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海外ビジネス コラム

生活・文化 2016年12月22日

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オーストラリアの物流業界の現状

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

日本とオーストラリアの違い

日本やオーストラリアに限らず、世界中どの国々でも、郵便局が物流業界のトップとして君臨しています。日本に住んでいるとそのサービスの素晴らしさに気づかないと思いますが、世界から見れば日本の物流システムの統一性、サービスは素晴らしく、安心して全国どこでも共通のサービスを受けることが可能です(ただし、窓口などの接客・応対は人間が対応しているため、個人的な主観で多かれ少なかれサービスの質にばらつきを感じる場合もあるかもしれません)。

オーストラリアももちろん、表向きはオーストラリア全都市共通のサービスを受けられるのが前提ですが、日本と比べて配達方法や荷物紛失の際のクレーム処理等の対応に統一性がなく、場合によっては無対応のまま放置のケースも多々あります。

たとえば、小包を郵送したとします。日本であれば担当者が玄関口まで配達し、不在の場合には最寄りの郵便局名を記載した不在票を置いていきます。これは我々日本人からすれば、ごく当たり前のことで、郵便局に来させるのではなく、大まかな時間指定の当日再送も当たり前に可能です。

しかし、オーストラリアではこうした業務が機能していません。配達の担当者が呼び鈴も押さず不在と決め込み、不在票だけ置きそのまま退散。こちらが不在票に明記された届け時間を確認すると、「この時間は自宅に居たぞ」……、そのようなケースにもしばしば遭遇します。過去に偶然にも私の郵便受けに不在票を入れている場面に遭遇し、「ここに本人がいるから荷物を渡してくれと」伝えると「荷物は手元にはない」と回答。明らかに確信犯。思わず笑ってしまう経験をしました。
 
さらにひどい場合には、不在票を受け取り、指定された郵便局に出向いたものの、荷物が見つからず30分以上待たされたうえに、「あなたの荷物はここにはない」 と冷たく言い放たれたケースがありました。「それでは私の荷物はどこにあるのか?」 と問い詰めると、肩をすぼめて 「たぶん配達の人間が持って帰ったのかもしれない。わからない。明日には来るのではないか」……、怒りを通り越して呆れかえる回答が返ってきました。
 

EMS(国際スピード郵便)でも大きなトラブル

これはまだ普通の小包なので仕方がないと思えますが(日本では思えないでしょうけれど)、過去に数回EMS(国際スピード郵便)というサービスを利用してとんでもないトラブルに見舞われたことがあります。

EMSは番号を発給されるので、安全かつ、現在荷物がどこにあるのか追跡することが可能な郵便システムです。私はオーストラリアのずさんな郵便事情を理解しているので、多少料金がかさんでも荷物はEMSを利用する様にしています。

ある時、業務上どうしても必要なソフトを日本からEMSで空輸した時のことです。通常であれば1週間程度で手元に届くのですが、この時は2週間以上経っても届きませんでした。これはおかしいと判断し、インターネットで今荷物がどこにあるのか検索すると、驚くことにすでに 「配達済み」 になっているではないですか。

受取人の名前を確認すると、「キャサリン」 となっていました。社内にキャサリンなる人物は勤務しておらず、当然オーストラリアの郵便局にクレームの電話を入れましたが、担当者に繋がるまでに5回はたらい回し。やっと繋がったと思えば 「受理済になっているから我々の責任ではない。キャサリンが受け取ったのだろう」 と言い訳をしていました。こちらも負けてはなるかと 「EMSの国際ルールに則り、弁償しろ」 とやり合い、すったもんだの末に、数か月後になんとかソフトの代金を弁償してもらいました。もちろんそのソフトがないと業務に支障が出るので、オーストラリアの郵便局とのやり合いの結果を待つ前に、再度日本から空輸したのは言うまでもありません。
 
この話には続きがあり、それから半年後、郵便配達員が、バツが悪そうにぼろぼろになった小包を届けに来ました。そう、それが半年前に行方不明になっていた小包でした。私は「EMSがなんで半年も掛かって受取人に届くのかね? 世界一周でもしてきたのかな」と軽口を利いても、配達員はその会話には乗ってこらず、そのままサインを受け取りそそくさと逃げる様に去っていきました。

次回は、なぜオーストラリアではこの様なミスが多発するのか、物流業界のビジネスモデルの構築などを書き進めていきます。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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