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日本人が知らないアジアのタックスヘイブン 【マレーシアのラブアン島】とは?

掲載日:2020年06月04日

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日本人が知らないアジアのタックスヘイブン=「マレーシアのラブアン島」について、そのアジア随一とも言える法人税率の優遇制度および、「ラブアン法人」と呼ばれるスペシャルな法人設立制度について、さらにはラブアン法人ならでは節税メリットのについても解説します。

タックスヘイブン(租税回避地)と言えば、アジアでは香港やマカオやシンガポールなどが知られています。しかしアジアにはまだ【日本人にほとんど知られていないタックスヘイブン】があることをご存じでしょうか? しかもそのタックスヘイブン地区が〝アジアでもっとも税率が低い金融経済特区〟だとしたら…?

それが今回ご紹介する「マレーシアのラブアン島」なのです。

今回のテキストでは、実態調査として「ラブアン島」現地に赴き、複数の関係者から、ラブアンの魅力やタックスヘイブンとしての実態についての情報を入手。その現地調査で入手することのできた、貴重な情報の一部をご紹介します。

Photo by Matthew Kang on Flickr

1. マレーシア政府直轄のアジアのタックスヘイブン=ラブアン島

「ラブアン・オフショア金融サービスセンター (LOFSA) 」が島内に設置

タックスヘイブン(租税回避地)とは、税務上の優遇が受けられる地域を指します。具体的には、著しく軽減された税率が適用されていたり、あるいは課税が完全に免除されている国やエリアになります。

今回ご紹介するマレーシアのラブアン島とは、香港やシンガポールと同じように、マレーシア政府が「金融経済特区」として直轄で管理するアジア有数のタックスヘイブンです。1990年のオフショア法制定に基づき、「ラブアン・オフショア金融サービスセンター (Labuan Offshore Financial Services Authority=LOFSA) 」が島内に設立されています。

実効税率が3%または20,000リンギットの「ラブアン法人」とは?

では、さっそくラブランの法人税率について解説します。ラブアンでの法人税は、「事業取引会社」と「持ち株会社」で異なります。結論からいってしまうと…

■「事業取引会社」の法人税率: 3% / または 一律2万リンギット

■「持株会社」の法人税率: 0%(完全非課税)

…となっています。

ここからは通常の事業取引会社のケースで解説します。マレーシアでは通常の現地法人制度であるSDN BHDとは別に「ラブアン法人」という特別な制度が存在します。つまりここラブアン島において設立された会社を「ラブアン法人」と呼びます。

ラブアン法人に設定されている実効税率は「3%または 20,000リンギット」となっており、どちらかを選択できます。実効税率3%と20,000リンギットを比べてみると、2,000万円の3%が60万円(約20,000リンギット)ですので、2,000万の所得が境界線となると考えられます。こちらに関しては年度ごとに変更も可能です。

また、20,000リンギットを納税すると会計監査が免除されます。その理由は、最大税額を支払った企業に、わざわざ税務調査をする必要がないためです。ただし、会計帳簿は信託会社での保管が義務付けられています。

ラブアン法人ならではの所得税における租税優遇措置

さらに所得税に関しても租税優遇措置があります。

ラブアンの就労ビザを取得し、マレーシアに移住した場合、年間の半分(182日の滞在で税務居住者とみなされる)をマレーシアで過ごすと所得税が4,000RM≒12万円程となります。ラブアン法人の就労ビザは発給後にTIN(Tax Identification Number/納税者番号)が与えられます。

182日未満の滞在の場合、所得税率は一律28%となっています。 ただし就労ビザがない場合でも、給与所得を受け取った場合に限り、マレーシアでの所得税の申告が必要となりますのでご注意ください。

ビットコインでの所得に関しても、ラブアンは絶大な節税対策拠点となります。なぜなら、日本ではビットコインは雑所得に区分されるため累進課税の適用となり、所得が高い場合は、最高税率45%が適用される可能性があります。しかし、ラブアンではこれが非課税。大きなアドバンテージとなります。

余談ですが、ラブアンには消費税やたばこ税、酒税もないため、それら嗜好品も非常に安価に入手できます。

また、上記の調査対象となった海外工場を持つ834社の中で、過去1年間で製品や部材を国内生産に戻した企業の割合は11.8%。そのうちの68.1%が中国および香港からの回帰となっており、続くタイが8.5%、さらにインドネシアが4.3%という結果報告となっています。

2. ラブアン島での法人設立の節税メリットとデメリット

日本人オーナーの企業は150社程度

この項では「ラブアン島での法人設立のメリットとデメリット」について解説します。

2017年11月末現在、ラブアンに登記されている法人数はで14,000社を超え、その数は年々増え続けています。詳しい数字は確認できませんでしたが、日本人オーナーの企業はASEAN在住者が圧倒的に多く、150社程度が登記しているとの情報を得ることができました。

上記でも述べた通り、法人を登記するとアジアでは最低税率で節税対策が可能となります。

その為、シンガポールや香港の富裕層にも節税対策として利用されています。ラブアン法人には上限税額が設定されており、一言で言えば、いくら稼いでもそれ以上は課税されません。

また法人税を定額で約55万円を選択することも可能であるため、つまり利益が多いほど、その3%の実効税率が下がることになります。そして、その定額OR定率かの選択についても、事業年度終了後に選べるので、仮に利益が少なくいケースでも先述の3%の実効税率が適用できるのです。

ちなみに日本の法人税率は30.62%で、マレーシアの法人税率は24%となっています。

上限税額は20,000リンギット(約60万円)

上限税額は20,000リンギット(約60万円)となっています。留意点はいつ会社をつくっても12月が年度末決算となるため、例えば12月に登記してしまうと事業活動を行っていない場合でも帳簿作成が必要となり、翌年3月までに信託会社で保管する必要が生じます(この場合、会計監査は不要ですが、保管のみ必要となります)。

また、ラブアンは行政手続が迅速で、登記する場合は5日から1週間程度で法人登記が完了し、しかも外資100%での設立が可能となっています。

さらに株式会社の場合も1人株主・1人取締役、株主・取締役兼任での法人形態で設立も可能ですが、会社秘書(Company Secretary)の設置は義務づけられています。休眠状態(実質の業務量がゼロ)であっても、2,000USD~2,500USD程度の会社秘書の設置料金が発生します。

なお、ラブアン法人には外貨規制がないため、ラブアンオフショア口座を経由した取引では、入金、出金ともに制限はありません(資金移動は口座間移動のみとなります)。

2019年の法改正によってラブアン法人としての国内取引が可能になったが注意が必要

これまで、ラブアン法人の国内取引も、リンギット建ての取引も禁止されており、原則としてマレーシア国内をマーケットにすることはできませんでした。よって、マレーシア居住者(法人含む)と取引をする場合には、子会社として別途マレーシア法人を設立するなど工夫が必要でした。

しかし、2019年の法改正によって、マレーシア法人・居住者との取引においても、リンギット建てでの取引や、ラブアンの税制が適用される旨の改正がされました。

ただ同時に、その取引相手であるマレーシア法人・居住者側の税務においては、ラブアン法人に支払った金額の一部のみでしか損金処理ができない旨の改正もされたのです。

その結果、マレーシア法人・居住者である取引相手にとっては、ラブアン法人との取引が、自社の税務において大きなデメリットとなってしまう可能性が大きくなってしまったのです。

したがって、ラブアン法人としてのマレーシア国内の取引の際は、依然として注意が必要であることは心に留めておく必要があります。

3. ラブアンの持つ「人工形成されたタックスヘイブン」としての歴史とは?

アジア有数のタックスヘイブン「香港」との関係性

ラブアンならではの税制の優遇制度と法人設立について見てきました。ここからは改めて、マレーシア・ラブアン島が持つ、タックスヘイブンとしての歴史から見ていきましょう。そもそもラブアン島は、同じアジアのタックスヘイブンである「香港」と切っても切れない関係にあるのです。そんな両者の歴史から解説します…。

そもそも香港には、1997年7月1日に中国に返還されるまで、その役割の中核には下記ような2つのイデオロギーがありました。

■1. 規制緩和…外貨規制を撤廃し、資金の移動を迅速に処理すること
■2. 自由経済…モノの移動を自由にし、中継取引のハブ機能となること

さらに“中継取引拠点”である香港には、「入ってきたファンドを外に出す」、という重要な機能がありました。もともと香港は地政学的に交易に有利な場所にあるため、シンガポールなどの貿易拠点と同様、自然とタックスヘイブン政策が形成されやすい状況があったのです。

しかし、ラブアン島の持つタックスヘイブンとしての歴史は香港と一線を画します。

先述の香港の持つ先天的な地政学上のタックスヘイブンの歴史とは異なり、ラブアン島には、1997年の香港返還時期を狙って、香港の機能をラブアンへ移行させるべく、マレーシア政府が意図的に作り上げた、いわば「人工形成されたタックスヘイブン地区」としての歴史があるのです。

しかしながら、マレーシア政府の思惑に反して、現在のラブアン島は、先述の香港やシンガポールと比較すると、世界的な知名度が低い「金融経済特区」となっているのが現状です。しかし、そんな状態だからこそ、「日本人が知らないアジアのタックスヘイブン」として地位を確立させつつあることも事実なのです。

4. 南シナ海の沖合に浮かぶ「ラブアン島」の基本情報

ラブアンとはマレー語で「良港」「停泊地」の意味

このセクションでは、「日本人が知らないアジアのタックスヘイブン」を知るための基本情報を解説します。そもそもラブアン島とは、その名の通り、インドネシア・マレーシア・ブルネイの3ヵ国の領土でるボルネオ島のマレーシア領の東側3分の1を占めているマレーシア東部サバ州の南シナ海の沖合に浮かぶ【島】です。また、ラブアンとは、マレー語で「良港」「停泊地」を意味します。

面積は85平方キロメートルで、先述の香港とほぼ同規模の大きさ。クアラルンプール、シンガポール、ジャカルタ、マニラといった周辺の主要都市からもほぼ等距離に位置しています。

ラブアン

市街地は小さく、ほぼ縦横1Kmの範囲に収まっています。島全体も車で1時間ほどで1周でき、大部分が平地で緑にも恵まれています。近郊海域で石油や天然ガスが豊富に産出されますが、石油価格が低下してくると、コストの関係から採掘をストップします。

観光面では、第二次世界大戦や戦前の沈船が数多く沈んでおり、東南アジア有数のレック・ダイビングのスポットとして人気があります。マレーシア独立後はサバ州に属していたものの、1984年にマレーシア連邦の直轄領に、そして1990年には免税港となり、隣国ブルネイなどからの買い物客も多くこの島を訪れています。

5. 経済特区外での居住が認められているラブアンの「就労ビザ」のメリット

クアラルンプールやジョホールバルにも居住が可能

最後に、日本人がラブアン法人を設立して、その税制の優遇制度を受けるための条件について解説します。

結論から言ってしまうと、日本に住んでいない、つまり非居住者であること、あるいは香港やシンガポールやマレーシアなどの、国外源泉所得が非課税になる税制を採用している国に居住していることが条件となります。

つまり、マレーシアやシンガポールなどの居住を希望している日本人にとっては大きなメリットがあるのです。

ただデメリットとては、そもそもラブアン島は、リゾートしてはともかく、外国人が定住するとなると、他のマレーシアの都市と比較すると、インフラの面での不安が拭えないのが現状です。

しかし、ラブアンは行政上の区分としては西マレーシアに帰属するため、居住取締役は西マレーシアに居住できてしまうという大きな利点があるのです。

ラブアン島にて法人を設立すると、一定条件のもとに就労ビザ、在住許可が与えられますが、ラブアンの就労ビザは世界で唯一経済特区外での居住が認められるビザであり、クアラルンプール、ジョホールバルなどでの居住が可能になるのです。

アジアのタックスヘイブンとしての候補地のひとつに

今回、説明したように、ラブアンには、様々な租税優遇措置があります。しかし、現地に移住するには、生活インフラの問題など、懸念事項も存在するのは事実です。

しかし、誤解を恐れずに言えば、それこそラブアンならではの就労ビザの特性を活かして、生活拠点をマレーシアに構えつつ、ラブアンにて法人を設立する…というイメージが浮かんだ方も多いと思います。

タックスヘイブン施策に限らず、何事にもメリット&デメリットはつきものですが、香港やマカオやシンガポールに加えて、「アジアのタックスヘイブンの候補地のひとつ」として、ラブアンへの進出を選択肢として加えてみるのはいかがでしょうか?

※ 1リンギット=30円で計算

■企画/​構成 
株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ
Founder:三宅一道(ミンダナオ日本人商工会会頭)

6. 優良なマレーシア進出サポート企業をご紹介

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今回は日本人が知らないアジアのタックスヘイブン=「マレーシアのラブアン島」について解説しました。

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この記事を書いた人

Ichido Miyake

三宅 一道

株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ

2001年よりバンドマンから一念発起してフィリピン・ダバオ市に移住。2012年に株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズを設立。ミンダナオ日本人商工会議所(JCCM)・会頭も務める。

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