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海外ビジネス コラム

時事 2013年01月10日

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【特集2012年総括・2013年予測】”海外研修”の現場から見えてきたグローバル人材育成の現実

豊田 圭一(株式会社スパイスアップ・ジャパン)

■  欧米の留学事業からアジアでの研修事業へシフト

1994年から2010年まで、欧米を中心とする大学や語学学校への留学、海外企業へのインターンシップをサポートしてきましたが、ここ数年のグローバル人材育成の流れの中で、従来の海外留学や海外インターンシップでは企業が求める必要な人材を育成できないのではないか?との思いから、2年前からアジアで独自の研修を始めました。

1つのキッカケは、当時、複数の企業の方から「豊田さん、アメリカとかに留学している人はいいから、インドに留学したなんて人はいないの?そういう人がいたら取りたいんだけど、、」と言われたことです。そして、ちょうどそのときに、母校の上智大学で講義を行う機会をいただき、「グローバルビジネスを取り巻く日本企業の状況やその中でどのような人材が求められているか?」などを話した中で、前述の「インドなどに留学をしている人が求められている」という話にも触れたところ、授業が終わったときに1人の学生が近づいてきて、「先ほど話していたインドでの留学をしたいんですけど、豊田さんにお願いできますか?」と聞かれたのです。

もともと、欧米の留学しか仕事としては扱ったことはありませんでしたが、私自身、学生時代はバックパッカーでアジアの各国にも訪れましたし、中でもインドは学生時代にも社会人になってからも1〜2ヶ月の旅をしていましたので、インドで研修プログラムをつくってみようと思い、彼のためにインドで語学研修とインターンシップを組み合わせた1ヶ月のプログラムをつくりました。

彼はその後海外での就職を希望し、紆余曲折を経て、現在はシンガポールで働いているのですが、初めて会ったときの彼とインド研修を経て今に至る彼のマインドの変化が非常に面白く、「海外で活躍したい!」「海外で勝負したい!」というマインドをつくるためには、新興国のタフな環境が必要だと思うようになりました。

 

■  企業の海外研修の変化

ちょうど2010年から2011年は企業も従来の海外研修を見直す時期だったように思います。もともと、企業の海外研修は「語学研修」と「MBA留学などの大学院留学」と「海外現地法人での実務研修(トレーニー制度)」の3つが大きな柱でしたが、生産拠点や仕入れ先としての「海外」から、マーケット(市場)としての「海外」に大きく状況が変わってきた中で、海外のマーケットを開拓していける人材に必要なものは、語学やマネジメントスキルの前に、グローバルで活躍したい!というグローバルマインドやどのような環境においても現地の人を巻き込みながら仕事を進めることができるというタフで主体的なマインドだということで、「若いうちに海外を経験する」ということに重きが置かれ、スキル・知識習得型の海外研修から、体験型の海外研修に変化をしてきました。そして、研修地は欧米ではなく、アジアを中心とした新興国に変わってきました。

しかし、「新興国での体験型の研修」と言っても、どのような研修が効果的なのかは各社ともまだまだ試行錯誤の状況と言えます。タフな環境という理由から数ヶ月の語学研修先としてインドが選ばれたり、あるいは新興国で語学研修をしながらマーケット調査をするようなフィールドワークを入れたり、あるいは発展途上国でのボランティア活動に参加するような研修を取り入れたり…。

私自身も2011年から2012年にかけては試行錯誤をしながら、インドやベトナム、シンガポール、タイ、マレーシアなどで、主に企業の若手社員や大学生に対して、少しずつ趣向を変えた研修を行ってきました。

 

■  超実践型海外研修「ミッションコンプリート」

試行錯誤を経て、現在、私が企業向けに提供している研修は「ミッションコンプリート」(※リンク先: http://jin-g.com/mc/index.php )と呼んでいるもので、これは昨年末に発売された日経ビジネスの巻頭特集「グローバル人材の幻想」の中でも、「ここまで、踏み込め」というタイトルで大きく取り上げられましたが、知り合いもなく言葉も通じにくいアウェイの地(新興国)で、日々の業務と同じように常に複数の仕事(ミッション)を出され、期日が設けられる中で成果を出さなければいけないという研修で、期間はたったの1〜2週間です。

海外留学のビジネスに従事していた頃は1年の留学でどこまで成果があるんだろうか?ましてや1ヶ月や数ヶ月の留学なんて、もちろん良い経験にはなるけど、企業が行う研修としては費用対効果があるのだろうか?という疑問がありましたが、今は1週間の研修でも効果があると思っています。

なぜなら、この研修は「日本とは異なるアウェイな環境においても主体的に行動して成果を出す」というポイントに焦点を当て、語学力や専門知識を伸ばすことにはあまり重きを置いていないからです。語学力や専門知識は日々の業務や日本国内の研修でも十分につけることができます。限られた時間とお金の中でグローバル人材育成をするには従来の海外研修ではなく、海外でしか鍛えられないところに焦点を当てようと思い、短い期間の中であれもこれも中途半端に行うことだけはやめました。

と言っても、私自身、今でも毎回試行錯誤をしながら研修を行っています。

ミッションコンプリートが取り上げられたページでは、「グローバル人材の育成、採用、活用に関する日本企業の取り組みはまだ中途半端だ。育てるなら、若手人材を新興国に放り込み、現地の人と接触させて実践の場で鍛える。」という記述がありましたが、確かに今はまだ試行錯誤のステージなのだろうと思います。

しかし、2013年はこの数年の試行錯誤を経て、より成果を求める研修に変わってくると思いますし、「体験型」の海外研修も内容がより実践の仕事に近いものになるはずです。そして、短い期間で効果のある研修が増えてくれば、それはすなわち、より多くの方が参加をできるということにも繋がり、多くの日本企業にとってグローバル展開を加速させる一助にもなるのではないでしょうか。

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豊田 圭一

(株式会社スパイスアップ・ジャパン)

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