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海外ビジネス コラム

商習慣 2013年01月09日

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ガラパゴス携帯は何が問題だったのか? 日本企業が海外に進出「しなくてはならない」理由

吉越 浩一郎(吉越浩一郎事務所)

さて、今回は日本企業が海外に出ていくことについての意義について述べましょう。

ようやく、といった感じですが、いまでは日本企業がこぞって海外に目を向けています。結論から言うと、出ていくことは個人ベースでも会社ベースでも非常にいいことです。

 

そもそもなぜ日本から企業や会社が出ていくのか、ということを考えてみてください。それは、今の日本に閉塞感を感じいいる事も大きな理由になっっています。先日、私の所属するロータリークラブで慶應義塾大学の元塾長さんがお話をされて下さいましたが、その講演タイトルも「日本の国難を想う」というものでした。政治においても経済においても、いまや誰に話を聞いても同じ事を心配しているのです。

しかし、それではその閉塞感とは一体どこから来るのでしょうか? それは日本では何も進まないと思っているのと同時に、海外の動きとの比較から来るものと言ってよいと思います。つまり、閉塞感を抱いているということは、何が「良い」かが、わかっているということ。少なくとも今のままではまずいというのを周りと比べて思っているわけです。そこにハングリー精神さえあれば、相まって大きなエネルギーになります。危険なのは閉塞感を抱かずに漫然と過ごしてしまうことです。ですから海外に出ていき、いろいろなことを具体的に体験し、海外から日本を見れる立場に立って、改めて日本を見つめてほしいと思うのです。そうすれば、また日本でのビジネスチャンスも見えてくるはずです。

 

ほんの少し前には主流であった日本の高機能携帯電話が、ガラパゴスケータイ、通称ガラケーと揶揄されています。しかし、問題なのはケータイではありません。そのようなケータイを製造していた企業でもありません。ガラパゴス島でのイグアナが特殊な進化をしたように、日本という島にいて、そこでガラパゴスケータイを求め、作り出していった日本人そのものが問題なのです。世界から見ると、日本人が特殊な動物になってしまっているということなのです。

ですから、日本人であれ日本企業であれ、海外に出ていくのは大いに賛成です。そうしなければ、日本人は今後ますます特殊な動物になっていってしまって、海外では勝負できなくなってしまいます。世界という広大な市場を取り逃すだけならまだいいのですが、日本企業の存在感は日本においてすら危うくなってしまうでしょう。

 

また、前回の話にしても、海外の市場は本当にスピードが早く、判断がどんどん求められます。ましてや、そんな海外でイチから会社を立ち上げ、勝負していくというのは本当に日々判断を積み上げていく連続です。現地での活動を通して、判断能力、すなわち前回お話したトップダウン能力が嫌でも鍛えられることになるでしょう。

またそれと同時に、海外で経験を積み、自分が持つ選択肢の幅を広げていくこと、さらには多くのノウハウを知っておくことが、これからの日本で活躍するには必要です。ですから、できれば海外で経験した後にそれを日本という国に還元していってほしいと思うのです。是非、そういう想いを持って、海外に出ていって欲しいと思います。

 

実際、海外に出ていくとどういうことに気づくと思いますか?

その一例として、こんな言葉があります。「ジャパン・ナッシング」。日本が高度経済成長を遂げていたときは「ジャパン・バッシング」でした。その後バブルが崩壊し、しばらくは「ジャパン・パッシング」と言われていました。今では、こと経済において日本のことはほとんど話題になりません。「ジャパン・ナッシング」なのです。しかもナッシングと言われるようになってから、もう相当時間が経っていますので、今ではそんなことさえ言われなくなりました。多分こう言った表現は、その折々にふれて、日本人が自らそう名付けたことなのでしょうが、実際に今海外に出ると、日本に関する話題がほんとうに少ないことに気がつきます。そういった状況に危機感を感じる方も多いはずです。

 

そういった中にあって、逆に、日本の良さも見えてきます。これほど社会インフラが整い、安全で暮らしやすい国はありません。また、日本人は本当に真面目で、勤勉です。私の友人のフランス人が以前日本を訪れた時、道路工事現場で旗を振って交通整理をしている人をみて、彼はとても感動して言っていました。「なぜ日本人は誰も見ていないところでも仕事をサボらないできちんとやるのか? まずフランスの工事現場には交通整理をする人間など配置してないけれど、万が一いたとしても、こんな事をしたくもないという顔をして、どこか座り込んでいるのが関の山だ」と。

海外に行くと、日本の当たり前が通用しません。良い面は、世界と戦う武器になる。悪い面は、日本で戦う武器になる。そうしたことの一つ一つを考えていくことがビジネスでは非常に重要だと思います。

 

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吉越 浩一郎

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