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海外ビジネス コラム

生活・文化 2014年05月12日

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タイ、インドネシア、ベトナム、インドを、生活者と消費の目線から見る(5)

山崎 督(株式会社朝日広告社)

小分けパッケージ「サシェ」をどう見るか see ‘Sachet’ on the mid-term strategy

本コラムは、アジアエリアの中でも注目度の高い四カ国―タイ、インドネシア、ベトナム、インド―を対象に、マーケティングの視点から重要と思われるポイントを抽出しています。

対象としている四カ国(インド、タイ、インドネシア、ベトナム)の内、タイを除いてサシェと呼ばれているパッケージが市場に出回っています。これは写真にあるようにシャンプーやトリートメントなどが小分けにされているもので、旅行用やサンプル商品ではなく、低所得者層が日常的に購入し使用している商品です。

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サシェを購入する大きな理由は、一回の購入の出費を抑える、というものです。内容量と金額から判断すると通常パッケージを購入した方が安上がりにもかかわらず、生活の現状としてはサシェを購入せざるを得ない、という現実があります。薬品なども小分けにして販売される事があるようです。
販売されているブランドもローカルブランドとグローバルブランドが混在しており、ブランドを選ぶ理由は「品質」が重視されているのは各国とも共通です。

新興国の急速な経済発展に伴い、今はサシェしか購入できない低所得者層が通常サイズのパッケージを購入する中間層になる日はそう遠くはありません。現状の彼らの生活の状況に合わせサシェを提供しブランドロイヤリティを高めておく事は中長期のビジネス戦略においては十分に検討する価値のあるテーマと考えられるでしょう。

トリートメントは使わない? 100% shampoo v.s. 26% treatment

ここでサシェに関連した事例をご紹介します。写真はインド、デリーの近代的なスーパーで販売されていたシャンプーの写真です。サイズは80mlと小さめのパッケージで、そこに同ブランドのトリートメントのサシェが付けられています。

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これは通常であればトライアルによるブランドスイッチを狙った施策と考えてしまいますが、インドの場合は別の要因も存在します。

インドのシャンプーの使用率は他国と同様に100%ですが、コンディショナー/トリートメントの使用率は26.3%と低く、このサシェの貼付はブランドスイッチと言うよりコンディショナーそものもの利用促進といった側面があります。シャンプーと一緒に使用すれば、その効果は感じられるでしょうから、当然効果の見込まれるプロモーションと考えられます。

しかし、現地のマーケッターに取材を重ねると、新たな要因が見いだされました。インドでは「洗髪の前にオイルで頭をマッサージする習慣」がある、という事です。これは今回の調査でも質問項目には取り入れられていませんが、かなりの比率で行う習慣らしいです。そしてオイルマッサージを行うと髪の毛も滑らかになり、シャンプーの後のコンディショナー/トリートメントの必要性を感じない、というコメントを得ました。

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実は変化を求めていた need to change lifestyle with treatment

この事を勘案しますと、コンディショナーやトリートメントについては、新たなカテゴリーとして生活者に提供するだけでなく、彼らの生活スタイルの一部を変える必要性がマーケティング戦略上、求められるのです。つまり、コンディショナー/トリートメントの使用の提案と同時に、頭髪オイルという既存のカテゴリーの代替品としての提案も視野に入れる必要があります。

この様な市場インサイトは無論、他にも多数存在しますが、往々にして外から見出す事は容易ではありせん。またこの市場インサイトを理解しないままマーケティング活動を展開する事は相当なリスクが発生する事になりますから、細心の注意が必要です。

インドのコンディショナー/トリートメントの使用率を社会階層別(SEC)で見ると、Aランクでは40.9%と高くなります。これは食品など他カテゴリーを見ても同様の傾向が見られます。要因の一つとしてSEC別で使用するチャネルが異なる点が考えられます。SECの高い層は(AやB)では大型スーパーなどの近代的チャネルを使用する比率が上がります。豊富な品揃えの大型店で、多彩な新しいカテゴリー商品を選択し購入する機会はSECの低い層と比較すると相対的に高くなるでしょう。

そこで、次回は各国の流通チャネル(小売り)の現状を見てみましょう。次回のテーマは「チャネルの利用から見る各国のライフスタイル」です。次回またお会いできるのを楽しみにしております。

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山崎 督

(株式会社朝日広告社)

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