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海外ビジネス コラム

その他 2012年07月31日

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インドネシアの言語・文化・歴史……、進出成功を左右する現地環境への知識

小野 耕司(インドネシアビジネスサポート)

 

このコラムは3ヵ月間にわたり毎週一回、合計12回の連載でお送りします。
4回目のテーマは、『駐在員の不安と期待』です。

筆者がインドネシア駐在可否の打診を受けたのは26歳の時で、結婚して間もない頃でした。
元々、インドネシア工場の本社側サポート担当であったことと、その直前に2週間ばかりジャカルタの工場に出張しており(これは後から聞いた話では、現地の責任者に適性を評価してもらうためだったらしい)、現地の事情を全く知らない訳でもなかったので、結婚したばかりの妻と相談することもなく(このことは後々、妻から責められることになるのだが……)、その場の二つ返事で決めてしまった。

最近は若い社員が海外勤務を受けてくれなくて困っていると言う話を良く聞きます。
そこで今回のお話は、既婚で幼い子供を持っている30歳前後の社員が、インドネシア駐在の辞令をもらった場合を想定してみたいと思います。

結論から言いますと、日本に居る時よりも10倍くらいの苦労はしますが、100倍くらい得るものが多いので、この機会を逃してはいけないということです。
知らない土地ですから当然不安はあるでしょう。
しかし、2億人を超える国民が生きており、しかも1万人以上の日本人が生活している訳ですから、何とかなるだろう、くらいの大らかな気持ちで行けば良いのです。

インドネシアだけでなく、海外で駐在する上での不安は『知らない』ことから来ると思います。
だから、ひたすらインドネシアのことを知れば良いのです。
知ることの入り口はインドネシア語を勉強することです。
幸いなことに、現在では多くのCD付きテキストが手に入ります。
また、様々な辞書も販売されています。
そして、何よりも有り難いのは、インターネットを通じて、現地の最新のニュース、ドラマ、映画などを無料で、いつでも視聴出来ることです。
やる気さえあれば、赴任前に読む・書く・聞く・話すための、ある程度の能力を身に付けることが出来るのです。
これだけで不安の半分は消えるはずです。

言葉の次に大事なものは、インドネシアの歴史を知ることです。
8世紀頃のジャワ王朝から歴史が記されているようなのですが、これもインターネット上で多くの情報が開示されています。
特に、インドネシアがなぜイスラム教徒主体の国(イスラム教国ではありません)になったのか、アセアン諸国の中で比較的親日的なのは何故なのか、いまだに汚職が蔓延っている背景は何故なのか等々、歴史を通して現在のインドネシアの姿を理解することは、生活の不安を取り除いてくれるだけでなく、日々の仕事を進める上で大きな意味を持つと思います。

そして、もし時間と関心があれば、イスラム教に関する書籍も少し読んでみることをお薦めします。
日本語訳のコーラン(厳密に言うとアラビア語以外で書かれたものはコーランと言ってはいけないのですが……)もあります。
日本人がイスラム教に触れることはタブーであるかのように思うかもしれませんが、イスラム教徒と、彼らの宗教について真摯に会話をすることは決していけないことではありません。
ただし、反対に自分の信仰心について質問された時の為の回答は用意しておく必要はあります。
また、インドネシアで『私は無宗教です』と言明することは絶対に避けるべきです。
無宗教=非人間とみなされてしまいます。

戦後、オランダから独立する時に建国五原則パンチャシラ、すなわち、唯一神への信仰、公正で文化的な人道主義、インドネシアの統一、合議制と代議制における英知に導かれた民主主義、全インドネシア国民に対する社会的公正が定められました。
これらの最初に、一つの神を信仰することが挙げられています。
そして、この五原則は今でも国民の間に広く深く根付いてることを忘れてはいけません。

実はこれらインドネシアの歴史や宗教に基づく環境が、現地で生活して仕事をする日本人に、日本では決して得られない、とても貴重なことを体験する機会を与えてくれるのです。
特に若い世代ほどその機会の価値は高いと思います。

日本の人口構成は逆ピラミッドになっているため、若い人たちが組織のリーダーに就ける機会は限られています。
しかし、インドネシア現地法人においては、ほとんどの日本人は、課長、部長、あるいは取締役として、(日本に較べて)若くてもマネジメントに関わる職責を負うことになります。

課長として何人かのインドネシア人社員を部下として使うことになる場合、時間が経つにつれていくつかのことに気が付くでしょう。
仕事を指示した時の返事は良いが、なかなか結果が伴わない。
責任を追及しても暖簾に腕押しのような感じである。
物事を論理的、計画的に進めようという気配が感じられない、等々。

前段で述べたインドネシア語やインドネシアの歴史の勉強を疎かにした日本人は、だいたいこれらのことでインドネシア人を馬鹿にするか、もしくはインドネシアという国を嫌いになってしまいます。
しかし、インドネシア語でしっかりと会話が出来て、彼らの文化的背景を理解しようとしている日本人はここで『何故?』と考えるはずです。
そして、この『何故?』の数だけ、日本では得られない体験をすることになるのです。
それらは以降のコラムで紹介したいと思います。

次回のテーマは、5. インドネシアの社員達、です。ではまた来週お会いしましょう。

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小野 耕司

(インドネシアビジネスサポート)

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