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海外ビジネス コラム

商習慣 2017年01月27日

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なぜオーストラリアの物流業界ではミスが多発するのか

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

本来我々日本人の常識として、公共事業に近い存在である郵便システムは、一番安全であり、安価な金額で国内どこでも一律に近いサービスを受けられると考えがちですが、これは日本国内での話であって、オーストラリアに限らず日本国外では一概にそうとも言えない状況になっています。 

丁度タイムリーな話になりますが、日本の友人達から郵便物や年賀状が私宛に郵送されているはずですが、1か月を過ぎてもまだ私の手元に届いておりません。

クリスマス休暇もあり、年始年末で郵便物の郵送が滞っているのは分かりますが、それにしても1か月以上になります。 運が良ければそろそろ届き、運が悪ければ宛先不明で日本の友人達の元に返送、最悪の場合、これが一番可能性が高そうですが、このまま紛失という事になります。
 
こうなる理由を一言で片付けてしまえば、国民性としか言いようがありません。そこまで言い切ってしまうのは少し乱暴かもしれませんが、オーストラリア人は仕事に対する使命感や責任感が日本人に比べて希薄です。良く言えばイージーゴーイングですが、面倒ごと(もしくは残業など) に巻き込まれたくないという意識からか、責任逃れをする傾向も強く、小さい頃から鍛えられているのか、言い訳に関してはある意味で天才的な威力を発揮します。

何らかの問題が発生した際には、これは物流業界に限らず言えることですが、運良く真摯に問題解決に対処してくれる担当者に当たるまで(オーストラリアにも真面目な人はいます)、たらい回しにされてしまいます。

また以前、依頼を受けて企業調査を行いましたが、ここでも 「簡単に防げるミスなのに、どうしてやらないのか? わざと間違えているのか?」 と思うミスもありました。

たとえば、荷物の発送をする際のトラックを手配します。そのトラックが指定された朝の6時に荷物の受け取りに来ました。工場の就業開始時刻は6時半だったので、当然工場には誰もおらず、トラックは待ちぼうけ。6時半過ぎに従業員がちらほら現れたものの、積み込む荷物などは用意されていません。結局トラックは積荷を積まずに、空のまま戻っていきました。

その原因を突き詰めると単純な行き違いです。オーダーする側は 「夕方6時」 のつもりでFAXを送りましたが、受け取り側は 「早朝6時」 と勘違いして悲劇 (喜劇) につながりました。これはオーダーをする際に、時間表示を12時間表示から24時間表示に変えるだけで簡単に防げるミスです。このつまらないミスのために、料金を2倍払わなくてはならなりませんでした。

オーストラリアは人件費も含めて、日本と比べて物価が高いのですが、その背景にはこの様な “無駄” の存在も理由の一つだと考えられます。
 
また製造元から工場へ送られてくる品物と工場が製造元に発注した品物が違うことが多いのにも驚きました。しっかり数えていたわけではありませんが、5回に1回は全く異なる品物が届いていました。この大きな理由は、同じ商品について、製造元と工場とで異なる発注番号を使用し、統一性がなかったからです。どちらかが歩み寄り、共通の番号を使用したり、画像やサイズなどを明記すれば、ミスの確率がぐっと減るはずです。

冒頭で「わざと間違えているのか?」と書いておりますが、人件費の高いオーストラリアではフルタイムの正社員を採用するリスクを考慮し、派遣社員をこの様な業種で多く利用しています。実際に彼らと接して直接聞いた話ですが、仕事がなくなれば彼らは不必要な存在になってしまうので、彼らは自分達の仕事をより多く確保する為に、1日で終わる作業を2日に渡り、3日で終わる作業を5日で終えたりと、行為的に作業を送られる場合も少なくないようです。
 
結論から言えば「オーストラリアの物流業界で成功するために、特別なサービスをする必要はない」
 
オーストラリアの物流業界で成功するために、何か特別なサービスを用意する必要はありません。日本でごく当たり前のサービスを、つまり時間厳守・迅速配送などの、今現在行なっているサービスを持ち込むだけで、評価はうなぎ登りになります。世界的に見て、日本の運輸・物流業界における時間厳守や、多岐多様にわたり充実したサービスは、外国人の目から見れば異様に思えます。「市場が大きいが、競争相手が手ごわい国」 か、「市場は小さいが、競争相手が存在しない国」 か。そう考えた時、一見ぱっとしない国ではありますが、ライバルが存在しないため他国よりも楽に勝利できる国。それがオーストラリアです。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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