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ミャンマー進出メリット・デメリット

掲載日:2016年05月24日

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photo by Elyktra on flickr

「アジア最後のフロンティア」と言われるミャンマー。その背景には過去の軍事政権時代に「鎖国」状態にあったがため、経済発展が東南アジア諸国連合国(ASEAN)の中でも遅れを取り発展余地を大きく残していたことがあります。しかし、アウン・サン・スー・チー国家元首の登場により、「ティラワ工業団地」を代表するように外資から多くの投資が集まり、今後の大きな経済発展が期待されるミャンマーです。

それでは、そんな今のミャンマーに進出するメリット・デメリットとは何でしょうか? 本記事では、まずメリット・デメリットについてまとめた上で、最新の経済状況のデータをもとに補足していきます。

ミャンマー進出、3つのメリットとは?

メリット1 欧米諸国からの経済制裁の撤廃、日本企業への投資誘致

1962年から1988年までの、ネ・ウィン軍事政権による鎖国的な経済体制によって、最貧国と認定される程にミャンマー(当時ビルマ)経済は著しく停滞し、他のアジア諸国と大きな差をつけられる結果となっていました。そんな軍事政権や貧しさ、当時の労働環境の悪さが影響し、欧米諸国はミャンマー製品の輸入禁止や、新規海外直接投資禁止などの経済制裁を行っていました。それがさらにミャンマー経済発展の妨げとなり、特にアメリカのミャンマー製品輸入禁止と送金禁止は近年までミャンマー経済に大きな影響を与えていました。しかし、2010年にミャンマーは民政移管を果たし、2011年に就任したテイン・セイン大統領が経済開放を進めたことにより、ミャンマー経済は再び国際社会に復帰ました。さらにはミャンマーにおける非暴力民主化運動の指導者、アウン・サン・スー・チー国家元首の誕生により積極的な外交関係を築き始めたのは最近の話です。

そして2016年10月、アウン・サン・スー・チー氏の活躍もあり、米政府が旧軍事政権に協力的だったミャンマー企業に対する経済制裁を解除しました。それにより、制裁に縛られていた現地有力企業が飛躍する契機になるほか、米企業のミャンマー投資も拡大する見通しです。輸出業の成長などで国内産業が発展すれば、課題であるインフラ改善が進み進出に大きなメリットをもたらします。その中で、ミャンマーでの提携先の選択肢が広がる中で人材獲得など成長市場を巡る競争激化の懸念もされています。しかし、アウン・サン・スー・チー氏は日本企業への積極的な投資を呼びかけていて、日本企業にとって進出しやすくなっているといえます。

メリット2 豊富で安価で良質な労働力

国民の約9割が仏教徒で一般的に温和な性格の人が多く、そうした良質な労働力を豊富に抱えています。そのため、「人件費の安さ」はミャンマー進出における大きなメリットと言えます。近隣の中国やベトナムのような、異常なまでの賃金UPや、物価の急激な高騰、勤続意識の薄さからくる、労働力確保の困難さも、ほとんど無関係です。もちろん、接し方次第ですが、「安かろう悪かろう」ではなく、着実な労働力や生産性を期待できることが大きなメリットとなっています。

メリット3 30億人の市場に接する好立地

中国やインド、タイなど計30億人の市場に接しているミャンマーは今後、周辺国との国際道路整備で地理的な強みを活かし、アジア物流のハブとなることが期待されています。軍事政権時代に整備されなかった交通インフラが最近、改善され始めています。タイとヤンゴン近郊のティラワ工業団地を結ぶ新たな幹線道路を整備する他、中国やインドとの国境を結ぶ道路を拡充する計画がミャンマー政府により進められています。

ミャンマー進出、3つのデメリットとは?

デメリット1 不安定な国内情勢、懸念される治安悪化

民主化されて間もないということで、まだまだ政情が安定的であるとはいえないことが1つのデメリットとしてあげられます。ミャンマー北東部シャン州では国軍と少数民族武装勢力との衝突が繰りされています。中国と国境を接するシャン州の不安定化は、同国の経済や外交にも懸念要因にもなってしまっています。また、治安悪化はミャンマー進出企業にとってはやはり大きなリスクとなってしまいます。

内戦終結を最優先課題に掲げているアウン・サー・スー・チー国家顧問主導の新政権ですが、積極的な外資誘致の成果を出すために郵船解決課題であり、大きな試練となっています。

デメリット2 インフラの未整備

長年にわたる軍事政権の支配で、ミまだまだインフラ環境が十分とはいえず、中でも電力不足、インターネットをはじめとする通信問題、工場用地不足や、道路整備の不備等に伴うロジスティックス上の問題は、進出を検討する際に大きな足かせになっています。

特に停電の多さと通信速度の遅さは大きな懸念点です。停電するたびにジェネレータを回しに社員が走るといったことが必要になるかもしれません。また、外貨の送金規制なども設けられており、外国企業とのやりとりにおいては、不自由が生じてしまう可能性が高いです。今後、改善されていくとはいえリスク回避や対策は必須となります。

デメリット3 法の未整備

最後にあげられるのが未整備な法です。ミャンマーは過去にイギリスの植民地であったことから、基本的に英国の判例法の強い影響を受けてきました。長い植民時代から現在に至るまで、社会主義時代を経ました。その後長らく軍政時代が続く中で、結果として法制度を順守することはそれほど重要視されず2012年の政治経済改革を迎えました。

そのため、現在は法の整備段階絵あり頻繁に変わる法に振り回されてしまうということも起こりかねます。不明瞭な法の意味を確認するために現地の行政官にヒアリングを行う際、その返答内容が不明瞭だったり、答える人によって返答がまちまちだったりすることも多くなってしまいます。急激な変革による筋肉痛のようなことが起こっているのです。

「鎖国」から「開国」へ、これから始まるミャンマー経済成長

上記ではメリット・デメリットを簡単にまとめました。メリットを見ると、コストの低さなど発展途上国が故のメリットに加えミャンマー特有の立地の良さ、発展余地の大きさがあることがわかります。一方でやはり、少し前まで軍事政権や欧米諸国から経済制裁を受けていたことの影響で「鎖国」状態であったことが影響から、未整備な部分が目立ちます。しかし、未整備な部分も総じて、「アジア最後のフロンティア」と言われるようにこれから大きな発展を遂げることがうかがえるのです。そこで、実際の経済状況、ミャンマービジネスの実態をつかむことで、ミャンマー進出をするにあたってメリットを最大限に活かすために必要なことを読み取っていきます。

アジア各国の名目GDP成長予測 (IMF World Economic Outlook 2016年10月版)によると、2021年までのミャンマーの国債総生産(GDP)成長率は、年平均10.7%で成長することが予測されています。これはASEANの中でもブルネイ、フィリピン、マレーシアに次ぐ成長率で非常に高い水準での成長が見込まれています。

数字が表しているようにこれから伸び続ける市場ということがわかります。ミャンマー新政権が発足し、アウン・サン・スー・チー氏が国家元首に就任したのも2016年3月30日、アメリカからの経済成長が解除されたのも2016年10月であり、これから大きく変化する国なのです。日本の官民も開発に参画するミャンマーのティラワ工業団地は2016年12月に着工から3年を迎え、その3年の間で外国から約1000億円もの直接投資を得ました。そのスピード感は東南アジアの工業団地でも類を見ないものでもあり、著しい成長を見せ始めた今、ミャンマーはついに「開国」に向けて動き始めているといえます。

カギを握るのはやはり、アウン・サン・スー・チー氏

しかし、このメリットは今まで未発達であったデメリットを今後改善した上に成り立つものであり、改善に向けてやはりアウン・サン・スー・チー氏に大きな期待がかかります。アウン・サン・スー・チー氏は就任後、積極的な外交活動を続け、日本企業にも投資を促しました。結果、経済制裁は解除され多くの外資企業が今、ミャンマーに目を向けています。外資から投資が集まることによって、着々とインフラは改善されていくでしょう。

それと同時に、アウン・サン・スー・チー氏は内戦終結を最優先課題に掲げています。しかし現状、解決には依然大きな障壁があり海外に目を向けながら国内問題を解決しないといけないという、決して簡単でないミッションを抱えています。

しかし、非暴力民主化を訴え幾度となく軍事政権と対峙し、国外退去を言い渡されてもなおそれを拒み戦い続け、ついに国のトップに立ったアウン・サン・スー・チー氏はこれからのミャンマーを大きく変えていくことが期待されます。アウン・サン・スー・チー氏の元、デメリット改善のその先に、大きな経済発展が垣間見えています。これからが大きな進出チャンスです。

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