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海外ビジネス コラム

商習慣 2013年02月18日

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即戦力の時代はとっくに到来! グローバル人材は、実践で役立つスキルを大学時代に身につける

吉越 浩一郎(吉越浩一郎事務所)

「日本人は優秀である」は幻想? トリンプ時代のIT部門で感じたこと

日本人は優秀である、そうした考えを持っている方は多いと思います。しかし、はっきり申し上げて、教育水準がどんどん上がってきているアジアでは、もはや、そんなことは全く言えない状況にあります。

トリンプ時代、インドのIT技術者を何人も高給で雇っていました。IT部門長はイギリス人。彼らは皆、非常に仕事ができ、自ら積極的に考え、色々と提案を出してきてくれる優秀な人材でした。ただ、IT部門に日本人が一人もいなくなると具合がわるいので、新卒の日本人を採用しようとしたことがあります。試験や面接を重ね、有名な大学の電子工学部の2名を最終面接に上げました。しかし、インドの技術者がどうしても受けいれようとしてくれません。話を聞くと、ITへの理解レベルが低すぎる、とのこと。私も諦めきれなかったので、その日本人学生に話を聞くと、大学では、2年間は教養、3年目でようやく専門過程に移るが、最初は基礎理論の講義が中心なので、就職活動で面接を受ける段階では、そんな難しい質問をされても答えられない、とのことでした。

インドでは、大学でITを勉強していると言ったら、卒業したらすぐにSEやプログラマーとして働けるということを意味します。そうでなければ、大学に行く意味なんてないと考えられています。大学とは実践で使える技術やスキルを教えるところなのです。学生もそれを求めて入学してくる。だから、4年間死ぬ気で勉強して即戦力として耐えうる力を身につけて卒業していきます。これに対し、日本の大学は仕事に必要なことを教えません。そして、日本企業もそれを承知で、日本人を雇っていく。だからこそ先程のような問題が起きたのです。

「教養よりも仕事のスキル」が、グローバールスタンダード

もちろん、海外で活躍するためには、教養があることも大事です。しかし、仕事のスキルは更に重要。それを後回しにし、のんびりしていると競争社会で取り残されてしまいます。
フランスで個人タクシーに乗ったら、運転手がドクターの資格を持っていて、ハーバード大学で2年間研究していた人だったということがありました。しかし、その2年間で思ったような結果が出せなかったこともあって、将来的にも不安定な職場を嫌って、今では家業の個人タクシーの運転手をやっているとのこと。今は、そういう時代なのです。大学で何の技術を身につけなくても、良い大学さえ出ていれば、なんとか働き口が見つかる日本という国の中で、守られている日本人の若者たちは、まもなく現実を知り、焦り始めるはずです。即戦力が求められる時代、大学でそうしたことを学べない日本の学生は、自らそれを身につけていくか、教えてくれるような海外の大学に場所を求めていかなくてはならないでしょう。

日本を変えようという気概を持って海外と向き合ってほしい

一方、海外への移住は、少しずつ増えているそうです。しかし、若いうちにハーバードに留学する人は減ってきています。実はある出版社に、『日本を捨てられる日本人になりなさい』というテーマで原稿執筆を頼まれました。同じ海外進出でも、「海外に出て、成長して日本に戻り、日本を変えよう」ではなく、「もう日本はダメだから、海外に逃げだそう」という思考なのです。残念ながら、前者のように考える野性味のあふれている人は減ってきているように思います。
このコラムは、チャレンジしたい企業の方々が読むコラムと聞きました。私は、とにかく日本が良くなって欲しいと祈っていますので、海外で経験を積んで自信を持ってリーダーシップを発揮できるようになって戻ってきて欲しいのです。

私は、仕事を終えた今、1年の内半年を海外で過ごし、フランスにいることが多いです。「なんと贅沢な」と思われるかもしれませんが、実はフランスにいるほうがお金はかかりません。世界の国々では、今の日本が置かれているような状況になった時には、国民たちはあっという間に他の国に移ってしまうでしょう。日本でもそうした流れが少しずつ始まっていますが、その速度はとても遅い。それは日本の良さをよく知っているからこそなのかもしれませんが、今は日本の悪い所をなんとかしないといけないのです。だからこそ、若い人たちには外に出ていって、しぶとさを身につけ、何にでも挑戦していけるほど、強くなって日本に是非帰ってきてほしいと思います。むしろ、閉塞感こそが出発点と考え、自分たちの考える理想に向かってチャレンジしていってほしいものです。

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吉越 浩一郎

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