2023年インバウンド再開!今こそ知りたい「中国向けWEBプロモーションの基本」

2023年4月、日本は3年もの間実施していた他国からの入国に関する水際対策を撤廃しました。
2023年5月だけでみても訪日旅行客数は約190万人。2022年の同月と比較すると約15倍に増加しております。訪日市場の最高値を記録していた2019年時点の同月と比較するとまだ約7割程度で、勢いのあった時期にはまだ追いつかないものの、着実に旅行客は戻ってきています。
中でも中国からは、2019年時に年間950万人以上の旅行客が訪日しており、訪日ビジネスを考える上ではもっとも重要な市場であったと言えます。
ただ、2023年1~5月の期間では中国からの訪日客は38万人程度となっており、同じ中華圏地域である台湾から138万人以上訪日していることを考えると更に伸びを期待したいところです。
本記事では、今後の市場の伸びにも期待して、今一度巨大な市場をもつ中国に対するWEBプロモーションを再確認していきたいと思います。
▼ 2023年インバウンド再開!今こそ知りたい「中国向けWEBプロモーションの基本」
1. 中国独自の特殊なインターネット環境・規制について
中国向けのWEBプロモーションを行う上で知っておかなければならないのは、中国は世界の多くの国と異なる独自のインターネット文化があるということです。
ここでは中国独自のインターネット環境の規制と、中国でWEBサイトを公開する際の注意事項について解説します。
① 中国独自のネットインフラ〝グレートファイヤーウォール〟に注意
中国の有名な世界遺産、万里の長城(グレートウォール)をもじってつけられた、“グレートファイヤーウォール”という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、これがまさに中国におけるインターネット環境を表したものです。
“グレートファイヤーウォール”とは、中国本土のインターネットにおける大規模検閲システムのことです。
中国本土からアクセスできるWEBサイトを限定的にするための監視システムであり、金盾(きんじゅん)とも呼ばれています。
対象とされている地域は中国本土のみで、特別行政区である香港とマカオには適用されていません。
監視対象とされているのは、政治的な問題を取り上げているサイトやポスト、国際的なニュースや報道関連のWEBサイト、米国由来のSNSや検索サイト(FacebookやTwitter、Google等)、そしてアダルトサイトなどです。
また、中国には3万人以上いると言われるインターネット警察が存在し、システムだけではなく人の目でもインターネットを監視していると言われています。
② 中国でWEBサイトを公開する際に必要な「ICP登録」
WEBサイトを制作し、公開する場合にも気をつけなければならない点があります。
こちらも中国独自の制度として存在する「ICP登録」です。
ICPとはInternet Content Providerの略です。中国の場合、WEBサイト開設時にはICP登録をして、誰が管理人なのかを中国当局に届け出る必要があります。
登録の際に企業情報などが必要になり、その際最低でも中国国内に支社が存在する必要があります。
特にECサイトなどは、通常のICP登録よりも厳しい精査をされるため、ほとんどの外資系企業の登録は不可能であると言われています。
③ 中国向けWEBサイト内に解析用のタグを埋め込む際の注意事項
また、グレートファイヤーウォールの項でも説明している通り、中国本土ではFacebookやGoogleといったWEBサイトへのアクセスが制限されています。特にGoogleでは「Google Analytics」や「Google Console」といったWEB解析ツールを展開しており、日本を始めとした多くの国で利用されています。
多くの場合WEBサイト内に解析用のタグを埋め込むと思いますが、中国の向けのWEBサイトにGoogle等の解析用タグが埋め込まれていると、WEBサイトの表示スピードが遅くなるなどの影響がでている傾向がありますので注意が必要です。
2. 中国WEBプロモーションで重要な「中国の検索エンジンサイト」
続いて中国でWEBプロモーションを行う際に必要となるメディアの選定について解説します。
まずは代表的な中国の検索エンジサイトをご紹介します。
中国検索エンジンの3強「百度(Baidu)」「捜狗(Sogou)」「Haosou」
多くの国で一般的な検索エンジンであるGoogleは、中国国内では基本的にアクセスできません。かわりに、中国国内で開発された独自の検索エンジンが複数存在します。
以降より検索エンジンシェアの割合データと合わせてみていきましょう。
中国国内でもっとも利用されているのは、百度(Baidu)と呼ばれる検索エンジンです。
百度は2001年に正式発表された中国で開発され、日本のGoogleやYahoo!JAPANのように検索に付随した多くのサービスを展開しています。Google AnalyticsのようなWEB解析ツール等の提供もしているため中国でWEBプロモーションを行う場合にはとても重要なメディアであり、企業になります。
2番目にシェアが高いのは捜狗(Sogou)という検索エンジンです。 2013年以降大手中国SNSを提供している企業との提携等、モバイル分野への展開を見据えた戦略を行いシェアが拡大しています。直近1年の上記データを見ても、百度一強だった時代に比べてシェアが拡大してきているのがわかります。
3番目にシェアが高いのは「Haosou」という検索エンジンです。こちら「360捜索(サンリューリン検索)」という名称で知られていた検索エンジンであり、PCの検索やネットワークに強いサービスを持っています。
検索エンジンは今まで百度一強!と言われることが多く、ほんの数年前までは80%以上の検索エンジンシェアを持っていましたが、今では多くの企業が参入したことでサービスや端末ごとに特性を発揮して百度一強とは言いにくい時代になりました。
ただし、シェアがもっとも高いことは見ての通りですし、まずは中国の検索エンジンといえば百度と認識していれば間違うことはないでしょう。
3. 中国WEBプロモーションで重要な「中国で人気のSNS 6選」
中国は口コミ文化が根強くいためかSNSの利用者も多く、年代にとって利用しているSNSも異なります。
検索エンジンに続いては、中国でシェアの高い6つのSNSについて解説します。
① Wechat
「Wechat」は、中国でもっとも利用されているSNSであり、日本でいうLINEのようなアプリです。メッセージのやり取りが主軸のサービスとはなっていますが、電子マネー決済等付随した多くの機能を有しています。
② Douyin(抖音)
「Douyin(抖音)」は、Bytedance社がリリースした、ショート動画の投稿・閲覧ができるアプリです。
これの海外版が、大人気の“TikTok”です。Douyinの方がより中国に合わせた機能を持っており、アプリ内でメッセージのやり取りなども可能になっています。
③ BAIDU TIEBA
「BAIDU TIEBA」は百度(Baidu)が展開する掲示板サービスです。日本でいうYahoo!知恵袋のような存在で、総登録者数は15億人を突破し、2000を超えるコミュニティが作成されています。
④ QQ(テンセントQQ)
「QQ(テンセントQQ)」はもっとも利用されているWechatを展開しているテンセント社が発表した新しいメッセージアプリです。ユーザー層は10代が中心となっており、日本でいうディスコードのような存在です。
⑤ XIAHONGSHU(小紅書)
「XIAHONGSHU(小紅書)」は、通称“RED”と呼ばれる最近シェアを拡大しているアプリです。若い女性に人気があり、日本でいうInstagramのような存在です。
⑥ SHINA WEIBO(微博)
「SHINA WEIBO(微博)」は中国版Twitterとして紹介されることが多く、Wechatと中国2大SNSとして挙げられることが多いです。2020年には、Wechatに次ぐシェアを獲得していましたが、ここ数年で新しいSNSの勢いが凄まじく、相対的に利用率が低くなっています。
他にも中国国内で利用されているSNSには存在します。SNSの種類は多く、利用者層や用途などもそれぞれこと異なるため、ターゲットやプロモーション手法を決めてメディアを選定することが重要となります。
3. 中国向けWEBプロモーションの3つの手法
次に考えるべきは、先程紹介した検索エンジンやSNSを使いどのようにプロモーションを行うかです。
中国向けWEBプロモーションの手法を大きく分けると以下の3つとなります。それぞれの手法で気をつけるべきことを解説します。
① SEOによる中国WEBプロモーション
一般的なSEO手法はGoogleの評価やガイドラインに合わせたものとなりますが、中国WEBプロモーションで同じ対策が通用するのか不安に思われている方もいるかと思います。
まず、基本的に全ての検索エンジンで対応するべきことは同じなので、WEBサイト内の記述やコンテンツのオリジナル性など考慮するべきところは同じです。
ただし、すべての国・言語に対して言えますが、検索エンジンには言語特性の影響があります。
日本語のキーワードをそのまま中国語(中国本土であれば簡体字)に訳しても、現地で検索されているキーワードと整合性が取れていなければSEOの意味がありません。
一例とはなりますが、下記のような事象も発生します。
「日本旅行」というキーワードですが、スペースの有無で検索指標(検索数の推定値)に大きな違いが出ます。こういった部分を丁寧に施策に反映させる必要があります。
プロモーションの基本を解説した項でも触れましたが、WEB解析に利用するツールも中国国内で適したものに変えたほうが安心です。
また、中国の検索エンジンシェアトップの百度(Baidu)では「Baidu統計(百度统计)」というWEB解析ツールも提供しています。 無料のツールとなりますので、登録するだけでGoogle Analyticsなどと同じようにタグを設置してWEBサイトの分析をすることが可能になります。
② リスティング広告・バナー広告による中国WEBプロモーション
検索エンジン上で広告を掲載することのできるリスティング広告や、ネットワークを利用したバナー広告等を検討する場合、広告のリンク先となるWEBサイトを事前に審査する必要があります。
ICP登録等は必要ありませんが、企業情報が記載されているか等確認されますので、必要項目を満たしたWEBサイトでなければなりません。
また、広告を配信する際、エリアや予算配分などをより厳密に行うことが重要となってきます。
エリアによって競合性もばらつきがあるため、広告単価や配信数に差が出ることが多く、事前のマーケット情報の確認やターゲット選定が必要となります。
③ SNS広告による中国WEBプロモーション
SNS広告についても、事前に広告のリンク先となるWEBサイトの審査が必要です。
各SNSでプロモーションをお申込みの際に必要となる情報などが異なるため、まずメディア選定時に情報収集しておくことが大事です。また、リスティング広告などよりも、広告審査やWEBサイトの確認などで時間がかかる場合が多く、スケジュールについても余裕をもって対応するとよいでしょう。
4. 中国の訪日旅行客が増加前の今から準備しておくのがベスト!
今回は中国のWEBプロモーションについて解説しました。
中国は独自のインターネット文化とメディアで行うため注意点がかなり多く、本稿内で書き足りない事項も多数あります。実際に中国へプロモーションをお考えの場合は、まずは弊社アウンコンサルティング株式会社を始めとする、海外向けのグローバルマーケティング支援を実施している専門家企業へ相談していただくことをおすすめいたします。
現状、中国の訪日旅行客が他の地域に比べ伸び悩んでいる状況がありますが、コロナ前と変わらず、訪日意欲の高いユーザーが多いと聞きます。中国国内の規定の変更などでいつ状況が変わってもすぐに対策がとれるよう、今から準備しておくのがベストです。
特に中国向けのWEBプロモーション施策は時間がかかることが多いので、出遅れがないように注意して、貴社にピッタリのWEBプロモーションを考えましょう!
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