生活・文化 2014年09月25日
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【ベトナムの真実】ベトナムで考える日本企業の交渉力④
安部政権の下で、日本も集団的自衛権の行使容認に大きく舵を切りましたが、中国周辺でのきな臭さは増すばかりです。越日米で協力していかなくてはならないと思う反面、世界に誇るべき平和憲法との兼ね合いなど、本当に正解のない取り組みがこれから始まっていきます。きな臭い対中国情勢に取り組みながら、その取り組み自体を「正解」にしていくしかないのではないかと思います。
ベトナムにとっても、経済面での過度な中国依存を解消していく良いタイミングなのではないでしょうか。ベトナムにとって大きな痛みも伴う、過度な中国依存の解消プロセスでは、日本企業には多様なチャンスが巡ってくる筈です。
今回は、ベトナムで考える日本企業の交渉の典型的な症例に、話を戻したいと思います。一つ目は、事前準備不足が顕著で泥縄式の交渉に陥ってしまう症例について少しお話しました。もう一つの症例は、「自社や日本の当たり前」を交渉の場に、それこそ当たり前のように持ち込むことです。
「日本の常識は世界の非常識」とか「ガラパゴス○○」というようなことが言われるようになって、かなりの年数が経っています。なので、「日本と海外の常識や当たり前が違っているものだ」ということは、知識としては理解できてきているはずです。でも、ビジネスの日常が会社内や既存の取引先との当たり前の中で完結していると、ベトナムやアセアンでの交渉の場だと言っても、なかなか日常の当たり前と意識や思考を切り離すことが難しい現実があります。
国内での共通の当たり前を前提とした交渉やコミュニケーションと、当たり前や前提が違うことを前提とした交渉やコミュニケーション…。特に、交渉現場と意思決定権者である本社の距離感(物理的な距離ではなく、心理的・情報的な距離感)が大きい場合には、交渉現場での修正は並大抵ではありません。さらに根拠のないベトナム・アセアンに対する上から目線が加わると、
「日本では当たり前な話をしているのに、なんで通じないんだ…」
「この国(会社/相手)は、こんな当たり前のことすらわかっていない。本当に駄目だ」
「だからベトナムは(新興国は/この国は)駄目なんだ。こんなことすら説明しないといけないし、説明してもわかろうとしない…」
なんて発言が、夜の飲みの場で出てきます。ひどい時には、通訳を介している間に、内輪でごそごそと相手の駄目出しをしていたり・・・。
「うちではこれが当たり前なのに・・・」/「日本ではこれが当たり前なのに・・・」というボヤキは、日本での答え(交渉の場での答え)から抜け出せなくなる思考停止の兆候なので、要注意かと思っています。
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