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海外ビジネス コラム

商習慣 2012年07月13日

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「一国二制度の中国、さすがです。」

堀 明則(Hopewill Group)

2012年6月30日の日経新聞の記事でこんな見出しが。

「提携先のみ込む中国流」
「青島(チンタオ)ビール、サントリーとも手を組む」
「日本企業、一段の戦術必要に」

気になる見出しですね。以下、記事を抜粋します。

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アサヒグループホールディングスが出資する中国ビール大手の青島ビール(山東省)が、サントリーホールディングスと提携した。
日本のビール大手2社を股にかける青島。
見えてくるのは、巨大な消費市場をちらつかせ、ほしいものを手に入れようとする中国企業のしたたかさだ。

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青島は創業100年を越える老舗ビールメーカーです。
しかし後方より1994年創業の華潤雪花ビールが、豊富な資金量を活用し地場ビールをどんどんと傘下におさめ、2006年には中国首位の座についています。

そして、この中国の老舗ビールメーカーが首位奪還と中国市場での生き残りをかけ、とった戦術が、日本大手2社との二股戦略です。

一国二制度を作り上げてしまう中国人の「器」ですね。

王道や常識を超え、生き残るための「実」に向かって猪突猛進してゆく様子から、出口の見えない今の日本が学ぶことは多くあると思います。

もちろん、「節操がない」という声も多くあがるでしょうが、「生き残る」という強い決意における決断には一定の評価ができると思います。

記事は続きます。

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青島の金志国董事長(当時)が反転攻勢を仕掛けたのは一大消費地の上海だ。

「アサヒに目配り」

上海でも華潤は勢いがあり、シェアは2位。
青島は、同地のトップながら価格競争で赤字に陥ったサントリーに目を付ける。
昨春、「一緒にできることはありますか」と提携を持ちかけた。
サントリーは、ライバル企業が出資する青島からの申し入れに驚いたが、青島は1年をかけて粘り強く交渉、上海・江蘇省での事業統合にこぎ着ける。

サントリーは物流などの効率化のほか、将来は青島の販売網を活用して中国全土へ事業を広げることを期待する。

現時点で得するのは「サントリーの上海の販売店を生かし、売り上げを伸ばせる青島」

一方で青島はアサヒとの関係維持にも努めたようだ。
アサヒ関係者は「青島からサントリーとの提携案を事前に見せてもらっていた」と話す。

アサヒの「スーパードライ」を青島が広域で販売する交渉も本格化した。
アサヒの青島への出資比率は20%で経営への影響力は限られる。
にもかかわらず、青島が配慮したのは、アサヒから品質管理などの技術供与を受けており、吸収できることは今後も多いとの判断がある。

アサヒとの関係を壊さずに、サントリーの牙城も利用する。
「二股外交」を進められるのは、肥沃な中国市場をバックに持つためだ。

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上海で苦戦するサントリーに手を差し伸べ、結果「実」をしっかり手にしつつ、パートナーであるアサヒにも販売拡大への協力という「飴」を与える。
しかしアサヒから手に入れたいものはしっかりと最後まで逃がさない。

この采配、日本企業ではなかなか上手にできないでしょうね。

中国と言う意外なところで日本のビール産業の再編が行われたことになります。
「再編の逆輸入」ですね。
「ニッポン企業」という何か圧倒的存在感を放っていた20世紀には考えられない光景ですね。
日本企業も今はアジアの一企業としての立居地と謙虚さ、加えてアジアで生き残ってゆくというしたたかさを同時に身につけなければならない時代なのですね。

「中国に進出するぞ」
「インドに進出するぞ」
と一国の市場を目指して外国企業は挑戦をします。

しかし中国もインドも、ある意味「国家の集合体」、こういう見方で市場選定をする重要性も、この記事は問うているのではないでしょうか。

中国市場を熟知する中国人は、この市場特性をよく理解し、二股外交の矛盾も、巨大な市場の中になじませてしまいます。

広東省だけで1億人以上の人口を抱える中国。
広東省のみでもはやその市場量は日本と同じなのですね。

巨大な面積と人口を抱える国への進出における、非常に重要なエッセンスも伝えてくれているこの記事、今回は皆さんとシェアをさせていただきました。

皆さんは、この記事からどのようなことを感じ取られましたか?

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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