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海外ビジネス コラム

市場動向 2014年02月02日

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ミャンマーの左ハンドル化に思う「新興国の体力強化へのこだわり」

堀 明則(Hopewill Group)

昨年9月18日、FRBのバーナンキ議長は「量的緩和の継続」を発表しました。
それまで「緩和引き締め」を示唆していたFRBでしたが、まだ米国経済はそれほど体力を回復していないと判断したのか、方針を一転させ、「量的緩和」を継続させるというのです。
量的緩和の終焉は、市中の米ドルの量の減少を引き起こすわけですから、それまで運用効率が良いとされてきた新興国通貨を売って、値上がりが期待される米ドルに投資マネーの一部が戻ってきていた矢先です。
バーナンキ議長の発言以降、米国での株価は一次史上最高値を付け、投資マネーの流出で苦慮していた、つまり米ドル高、自国通貨安に苦しんでいた新興国は一息ついたわけです。
しかし根本解決が行われたわけではなく、やはり、巨大に膨らんだ投資マネーの脅威の存在の一端を世界はしっかりと認識することになり、あの悪夢のような世界規模の金融クラッシュ「リーマンショック」当時のことを思い出さずにはいられない人も多かったのではないでしょうか。
特にブラジル、インドあたりの人々は大変に憂慮されているのではないでしょうか。
先進国のマネーゲームのツケを新興国がこうむる、というようなことだけはないことを願うところですね。

リーマンショック後、米国に続いていちはやく金融緩和を行った中国は、その1年後あっさりと金融引き締めに走ります。
さすが社会主義国家ともいうべきでしょうが、金融緩和と金融引き締めという満潮と干潮が一度に来たような混乱は、中国全土に開発が中断されたゴーストタウンの散在をひきおこしています。
中央政府からの予算をうけた地方政府は、もっとも予算達成が容易な複合都市開発に走り、それらの多くが焦げ付き状態にあるというわけです。
この焦げ付き状態に活路を見出すべく生み出された「理財商品」、つまり中国内の投資商品ですが、これを投資会社が販売し、
実はその投資会社を地方政府が実質運営していたというような絵図がここ最近メディアでよく報じられています。
いわゆる「シャドーバンキング」ですね。
このシャドーバンキング、すでに仕組みとしてはほころびが出てきており、地方政府の開発プロジェクトの頓挫と共に、理財商品を販売する投資会社の破綻も増加しています。
一説には、中国の地方政府の債務は、中国GDPの1/4にも及ぶとのこと。
となると、国家が発表する「経済成長」とはそもそもどういう理解をすべきなのかというところまで考えが及びますね。
中国が巨額の投資を続けているアフリカなどは、もはや中国頼みの経済戦略となっている国家も複数存在します。
中国が咳をすると、これらの国は肺炎にかかってしまいます。

とにかく、米国、中国の金融政策は、絶対に失敗は許されませんね。
これら大国の金融政策の失敗は、確実に世界経済の混乱を引き起こすでしょう。
非常に複雑かつ密接に世界経済が相関を持つ現代、自国都合の政策は、ひと時の猶予をもたらすかもしれませんが、必ずやまったく別の副次現象をともなって自国にしっぺ返しをもたらします。
ブーメラン効果が必ず引き起こされるというわけです。
世界がより密接に相互理解を進め、協調路線を歩む必要性があるということですね。

話を本日のタイトルにも上がっている国家
「ミャンマー」に関するニュースに移します。
ミャンマーの勃興に期待し、日本から多く輸出されたもの、それは日本車です。
特に中古車が相当量持ち込まれています。
今そのミャンマーに異変が起きています。
それはなんと、現在右ハンドル車が走るミャンマーの道路交通法規が改定され、左ハンドルが原則となるかもしれないのです。
ミャンマーの人々の日本車への信任は厚く、とにかくどこを見ても日本車です。
ミャンマー政府は「右側通行の道路に手をつけるか」「右ハンドルの自動車に手をつけるか」のいずれかで交通安全を担保せねばならぬとの表明ですが、一部には日本バッシング(?)の意思表示ではないかとの見方もあるようですね。
もちろんまったくの憶測の範囲のようですから、そうでないことを期待します。
ひょっとすると左ハンドル車を主要生産品とする国家からの経済戦略の発動によるもの?

なにかと想像はつ尽きませんが、とにかく、自国工業化を優位に進める施策には新興諸国は大いに関心を持つところでしょうし、
地球の裏側で発せられた咳によって、自国が重度の肺炎にかかってしまうというような脆弱な体質には本当に嫌気がさしているでしょう。
巨大に膨れ上がった経済先進地域が生み出す投資力に翻弄されることなく、しっかりとした内需による雇用を生み出し、この雇用により生み出される所得が内需成長に還元されるという循環に、少しでも手を近づけたいという新興各国の想いはもっともなところであろうと、昨今の米国を発端とする投資マネーの動揺に、不思議とミャンマーのこのニュースがオーバーラップをしてしまうのは私だけでしょうか。

皆さんはいかが感じられますか?

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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