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海外ビジネス コラム

市場動向 2013年10月27日

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イスラム・インバウンド・ビジネス 『ハラル・ツアリズム』 

堀 明則(Hopewill Group)

弊社では「月刊イスラム市場」の発行をはじめ、皆様のハラル市場への進出のお手伝いをさせていただいている関係から、この産業に関わりの深い方々と交流させて頂く機会が多くあります。
その中で、「イスラム・インバウンド・ビジネス」に関して、非常に興味深いお話をうかがいましたので共有をさせていただきます。

日本政府の発表にもあるように、観光庁は2020年までに日本に訪れる観光客の数を、現在の約800万人から、2000万人にまで増加させて行くとしています。
そのような中、人口が急増しており、かつ所得の向上が見られるイスラム教徒の観光客の囲い込みも重要なポイントとなってくることでしょう。

日本国内でハラル・ツアリズム
(イスラム教徒の方々に対し、宗教的に認められた形での観光パッケージ)
の提供を展開されている企業からの興味深いお話です。

その内容は以下の通りです。
「多くのイスラム教徒が、日本に対して非常に関心を持っているのだが、やはりなんといっても食事の面が懸念材料となり、どうしても他のイスラム国へ行かざるを得ない。
もし日本がある一定の基準でもってイスラム教徒にも楽しんで頂ける食事を提供することができれば、これは非常に大きな後押しとなる可能性が高い。」

○ムスリムの日本に対する強い興味
実際にこの企業は、日本におけるハラル・ツアリズムの提供に関して、一切の広告活動を行っていないのにも関わらず、その評判はムスリムからムスリムへと口コミで広がり、今では多くのイスラム教徒の好評を得ていているようです。
イスラム教徒は、一つの宗教のもとに共通した概念を基本共有していますが、やはり国や地域、個人によっても、宗教に対する考え方は様々であるのが現状です。
イスラム教徒を迎え入れる態勢が整っていない国を積極的に訪れるというイスラム教徒もいれば、非常に敬虔にイスラムの戒律を守り、態勢の整っていない国には行けない考えるイスラム教徒もいるようです。
これら二つの異なった考えの割合はちょうど半々程度ではないか、とのことでした。

○ムスリムが日本に求める二種類の観光
「どのような事にイスラム教徒は興味を持っているのか」
という事ですが、そのことに対するお話は次のとおりでした。
「2つのパターンに大別される。
一つは、完全に都会志向で、日本の文化や、技術に関して興味を持たれる方であり、
もう一つは日本の田舎で美しい自然を満喫しながら
ゆっくりとした時間を過ごす事に興味をもたれる方である。」
前者においては、日本の技術、特に車や時計、またはアニメなどのサブカルチャーに非常に興味があるそうで、そのような要望に応え、車に関する博物館や、時計に関する展示館の訪問をアレンジする事も多々あるそうです。
また、近代的なビルやホテル、町並みに興味を持たれている方々を東京の市街地などへ案内することも度々だとのこと。
後者においては、自国には無い美しい自然の中で、家族でゆっくりとした時間を一緒に過ごしたいのだというご要望が強くあるという事から、中東や、東南アジアの国々にはあまり見られない日本の美しい自然は大変な観光スポットとなり得るのだ、とのことでした。

○比較的長い滞在日数
通常のツアーにおいては、1週間から10日前後が平均的な滞在日数のようですが、1ヶ月程度の滞在もよくあるとのことです。
仕事が忙しい男性陣は、家族を保養地に残し自国に戻り仕事をこなし、再度保養地に戻り家族と時間を過ごすという事もあるそうです。

○小規模旅行の多いムスリムの抱える日本滞在の課題
これはやはり食事の面だそうです。「20人や30人の団体旅行であれば、大手ホテルや、レストランなどで、特別にハラルに対応した食事を提供したり、ビュッフェ等において成分表示を行うなどの対応ができるが、5~7名程度の場合はそのような対応をアレンジすることができず、せっかくの日本滞在中に、エスニック料理を用意するしかない。
ホテルや、観光地の周辺において、ハラル対応のレストランができてくれればそちらを案内する事も可能であるのに。」
とのこと。

日本ではまだまだ需要は表面化していないと感じる為か、イスラム教徒対応をしていないホテルやレストランが大半です。
しかし一方で、潜在的需要を察知し、即座に対応しチャンスをつかんでいる企業も現れているということですね。
東京オリンピックもきまった日本。

「ハラル・ツアリズム」には注目が集まってゆくのであろうと感じます。

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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