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海外ビジネス コラム

時事 2012年11月08日

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【リーダー交代特集】次期中国国家主席・習近平は現状路線踏襲? 中国進出に与える影響

川添 英起(株式会社リバーサイドシンク)

私たち中国進出コンサルティングを生業としている者にとっては、この国の指導者交代には、大変大きな関心を持っております。

ともすると国策が恣意的運用に陥りやすい国ですので、国策の運用はその指導者の考え方ひとつで大きく変わることもあります。

アメリカ大統領、韓国大統領、フランス大統領、ロシア大統領、日本総理大臣(?)など、世界の指導者が変わるこの時期に、中国主席の交代は世界情勢にも大変重要な影響を与えるものと思います。

 

【中国の指導者交代】

今般中国の指導者交代のスケジュールは、11月8日から開催される第18回中国共産党全国代表大会(5年に一度開催)で、習近平氏が党総書記に選出され、2013年春に開催される全国人民代表大会で国家主席に就任すると言われています。

【習近平氏について】

習近平氏は1953年6月1日生まれの59歳。
精華大学卒業で、父親は中国国務院副総理。
江沢民氏の強い推薦で、2007年10月の第17回共産党全国代表大会で2階級特進の政治局常務委員会委員に抜擢されました。
2010年10月の第17期共産党中央委員会第5回全体会議で党中央軍事委員会の副主席に就任し、胡錦濤総書記の後継者として最有力の地位となりました。

 

【中国の最高指導部】

中国の最高指導部は共産党中央政治局常務委員会のメンバー(いわゆるチャイナ・ナイン)が政務にあたっています。
今回の幹部交代で興味深いのは、胡錦濤氏が中央軍事委員会の主席に留まり、その影響力を保持するかどうかです(このコラムがアップされる頃には明らかになっているかもしれません)。

 

【胡錦濤氏と習近平氏の違い】

胡錦濤氏と習近平氏の違いを見てみると、胡錦濤氏が共産主義青年団出身の団派であるのに対し、習近平氏は高級幹部の子弟である太子党ということです。
この2つのグループには特に大きな政策の違いがあるわけではないのですが、多民族が共存する中国では、出身や続柄などで分類することが多くあるようです。
江沢民氏などはこれらどちらにも属さないグループですが、上海閥というグループでくくられています。

これも人的繋がりや交友関係を重視する中国ならではのくくりだと思います。
そして、中国の場合はこれらの政治派閥のつながりが、政策決定の重要な要素になるようです。

では、胡錦濤氏と習近平氏の政策の違いはどのようなものでしょうか?

内政政策において、胡錦濤氏は科学発展・文化充実・農村部の発展・環境整備などのバランスを重視し、江沢民氏の成長率重視の政策から若干の修正を行っているように思えます。

習近平氏の内政政策は当分の間はこの胡錦濤路線を踏襲すると思われます。
したがって、まだまだ国際間格差のあるものについては、日本からの科学技術の導入や産業誘致の姿勢は変わらないものと思われます。

さて、一番気になるのが両氏の外交政策の違いです。

胡錦濤氏は国際協調派と言われ、外交については穏健であるといいます。

これに対し習近平氏は尖閣問題を踏まえて、国家主権の維持には軍事力を含めた手段を除外すべきでないという姿勢を出しているのです。
ただし、習近平氏が所在不明となった時期(2012年9月ごろ)の直後に、領土問題の平和的解決という発言をしており若干の修正があったものと思われます。

先にお話ししたように、指導者交代後も胡錦濤氏がその影響力を残すような体制になれば、尖閣問題で軍事衝突が起こるようなことにはならないであろうという見方をする人が多いようです。

 

【尖閣問題の行く先】

中国で尖閣問題について様々な中国の方に聞きますと、大体次のような共通する意見がありました。
それは、「今回のような反日行動の容認や、国家的制裁政策は、指導者交代による流動期に国家威信を誇示するための強硬策である。したがって、指導者交代が行われた後は、問題棚上げなどにより収束するであろう」ということです。

 

【所在不明時期と国政運営の方針】

ここからは私の独断と推測になりますが、私は習近平氏の国政ビジョンがここ1か月の間にかなり具体的に協議されていたのではないかと思われます。

習近平氏がクリントン国務長官との会談をキャンセルし、所在が不明になったとマスコミが報じていました。
一説によると怪我をしたとか、病気だとか言われていましたが、この所在不明の時期に、ある情報通の中国の方に聞くと、「今、習近平氏は指導者になるための最後に準備をしているところです。中国ではそういうことはよくあります。しばらくすれば出てきますので心配いりません」と言っていました。
その通りマスコミの前に現れ、より確固たる意見を発表しています。
この期間に指導者を引き継ぐにあたっての、国策運営方針の最終確認が行われたのではないでしょうか?

上記の尖閣問題に関する発言の、若干のニュアンスの違いはこのためではないかと私は考えます。

 

【人となりの所感】

習近平氏は「質素で倹約家」とか「人の話をよく聞く」とか「開放的な姿勢を持っている」とか評されています。

私は習近平氏が来日した際の天皇陛下との接見で(スケジュールの無理押しがあり、批判はありましたが)、習近平氏の態度は充分評価に値するものだと思いました。
一国の王族を表敬する姿勢が現われているように私には映りました。

習近平氏が親日であることを祈りつつ、両国の関係が良好に発展することと、私たち中国進出の支援をする者たちが充分その機能を発揮できるような環境が整うことを切に願い、このコラムの結びといたします。

 

このコラムの著者

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川添 英起

(株式会社リバーサイドシンク)

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