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市場動向 2016年06月02日

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10年間でお米の消費量が倍以上に! オーストラリアの外食産業

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

活気付くオーストラリアの外食産業

オーストラリアで近年飛躍的にシェアを伸ばしている産業は、ずばり外食産業です。資源産業と並び、オーストラリアでの重要な産業の一つと言えます。資源産業は中国の景気後退の影響を受けておりますが、外食産業は現在でも堅調に成長を続けています。以前に私が市場調査を行なった結果、オーストラリアの外食産業の総売り上げは全世界で8位にランクインしました。たかが人口2000万人程度の国にとっては、快挙以外の何物でもなく、更に総売り上げを対人口比率に換算すると、並み居る大国を抑えて堂々の3位に躍り出ます。

なぜ人口が少ないオーストラリアに外食産業が伸びる土壌があるのか。それは彼らの食への考え方が影響しています。英国連邦の一員であるオーストラリアは、政治、経済、教育、文化など、全てにおいてイギリスに酷似しています。知っての通りイギリスの食事のまずさは、世界に誇れる(!?)ほどで、残念ながら食事の不味さもイギリス、オーストラリアの共通点の一つです。小学生や、中学生の学校に持って行くお弁当(オーストラリアにはほぼ給食はありません)を見ると……かわいそうなくらいです。彼らのお弁当は、バターにジャムを塗ったシンプルなサンドイッチです。それにバナナか、リンゴ、もしくは生の人参がついているくらい。飲み物は決まって炭酸飲料や甘くてとても飲めないジュース。栄養のバランスも悪く、肥満が増えるのも十分理解出来ます。また一番の問題点は、オーストラリア人の女性が、ろくな料理を作らない(作れない)点にあります(みんながみんなと言うわけじゃないですよ、念のため)。
 
それを裏付けるエピソードがあります。ある時、知人が(日本人のお母さんです)お子さんのためにお弁当を作りました。卵焼きや、のり、ウインナーなどが入っているだけではなく、日本人の器用さ、繊細さを活かしたアニメのキャラクター弁当を作ってあげたところ、教室の子供たちに大人気。それを見た他の子たちは、うらやましくなり、自分のお母さんにねだりました。日本人のお母さんであれば、子供にねだられれば、見よう見まねで作ろうと努力しますが、オーストラリア人のお母さん方には、お弁当に時間や手間を掛ける必要性は理解されず、逆に日本人のお母さんに、お金を払うから自分たちの子供のぶんも作ってくれないかと頼み込んでいました。

ちなみに、日本人に 「おふくろの味は何」 と質問をすれば、人によって千差万別でしょう。おそらくバラエティーに富む回答を聞くことができます。しかし、オーストラリアでその質問をすると、フィッシュ・アンド・チップス系の誰でも手軽に作れる、レンジでチンのファストフードが返ってきます。これは冗談のような本当の話です。最近は肥満増加が問題になり、政府が学校にファーストフード系の食事は減らすように指示が出ているくらいです。

世界的な景気後退の中でも、堅調な成長

   
以前のオーストラリアは、食に関して全く無頓着でしたが、シドニーオリンピックが開催された辺りから、好景気に支えられ、国民の収入も増加し生活にゆとりが出てきたおかげで、それまで無関心だった食への興味も持ち始めました。また、好景気に伴い、国内の技能者不足を補うために積極的な移民政策を推進し、その移民者が世界各国のバラエティーに富んだ食文化を持ち込んだのも、オーストラリア人に食への興味を促した理由の一つと言えます。しかし相変わらず、食事を作る努力は面倒と考え、収入はあるから外食に行く。そのため、オーストラリアの外食産業は、世界的な景気後退の中でも、堅調な成長を遂げています。

海外で日本人がやれる外食事業となると、まず頭に浮かぶのが日本食レストランだと思います。今オーストラリアでの日本食ブームはひと段落した感はありますが、物珍しい異文化の料理から、一般市民に身近な料理へと変貌を遂げたと言えます。そして、ようやく 「肥満は体に良くない」 と遅まきながらオーストラリア人も気付いてきました。また、移住してきた富裕なアジア人が日本食を好み、彼らの需要が和食ブームを押し上げている一面もあります。過去の10年で国民一人当たりの米消費量が倍以上になった先進国は、オーストラリアくらいです。日本食レストランを出せば全員成功するかと言われれば否ですが、資本も少額で、もし万が一思うような結果が出なかったとしても、リスクが少なくて済みます。もっとも、現在は雨後の竹の子のように日本食レストランが乱立しているので、「寿司、刺身、天婦羅」など、ありきたりな日本食ではなく、一工夫するのが成功の鍵だと言えます。 

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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