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海外ビジネス コラム

その他 2012年07月24日

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駐在員がカギ! 現地法人立ち上げまでの長く険しい道のり

小野 耕司(インドネシアビジネスサポート)

 

本コラムは3ヵ月間にわたり毎週一回、合計12回の連載でお送りします。

3回目のテーマは、『立上までの長い道のり』です。

 

前2回で、投資環境の調査、マーケットリサーチ、投資回収計画など、日本においてのスタディー、さらには現地視察も十分に行い、さあ! いよいよ進出手続きの開始です。

現地法人を設立し、用地を購入し、工場建屋を建設し、従業員を採用し、材料を日本から輸入し……など、既に他の国に進出経験のある会社であれば、進め方の大筋は実感が持てるでしょうが、海外進出は初めてというところは、なかなかそうは行かないと思います。

ただし、海外進出の経験が既にある会社もご注意下さい。
決して脅す訳ではありませんが、インドネシアは外国投資手続が世界一煩雑な国とも言われるくらい、許認可手続は複雑です。
そのため、日本人が運営するところも含め、専門のエージェント会社が多く存在し、その料金は他のアセアン諸国に比べて割高なものになっています。

筆者も困惑することが多いので、これまでの実務経験と、現地政府機関などから得られる情報をもとに、投資申請から操業開始までの全ての許認可業務をスケジュール表にまとめてみたところ、書類の数にして約100件となりました。

これらの許認可をマイルストーンにして、用地選択、駐在員決定、幹部社員採用などの準備業務をスケジュール表に置いてみると、だいたい200弱のステップを踏まなくてはいけないことが判りました。
そして、これらのステップ間には、複雑な前後関係の制約があり、決して単純ではありません。
そのため、筆者はM社のプロジェクトマネジメントソフトを使い可視化することで、計画立案と進捗管理を行っています。

また、現地政府の公式情報では手続時間1日となっている事項でも、実際には1週間から1ヵ月くらいを要する場合が多く、製造業の場合は通常ですと申請から操業開始まで、短くて1年くらいを見ておく必要があります。

人材が比較的豊富な大企業の場合はあまり問題ないと思われますが、中小企業にとってこれらの進捗にブレーキをかけることが多い事項は、現地法人の責任者となる駐在員がなかなか決まらないことです。
こちらが原因で許認可手続が前に進められない、と言った悩みを良く耳にします。
理想的には検討段階から任命しておき、出来るだけ早い時期に滞在許可や就業許可を取得し、現地において旗振り役として動き回らせることです。
とにかく現地に行けば、大小の準備作業は山のようにあります。

しかし、だからと言って目の前の仕事に振り回されてはいけません。
申請から操業開始までの、複雑な手順の全体像を押さえた上で、個別のステップを粛々とこなしていくことが求められます。
おそらく周囲の日本人からも色々な情報やアドバイスを得ることが出来るでしょう。
しかし、全体像を把握していないと、それらの情報に惑わされ、まだ様子が良く判らない初めての赴任地と言うことも手伝って、地に足が着かない毎日になってしまいかねません。

また、いくら全体像が判っているとしても、全て自分一人で対処するのは大変ですから、総務、経理、労務を任せられる、将来の右腕となりうる、インドネシア人の幹部社員を早く採用することが大事です。
このポストに良い人材を見付けられるかどうかで、将来の成功の是非が決まると言っても過言ではないでしょう。
この人に日本文化とインドネシア文化の架け橋になってもらわなくてはいけないのです。

この長くて熱い期間を無事こなして、操業開始まで成し遂げた駐在員は、その後の現地法人経営を通じて、人間としても多くのことを学び、必ずや貴社にとって、かけがえの無い海外ビジネス人材となることでしょう。
これらの人達に贈る言葉として、ぴったりのものがあります。

 

それは、『あせるな、あわてるな、あたまにくるな、あてにするな、あきらめるな』です。

 

次回のテーマは、4.駐在員の不安と期待、です。ではまた来週お会いしましょう。

 

このコラムの著者

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小野 耕司

(インドネシアビジネスサポート)

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