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日本人が知らないアジアのタックスヘイブン 【マレーシアのラブアン島】とは?

掲載日:2018年04月09日

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タックスヘイブン(租税回避地)と言えば、アジアでは香港やマカオやシンガポールなどが知られています。しかしアジアにはまだ【日本人にほとんど知られていないタックスヘイブン】があることをご存じでしょうか? しかもそのタックスヘイブン地区が、【アジアでもっとも税率が低い金融経済特区】だとしたら…?

それが今回ご紹介する「マレーシアのラブアン島」なのです。

今回は調査のために「ラブアン島」現地に赴き、複数の関係者から、ラブアンの魅力やタックスヘイブンの実態についての情報を入手。本レポートでは、その現地調査で入手することのできた、貴重な情報の一部をご紹介します。

Photo by Matthew Kang on Flickr

1. マレーシア政府によって「人工形成」されたタックスヘイブン

タックスヘイブンとしてのラブアン島の歴史

まずはマレーシア・ラブアン島が持つ、タックスヘイブンとしての歴史から見ていきましょう。そもそもラブアン島は、同じタックスヘイブンである香港と、切っても切れない関係にあります。

1997年7月1日に香港が中国に返還されるまで、香港の持つ役割の中核には下記ような2つのイデオロギーがありました。

■1. 規制緩和…外貨規制を撤廃し、資金の移動を迅速に処理すること
■2. 自由経済…モノの移動を自由にし、中継取引のハブ機能となること

さらに“中継取引拠点”である香港には、「入ってきたファンドを外に出す」、という重要な機能がありました。もともと香港は地政学的に交易に有利な場所にあるため、シンガポールなどの貿易拠点と同様、自然とタックスヘイブン政策が形成されやすい状況があったのです。

しかし、ラブアン島の持つタックスヘイブンとしての歴史はそれらと一線を画します。

実はラブアン島とは、マレーシア政府が、1997年の香港返還時期を狙って、香港の機能をラブアンへ移行させるために意図的に作り上げた、言わば「人工形成されたタックスヘイブン地区」なのです。

しかしながら、ラブアン島は、マレーシア政府の計画通りにはいかず、先述の香港やシンガポールと比較すると、世界的な知名度が低い「金融経済特区」となっているのが現状です。

2. 南シナ海の沖合に浮かぶ島、ラブアン島

ラブアンとは、マレー語で「良港」「停泊地」の意味

そもそもラブアン島とは、その名の通り、マレーシア東部サバ州南シナ海の沖合に浮かぶ【島】です。また、ラブアンとは、マレー語で「良港」「停泊地」を意味します。

面積は85平方キロメートルで、先述の香港とほぼ同規模の大きさ。クアラルンプール、シンガポール、ジャカルタ、マニラといった周辺の主要都市からもほぼ等距離に位置しています。

市街地は小さく、ほぼ縦横1 Kmの範囲に収まっています。島全体も車で1時間ほどで1周でき、大部分が平地で緑にも恵まれています。近郊海域で石油や天然ガスが豊富に産出されますが、石油価格が低下してくると、コストの関係から採掘をストップします。

観光面では、第二次世界大戦や戦前の沈船が数多く沈んでおり、東南アジア有数のレック・ダイビングのスポットとして人気があります。マレーシア独立後はサバ州に属していたものの、1984年にマレーシア連邦の直轄領に、そして1990年には免税港となり、隣国ブルネイなどからの買い物客も多くこの島を訪れています。

3. ラブアン島での法人設立について

国際的な金融オフショアセンター

現在のラブアンは国際的な金融オフショアセンターへと発展しました。前述のように日本での知名度は決して高くはありませんでしたが、今や香港・シンガポールに次ぐオフショア金融センターとして、(日本をのぞく)世界中から脚光を浴び始めているのです。

ラブアンに登記されている法人数は2017年11月末現在で14,000社を超え、その数は年々増え続けています。詳しい数字は確認できませんでしたが、日本人オーナーの企業はASEAN在住者が圧倒的に多く、150社程度が登記しているとの情報を得ています。

上記でも述べた通り、法人を登記するとアジアでは最低税率で節税対策が可能となります。

その為、シンガポールや香港の富裕層にも節税対策として利用されています。ラブアン法人には上限税額が設定されており、一言で言えば、いくら稼いでもそれ以上は課税されません。

上限税額は20,000リンギット(約60万円)となっています。留意点はいつ会社をつくっても12月が年度末決算となるため、例えば12月に登記してしまうと事業活動を行っていない場合でも帳簿作成が必要となり、翌年3月までに信託会社で保管する必要が生じます(この場合、会計監査は不要ですが、保管のみ必要となります)。

また、ラブアンは行政手続が迅速で、登記する場合は5日から1週間程度で法人登記が完了し、しかも外資100%での設立が可能となっています。

さらに株式会社の場合も1人株主・1人取締役、株主・取締役兼任での法人形態で設立も可能ですが、会社秘書(Company Secretary)の設置は義務づけられています。休眠状態(実質の業務量がゼロ)であっても、2,000USD~2,500USD程度の会社秘書の設置料金が発生します。

なお、ラブアン法人には外貨規制がないため、ラブアンオフショア口座を経由した取引では、入金、出金ともに制限はありません(資金移動は口座間移動のみとなります)。

ただし、ラブアン法人の国内取引は禁止されており、リンギット建ての取引も禁止されていますので、原則としてマレーシア国内をマーケットにすることはできません。マレーシア居住者(法人含む)と取引をする場合には、子会社として別途マレーシア法人を設立するなど工夫が必要です。

4. ラブアンでの節税対策とは?

多様な税の優遇制度

ラブアン法人に設定されている実効税率は「3%、または 20,000リンギット」となっており、どちらかを選択できます。実効税率3%と20,000リンギットを比べてみると、2,000万円の3%が60万円(約20,000リンギット)ですので、2000万の所得が境界線となると考えられます。こちらに関しては年度ごとに変更も可能です。

また、20,000リンギットを納税すると会計監査が免除されます。その理由は、最大税額を支払った企業に、わざわざ税務調査をする必要がないためです。ただし、会計帳簿は信託会社での保管が義務付けられています。

さらに所得税に関しても租税優遇措置があります。

ラブアンの就労ビザを取得し、マレーシアに移住した場合、年間の半分(182日の滞在で税務居住者とみなされる)をマレーシアで過ごすと所得税が4,000RM≒12万円程となります。ラブアン法人の就労ビザは発給後にTIN(Tax Identification Number/納税者番号)が与えられます。

182日未満の滞在の場合、所得税率は一律28%となっています。 ただし就労ビザがない場合でも、給与所得を受け取った場合に限り、マレーシアでの所得税の申告が必要となりますのでご注意ください。

ビットコインでの所得に関しても、ラブアンは絶大な節税対策拠点となります。なぜなら、日本ではビットコインは雑所得に区分されるため累進課税の適用となり、所得が高い場合は、最高税率45%が適用される可能性があります。しかし、ラブアンではこれが非課税。大きなアドバンテージとなります。

余談ですが、ラブアンには消費税やたばこ税、酒税もないため、それら嗜好品も非常に安価に入手できます。

また、上記の調査対象となった海外工場を持つ834社の中で、過去1年間で製品や部材を国内生産に戻した企業の割合は11.8%。そのうちの68.1%が中国および香港からの回帰となっており、続くタイが8.5%、さらにインドネシアが4.3%という結果報告となっています。

5. 経済特区外での居住が認められているラブアンの「就労ビザ」

クアラルンプールやジョホールバルにも居住が可能

そもそもラブアン島は、リゾートしてはともかく、外国人が定住するとなると、インフラの面での不安が拭えません。

ただ、ラブアン島にて法人を設立すると、一定条件のもとに就労ビザ、在住許可が与えられます。ラブアンは行政上の区分としては西マレーシアに帰属するため、居住取締役は西マレーシアに居住できてしまうという大きな利点があります。

ラブアンの就労ビザは世界で唯一経済特区外での居住が認められるビザであり、クアラルンプール、ジョホールバルなどでの居住が可能になるのです。

今回、説明したように、ラブアンには、様々な租税優遇措置があります。しかし、現地に移住するには、生活インフラの問題など、懸念事項も存在します。

誤解を恐れずに言えば、それこそラブアンならではの就労ビザの特性を活かして、生活拠点をマレーシアに構えつつ、ラブアンにて法人を設立する…というイメージが浮かんだ方も多いと思います。

タックスヘイブン施策に限らず、何事にもメリット&デメリットはつきものですが、香港やマカオやシンガポールに加えて、アジアのタックスヘイブンの候補地のひとつとして、ラブアンへの進出を選択肢として加えてみてはいかがでしょうか。

※ 1リンギット=30円で計算

企画/​構成 
株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ
代表取締役:三宅一道(ミンダナオ日本人商工会会頭)

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