時事 2013年12月03日
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【特集 世界各国の税制度】未来は明るい? マレーシアで導入される「GST(物品サービス税)」
消費税や付加価値税は存在していなかった
マレーシアでは、所得税や法人税などの根幹をなす税金システムは日本と比べてシンプルかつ低率で、日本にはない非常にユニークな運用がなされていますが、この辺は過去に解説したので、今回は2015年にいよいよ導入されることが決まったGST(物品サービス税)について書きたいと思います。
マレーシアは資源国であり、豊富な石油や天然ガス、ゴムやパーム油などによる大きな国家収入もあり、生活に密着する物品に対する消費税や付加価値税は存在していません。それどころか、政府からの補助金によって物品コスト自体が高くならないように設定されているので、GDPと比較して生活物価は低く、たとえ所得が低くとも国民が生活しやすい状態だと言えます。一方で、政府のそういう「大盤振る舞い」によって、財政悪化が進んできたという負の側面がクローズアップされてきたことにより、ついにこの10月の国会で、2015年4月よりのGSTの導入が決定されました。
傷の浅い状態でGST導入を決意
実はマレーシアでは現在、工業品やぜいたく品を対象にした売上税や、レストランやホテルなどのサービス税として6~10%を課しています。しかし、2年後に運用が始まるGSTは全体税率を6%に統一する代わりに、身の回りの生活品も含めて、幅広い課税が行われる予定です。2004年に政府が初めてGSTの導入を言い出した時には、国民の反発が大きく導入の先送りを余儀なくされましたが、今回は立ちはだかる財政赤字の壁に、待ったなしという判断となりました。今後も予想される反発をかわすために、GST実施時には、公共料金や、基幹食品などの生活必需の度合いが高いアイテム、住宅購入などは課税しないほか、低所得層に対しては一時金を支給する予定です。
当然のことながら、どの国の国民も税金が上げられることについては反対の声をあげます。しかしその声に配慮しすぎるあまり、日本をはじめとする多くの先進国が現在どのような状況に陥っているかは説明の必要はないでしょう。むしろマレーシアがはるかに傷の浅い状態でGST導入を決意したことは長い目で見て歓迎すべきことです。先の選挙を意識した国民の機嫌取りに終始せず、国家の未来のために財政再建を成し上げようとした今回のナジブ首相の決断は高く評価したいと思います。
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