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海外ビジネス コラム

時事 2013年01月16日

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【特集2012年総括2013年予測】中国経済が、再び成長周期に突入すると予測される5つの理由とは?

川添 英起(株式会社リバーサイドシンク)

2013年あけましておめでとうございます。

2012年は「尖閣」に明け、「尖閣」に暮れ、中国進出をお手伝いするコンサルティングとしては、大変悩み多き1年でした。コンサルティング内容も「中国に進出して大丈夫か?」とか、「今後、同じようなカントリーリスクが発生する可能性はあるのか?」などと難しいご相談が多く、判断に悩むことばかりで、皆様にベストアンサーが提供できたのかどうか不安に思っております。

 

今回のコラムは2012年の中国情勢を踏まえて、これらのご質問にお応えすべく、例によって独断と偏見ではありますが、2013年中国進出はどうなるか、という点についてお話したいと思います。

 

【経済成長】

まず、中国進出を判断するうえで、2013年の中国のマーケットはどうなっていくのかという点について考えてみたいと思います。

昨年までの状況を見ますと、中国の経済は減速しているというのが、大半の経済評論家の意見です。

確かに実質GDPの成長率は、2010年にリーマンショックから回復し、10%を超えたものの、2011年以降10%を割り、下記の通りの推移となっています。

2010年   2011年   2012年(推計値)

10.4%    9.3%     7.8%

それでは2013年はどうなるのでしょうか?

 

中国科学院から発表された2013年の予想値では8.2%と昨年を上回る成長率が予想されています。

その根拠として、2013年は中国の経済成長が拡大するという、いくつかの要因があります。

 

①   2011年から実施されている第12次5か年計画が中盤にさしかかり、今年は5年間の目標を達成するための正念場であること
②   投資構造が変化しつつあり、地方の都市化が進んできていること
③   所得倍増計画による賃金アップにより、消費拡大の効果が出てきていること
④   新体制発足で結果を出すために、実効手段をとると思われること
⑤   追加利下げが予想されること

 

などがその要因で、これらを総合すると2013年の中国は新たな経済成長上昇周期に入るターニングポイントと思われます。

 

【人口問題】

中国は長年採ってきた「一人っ子政策」の影響で急速に少子高齢化が進んでいると言われています。

生産年齢人口(15歳~64歳)も、2015年~2020年にはピークアウトすると言われています。つまり、2013年は少子高齢化時代へ突入する前段階の年となると思われます。しかも、生産年齢人口は都市部に集中しており、例えば、上海の常住人口は2012年5月には2,347万人超(10年間で40%増)と発表されましたが、戸籍人口が1,400万人程度なので、流入している非戸籍人口(地方出身者)が1,000万人近くいることになります。人口の都市部集中度は50%近くに到達しているとみられます。

中国政府は2013年にはこれらの対応を具体化していくものと思われます。少子化対策、高齢化対策、都市集中化対応策などの政策が2013年には出てくるのではないでしょうか?

 

「一人っ子政策」の見直しや、経済成長の項目でお話しした、地方の都市化は、中国が達成しなければならない政策のひとつであることがわかります。

 

【有望ビジネス】

2013年の中国ビジネスで有望視される業種はなんでしょうか?

一つは、前項でお話した少子高齢化に関連した、老人介護ビジネスではないかと思います。2013年は少子高齢化元年でもありますので、政府としてもこれらのビジネスを支援していくことになるはずです。

現に民間のディベロッパー、医療関連会社も大変日本の介護ビジネスに興味を持っています。

 

もう一つは、文化産業です。政府も文化、芸術分野の充実に力を入れていま

す。特に、映画、ゲーム、漫画、アニメなどの文化産業には注力して行くと思われます。心配される知的財産権の保護については、2012年3月にクレヨンしんちゃんの著作権侵害訴訟で日本側が勝訴したのを見ても、中国側の国際社会を意識した、知的財産権の保護姿勢は強化されるものと思われます。

 

最後は、女性関連ビジネスです。エステ、ネイル、コスメティックなど、女性関連産業は可処分所得の増加局面では必ず発展する分野ではないでしょうか?

2013年は新たな経済成長上昇周期に入ると思われますので、女性関連産業にとってはチャンスが到来するのではないかと思われます。

 

【尖閣問題】

皆様が一番気になる、尖閣問題に端を発した日中関係の悪化は、2013年はどうなるのでしょうか?

 

①   現状

尖閣問題の話題で、「政冷経熱」という(胡錦涛氏による造語らしい)言葉をよく聞きますが、まさに、「政治分野では冷却しているが、経済分野では過熱している」のが今の日中関係ではないでしょうか?

仕事の関係でお話を聞く日中ほとんどの方が、「ビジネス関係では、中国(日本)抜きでは仕事が成り立たない」とおっしゃいます。

また、日本人と結婚した中国人女性で、ご子息と中国で暮らす方は、「中国人の友人から、“尖閣諸島の件で日本製品を買うのはやめましょう”と言われたが“じゃあ、あなたは日本製品無しで暮らせるの?”と言ったら、みんな黙ってしまった」と語っていました。

 

②   解決方法

中国人の有識者と話す機会があり、尖閣問題について聞いてみました。彼は比較的リベラルな意見を持っている方ですが、今回の問題解決には、

1、      日本が領土問題の存在を認めること

2、      当事者間ではなく国際的解決をすること

3、      日本側が問題解決に踏み出すこと

の3点が必要だと言っていました。

果たしてこの3点が解決のカギとなるのかどうか?

いずれにせよ解決には「政」の決断が必要です。

 

安倍総理は中国では「領土と安全保障問題で強硬姿勢を崩さないとみられるが、日本企業の中国における利益を守るため、経済面などで温和な対中政策を取る可能性がある」との評価もあり、期待が持てます。

一方中国側も習近平氏が国家主席に就くことにより、日中関係改善を模索するのではないかと予測もあります。

いずれにせよ関係改善は双方が望むところであると思われます。

我々民間の「経」としては、日中友好の懸け橋となるように、活動を通して障害を取り除くように努力するだけです。

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川添 英起

(株式会社リバーサイドシンク)

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