海外ビジネス コラム

商習慣 2016年07月11日

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ベトナム人組織を効果的に運営するためのコツ

黒川 賢吾(株式会社Asia Plus)

ベトナム進出の目的として、廉価な人件費を目的に掲げる企業は少なくない。実際、ベトナムでは、有名大学卒の社会人暦が2〜3年程度の人材が大体月額6万〜7万程度(エンジニア市場は需要が高い為もう少し高額)で採用できる。年率で10%程度ほど供与水準が上昇しているとはいえ、この廉価な人件費はベトナムの魅力の一つである。一方で、ベトナムで雇用する人材に対して、先進国と同じ様なパフォーマンスを期待するのは現状難しい。ベトナム人材を正しく理解し、適応力のある組織作りをしていくことが重要である。

■ ベトナム人材の特徴

当社では、数多くの人材関連の調査を行い、私自身も100を超えるベトナム人との採用面接を経験してきた。そのような経験から、社会人暦が数年の日本人とベトナム人を比較した時に、ベトナム人に欠けているのは「想像力」と「責任感」ではないかと感じている。「想像力」とは、「仕事において何が求められているかを考える力」のことであるが、ベトナム人は、言われた事を指示に従ってこなす事は得意であるが、仕事内容の行間を読んで行動することが出来る人材は限られている。また、プライドが総じて高い事もあり、問題が起きた時に責任を回避する傾向も見られる。

これは別にベトナム人が劣っているということではなく、単純に経験の欠如に起因するものである。それでは、このようなベトナム人の特徴を理解した上で、効果的に組織を動かし、高いパフォーマンスを発揮するにはどのような対応が必要なのであろうか?

■ ベトナムでの組織を効率化させる「細かな指示」と「公正な評価」

当然こういった組織運営の正解は様々であるが、一つの事例として、ベトナムで著しい成長を遂げているコーヒーチェーン店「The Coffee House」の事例を紹介したい。このコーヒーチェーン店は、2年前に20代の若い起業家ハイ氏がオープンした店舗で、現在20店舗まで店舗数を急拡大させている。

この会社で特徴的なのが「細かな指示」と「公正な評価」である。

この会社では各店舗スタッフに対して、接客から清掃の仕方まで事細かな業務指示がマニュアル化されている。実際マニュアルを見せてもらったが、「何をするのか」「なぜするのか」「いつするのか」など非常に明確な業務指示書になっている。そして、このマニュアルに紐づく形で、給与及び昇進が決定される仕組みとなっている。この店舗では、高卒の経験の少ない店員が多い様だが、他店舗と比較して離職率を低く抑えることに成功している。

また、この会社では店舗スタッフの給与が5.2M VND(約3万円)と、競合と比較して10〜20%高い給与を支払っている。「ベトナム人の仕事のモチベーションの8割がお金。だから、良い給与、わかりやすい基準を定めて、それに見合った仕事をしてもらう」というハイ氏の言葉がベトナムでの組織運営のヒントを与えてくれる様な気がする。

■ 組織に必要な、ベトナム人の「右腕」

また、上手く回っている企業に共通するのが、「右腕」となるベトナム人スタッフの存在である。会社及び社長の意思を理解し、ローカルスタッフに棚卸しが出来る存在がいる会社は、日々のオペレーションが円滑に回っている傾向が見られる。日本人スタッフがこの役割を果たすことも当然可能であろうが、コミュニケーションや文化理解の問題もあり、ローカルスタッフの方が機能している事例は多い。

実際こういったスタッフは10年程度の社会人経験があり、給与も$2000程度以上とベトナムの標準でいったら非常に高額なケースが多い。しかしながら、日本の新卒と同様の給与で、会社への貢献度は比較にならない。ベトナム市場ではこういった管理職人材の数は非常に限られ、また当然ながら採用企業との相性もあるであろうが、こういった人材がいる日本企業は本当によくオペレーションが回っている印象を覚えているし、離職率も総じて低い。

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