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海外ビジネス コラム

市場動向 2016年12月26日

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【特集2016年総括・2017年展望】リンギ安に喘ぐマレーシアの光明は?

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

今年のマレーシア経済の総括をするにあたっては、あまり明るいニュースがなかった一年と言わざるを得ません。その根っこにあるのが、通貨リンギット(リンギ)の歴史的な下落です。現在のところもマレーシアリンギが対ドルで大幅に下落しており、18年ぶりのドル高・リンギ安水準に迫っています。閉店する飲食店や建設を中断したショッピングモールがあったり、人の採用や広告・販促を控えたりなど、心理的にもリセッションが始まったという声が出始めています。マレーシア中央銀行は12月2日に通貨安対策を打ち出しましたが、来年に向けての先行きはなお不透明です。

その要因として、一つ目は以前のレポートにも書きましたが、11月19日に国営投資会社「1MDB」を巡る不正資金疑惑が出ているナジブ首相の退陣を求める大規模デモが開かれたことがあります。政権運営の先行き不安が海外投資家の保有率が高いマレーシア国債の売り圧力につながりました。

二つ目として、昔から原油依存度が高いマレーシア経済ですが、世界的な原油価格下落により、大きな影響を受けたことです。11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会で減産が決まったことから原油価格は上昇に転じていますが、シェールオイルなど代替燃料の増産という動きも出ており、今後とも原油やパームオイルの上値が重いのではと言われています。

さらに加えて三つ目ですが、ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝って以降、同氏が掲げる積極財政を材料に米長期金利が上昇しています。それを受け、今後米国への資金集中が強まるとの見方からリンギ売りにつながっているという側面もあります。

このように世界経済の波の中で「三重苦」ともいうべき影響を受けているマレーシアでは新興国経済の脆弱性が浮き彫りになった形となり、来年以降のリンギ相場に懸念が広がっています。

もちろん歴史が証明するように、景気には必ず上げ下げの波があります。過去もリーマンショック・ドバイショック・ギリシャショックなど対岸で引き起こされた事象が世界の隅々にまで簡単に波及する一方、それを凌げば何事もなかったかのように景気が上向き、様々な投資案件が動き出しています。マレーシアもそうしたことを繰り返してきた国なので、輸出産業がリードを続けてくれたり、新幹線を代表する内需プロジェクトでカバーしたりすることでこの苦境を凌ぐことができれば、来年2017年以降は上向きに転ずるのではと考えます。またリンギが歴史的に安いということは、外国から見ればマレーシア企業が割安に感じるはずなので、いまのうちにどんどん投資されやすいということでもあります。政府がさらなる規制緩和を戦略的に行うことにより、外貨獲得につながるとも思えます。来年以降、マレーシアにとって何らかの明るい兆しが出てくることを願います。

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鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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