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海外ビジネス コラム

時事 2013年07月22日

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【特集 各国の進出失敗例】マレーシア進出時の落とし穴、「マレーシア現地人にやらせてはいけない仕事」とは?

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

「法規制」などではなく「人」に起因するトラブルが多い

マレーシアは過去のコラムに書いてきたように、法制度は透明ですし、賄賂もほとんどなくなりました。また多くの事業形態が日本資本100%での許認可を許されるようになっており、ビジネス立ち上げに関するネックや落とし穴はさほど多くないように思います。過去にもいくつか日系進出企業の失敗や撤退事例はありますが、法的な外部要因が理由になった事例はほとんど無いように記憶しています。この国で問題になるのは現地人の雇用に関わる際に発生する「人」に起因するトラブルが非常に多いのではと思いますので、私自身の失敗事例も含めて今回はその落とし穴について書きます。

 

なにか気にくわないことがあればすぐに会社をやめてしまう

日本企業が当地に進出し、ビジネスを開始するにあたって、現地マレーシア人従業員を雇用することが多いと思います。アジアに共通することですが、彼らは特段愛社精神というものは持たず、あくまで自分のことを中心に考えますから、日本人オーナーが「手塩にかけて」彼らを育てたとしても、なにか気にくわないことがあればすぐに会社をやめてしまいます。完全なジョブホッピング思考です。当然、人は育ちにくく常に退職者の穴埋めで採用募集を続けている会社も少なくありません。
それでいて、マレーシアは「働く側」が過保護なまでに法律で守られています。雇用法・労使関係法・労働組合法という3つの法律は、日本の労基法とは比較にならないほど労働者寄りで、一旦雇用すると、原則解雇できない、降格できない、減給できないという、日本人オーナー泣かせの労働法になっていることを、この国で起業してから気づく日本人も多いです。仮に雇用される側が不利益を感じた際には、IRD(労働調停所)という役所に訴える権利があります。そこで慰謝料を払ってやって1件落着することが大半ですが、こじれた場合には労働裁判所の案件になり、何年もかけた挙句に労働者有利の判決が出て数千万の支払い命令を受けた日本企業もあります。

 

マレーシア現地人には絶対にやらせてはいけない仕事がある

最後は「高いプライド意識」と「身分の概念」です。マレーシアではいわゆる3K作業を国民が行わず、出稼ぎに来ている他国のワーカーが担っています。このことを知らずに、日本流に育てようと、新入社員にトイレの掃除をさせたり、運転手がわりに使ったりしてしまう日本人オーナーも多いのですが、それはマレーシア国民に「屈辱を与えた」こととなり、いきなり辞めてしまうのはいいほうで、ヘタすると労働調停所に駆け込まれたりしています。面子をつぶされたマレーシア人従業員が、夜道で待ち伏せて日本人社長を襲い重傷を負わせたという事件も何度かありました。
私自身、何も知らない時にマレー人マネージャーに運転手をさせてしまって傷つけてしまい、最終的に彼が辞めてしまったという経験がありますが、事業成功のためには、優秀なマレーシア人スタッフのプライドや面子を保ちながら、生産性の高い仕事をしてもらってこそだと感じます。日本での当たり前の感覚を捨て、雇ってやっているのではなく、対等に雇用契約を結ばせてもらっている、くらいの感覚を持っておくことが、現地で失敗しない第一歩だと思います。

このコラムの著者

鵜子 幸久

鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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