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海外ビジネス コラム

時事 2012年10月11日

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【「尖閣問題」緊急特集】揺れる日比の対中外交から見えてくる、フィリピン進出の魅力

黒木 俊介(株式会社タグリッシュ)

みなさん、はじめまして。株式会社タグリッシュの黒木俊介です。

今回の特集記事を皮切りに、今後、フィリピン市場に特化したトピックをお届けしていきたいと思いますので、ぜひ『フィリピン進出』の参考にしていただければ幸いです。

さて、今回は緊急特集ということで「尖閣問題」がテーマです。

近年、東南アジア諸国に追いつけ追い越せと産業開発が進み、経済発展を遂げているフィリピン。
そんなフィリピンの経済社会の背景には、中華系移民・華僑の人々の活躍が大きく影響しています。

 

フィリピンにおける華僑系の割合は、人口から見ればわずか1~2%程度(約120万人)の割合ですが、経済的には市場の60~80%を動かしているとも言われています。
実際、フィリピンで名立たる幾つもの大企業が、そうした彼らの手によって動かされており、それを示すかのように、フィリピン版“長者番付”の上位40名のうち半数以上がこうした中華系フィリピン人で占められていることには驚かされます。

地理的に中国とフィリピンは割と近いこともあり、1800年代後期から中国からの移民は多く、今でも多くの文化的要素がフィリピンの生活や習慣の中に取り入れられています。

そんな経済的にも社会的にも繋がりが深い中国とフィリピンとの関係ですが、ここ最近、領有権を争っているスカボロー礁の領有権の問題によって、経済への様々な懸念が深まり、両国間の緊張が高まってきています。

とはいっても、フィリピン国内では今のところ目立った暴動などはありません。
中華系移民の方々も、二世、三世と長くフィリピンを拠点にしている方が多く、報道にある過激な中国人の雰囲気はなく、むしろフィリピン人寄りの気質や感覚を持たれている方がほとんどです。
そう角の立つ行動は見られず、お互いに理解し合ってうまくやっているようです。

しかしながら、先日の報道によれば、中国側は、フィリピンからの輸入に制限を設け規制するほか、国家事業への融資を打ち切り、即時返済を迫るといった経済制裁とも思えるような対応を行使するとのこと。
さらに、スカボロー礁を監視するために無人偵察機を飛行させるとも言っており、それに対して、フィリピン側は“撃墜”をも想定した姿勢で構えるなど、緊迫した様相が伺えます。

 

フィリピンは、かつて米軍の基地を国内から排除した経緯もありますが、政治・防衛上、現在もアメリカと強固な同盟関係が存在しています。
今月中にも、米軍は、原潜や艦艇と約3千名の海軍兵を引っ提げて、フィリピン軍との合同演習を実施する予定になっており、フィリピン・米間の同盟体制を示すことで、中国を牽制する狙いがあるようです。
ただ、非常にデリケートな問題だけに、強攻な姿勢がどう影響するか心配が続きます……。

また、これと時を同じくして、日本と中国の間でも同じように“尖閣問題”が取り沙汰されている毎日です。
そんな中、頑なな姿勢で臨む中国を相手に、日本もフィリピンも似た立場に立たされていながら、お互いが「ピンチは、チャンス!」とばかりに、日本企業のフィリピンへの進出の動きが積極化しています。

フィリピン政府は中国で事業活動を行う日本企業に対して、税制面や人材支援など様々な面でクオリティーやコストパフォーマンスも中国に劣らない好条件で迎え入れる態勢を示し、「ぜひ!この機会にフィリピンへ!」といったように誘致活動を活発化させています。

中国に依存していた日本企業は、一度、こうした政治的・社会的要因が身に降りかかってくると一気に厳しい立場に追い込まれてしまいます。

それと比べれば、日本とフィリピンの関係の方がよほど健全で親和性があると言えそうです。
かつて、第二次世界大戦時代には、日本の侵攻により激戦地と化したフィリピンですが、終戦後、そうした両国の国交が正常化してから66年が経ち、今では、むしろ同じアジアの島国として親日家の多い雰囲気が感じられる様相になってきています。

そうしたこともあり、今、フィリピンには、多くの日本企業が注目し始めています。
日常的に英語が使われている環境にあるため、円滑で効率的なコミュニケーションが図れることが魅力のひとつでもあり、すでに世界中から外資系企業が進出してきています。
免税など諸々の優遇措置を設けた誘致政策もあります。
さらに、周辺の東南アジア諸国に比べて、フィリピンには優秀な人材が多く、しかも、勤勉で安価な労働力となっていることで、企業の需要にマッチさせながら、雇用の拡大が図られています。

日中間の問題が落ち着くには、まだしばらく時間が掛かりそうですが、その間に、これからの日本企業のアジアにおける“生産拠点”(製品の供給源)として、また、 “販売拠点”(商品の流通市場)としてフィリピンへの進出が加速されることは間違いなさそうです。

まずは、そうしたフィリピンの経済発展におけるポテンシャルと現状の動向をより鮮明に捉え、また、日本とフィリピンとの歴史や政治など社会的な視点でも意識し、理解を深めることで、フィリピン進出へ向けた準備を始めてもらえたらいいのではないでしょうか。

ちなみに、ここ数年で、企業だけではなく、個人の“フィリピン進出”もかなり見受けられるようになってきました。
“進出”の内容としては、不動産への投資です。
マニラ首都圏に林立する高級コンドミニアム物件などが人気を集めています。
この辺のお話は、また次回以降にお伝えしたいと思います。

きっと、もっと、日本とフィリピンの輝く『明日』が広がっていくことを願って―。

マブーハイ!

 

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黒木 俊介

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