成長率では、先行するASEAN諸国を上回り、いずれの国も中所得国へ移行する過程にあります。

そして、タイ・プラスワンは、今後、以下の3つの要因によりさらに進展する可能性が高いと考えられます。

まず第1はミャンマーの本格的参入です。
ラオスとカンボジアは人口が少なく、タイの労働集約的生産の受け皿として十分ではありません。
これに対し、ミャンマーはタイと同規模の人口規模を有するため、サプライチェーンの長期的なコストダウンが可能となるはずです。また、ダウェイを結ぶ道路整備が完成すれば、タイの生産集積地から、マラッカ海峡を経ずに、インド、中東、アフリカに向けた輸出が容易になるという利点もあります。

第2に、タイ国内の輸送インフラ整備の進展です。
2013~20年に2兆バーツ(約7兆円)の資金を投入して進められる輸送インフラ整備には、バンコクと近隣諸国をむすぶ新規鉄道の建設が含まれており、これを通じてタイを中心としたサプライチェーンの輸送コストの軽減が期待されます。

第3に、国際金融機関による同地域支援によりインフラ整備が進む見込みです。
アジア開発銀行(ADB)が事務局として推進する大メコン経済圏(GMS)開発プログラムでは、道路網と電力供給の整備が強化される見通しであり、日本も同調しています。

しかし何よりも重要なことは、冒頭にふれましたタイの目下の政情不安を取り除き、発展の中心国として安定感を取り戻せるかどうかが大変に重要ですね。

皆さんはいかが思われますか?

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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