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海外ビジネス コラム

法律・制度 2022年07月01日

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国連調達市場への参入方法とPICTURES iサービス概要

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 | PICTURES i チーム(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)

本連載では日本企業様の国連調達への参入支援を行っているPICTURES iチームが、国連調達の基本から弊社サービスの特徴まで分かりやすく説明していきます。

初回は「国連調達ってそもそもなに?」、2回目は「日本企業はどれくらい国連調達市場に参入しているの?日本企業が挑戦しやすい分野・市場拡大が見込まれる分野は?」という疑問を、新入社員と先輩社員の会話を元に解説しました。

今回は、国連調達市場への具体的な参入方法と、専門商社との連携のメリットについて解説します。


タケル(新入社員)
「国連調達は日本企業にとって新たな販路開拓につながりそうですね。まず参入を検討する前に、国連調達市場に関する基本的な情報を収集して、製品の営業活動につなげていく必要があると思うのですが、どのように進めていけば良いのでしょうか」

トモミ(先輩社員)
「国連調達市場に参入し、その後も継続的に関与していくためには、まず国連調達市場を知る『ドアオープニング』、次に、国連調達を目指す自社製品を特定した上での『具体的な調達案件参入』、最後に、国連機関との連携を深める『参入後のタッチポイント』づくりの3つのステップがあるよ。1つずつ一緒に見て行こう」


図01.

国連調達市場参入のための具体的方法


まず、外務省が定期的に開催している民間企業向けの国連ビジネスセミナーに参加することで、国連調達のいろはを学ぶことができます。厚労省では日本の医薬品・医療機器の国際展開を推進するため、WHO事前認証取得等推進事業医療技術等国際展開推進事業を設けているので、対象となる製品を持っている企業はこれらを活用することも有効です。

また、国連調達の公示情報が“一括”管理されているUN Global Marketplace(国連調達情報プラットフォーム:UNGM)に登録すれば、誰でも公示情報を見ることができます。有料であるものの、UNGM上で自社製品に関連する項目をタグ付けしておくと、関連する公示が出た際にメールで知らせてくれるサービスもあります。

国連調達に関する情報収集が出来たら、次は実際の調達案件への入札です。自社にマッチした公示情報が見つかれば、直接UNGMサイトから入札に参加することが可能です。国連調達独特の商習慣に不慣れであったり、煩雑な書類作成をスピーディに対応できる体制がない等、自社単独での入札が難しい場合は、国連調達の専門商社と連携して参入する方法もあります(後述)。

また、常に変化する国連調達の最新動向を把握し、自社製品を国連の調達官にアピールするためには、国連主催のサプライヤーズ・ミーティングに参加することも有効です。その他、国際協力に特化した民間主催の国際展示会も、規模こそ大きくはないものの、国連機関や国際NGO関係者も多く来場するため、ネットワーク作りに最適です。

少し視点を変えて、国連調達市場を見据えた新製品の開発を検討するのであれば、国連機関が提供するR&D支援スキームへの参画も考えられます。既存の国連調達市場において必ずしもニーズが高くない製品や新規製品を扱いたい場合は、国連調達官に個別営業を行うことで新たな市場開拓を行う方法もあります。

日本では「ドアオープニング」の機会については一定程度、政府等による支援があるものの、その後の「具体的な調達案件参入」や「参入後のタッチポイント」に関して、まだまだ環境が整っているとは言い難い状況です。



タケル
「国連調達市場への参入イメージが湧きました。でも、膨大なUNGM上の公示情報から、自分達で自社に関連する案件を探すのは大変そうですね」

トモミ
「そうだね。“一括”といっても小規模案件の場合はUNGMサイトに公示情報を載せないこともあるんだ。また、公示期間が極端に短い等、納品先となる国のサプライヤーを想定した案件もあるのだけれど、どの案件なら日本企業の参入余地があるのか分かりづらいよね。その他にも、公示情報のスペックと100%合致していなくても交渉の余地は十分見込める案件もあったりする。その境界線を見極めるのは、国連調達の経験がない企業、浅い企業には難しいんだ」

タケル
「国連調達の公示情報って複雑なんですね。また、仮に自分達で公示情報を見つけて入札に参加しようにも、煩雑な英語の書類を短期間で準備しないといけないのですよね。自社だけで対応できるか不安に思う日本企業も多そうです」

トモミ
「そんな時には国連調達の専門商社との連携が有効なんだ。PICTURES iチームでは、国連調達において豊富な経験を持つ複数の専門商社とパートナーシップを結んでいるから、日本企業のニーズに沿った情報提供や入札支援が可能になるんだよ。そうしたら、商社と連携するメリットをみていこうか」

国連調達の専門商社を活用するメリットとは?


日本企業がUNGMの情報だけを頼りに有望な公示情報を探すのは簡単ではありません。国連調達で豊富な経験を持ち、調達官とも繋がりのある専門商社と連携することで、彼らの目利きを通した有望な調達案件をスピーディに取得できます。またUNGMには掲載されない国連機関の地域事務所・国事務所の調達情報や、国際NGOや低中所得国政府の調達情報の入手も可能になります。

具体的な調達参入や継続的な国連機関とのリレーション構築においても、専門商社との連携に多くのメリットがあります。たとえば、日本企業に代わり、煩雑な入札書類の作成や調達に関わる業務を専門商社が代行してくれるため、人手が少ない企業や当該市場に関するノウハウが十分にない企業であっても、参画への道が開けます。

また多種多様な製品が要求される「パッケージ型案件」においても、商社が一括して取りまとめるため、一企業・一製品からでも国連調達市場への参入が可能になります。

さらには、納品時の備え付けやメンテナンス、ユーザーへのトレーニングが求められる案件でも、商社が専門人員を雇用しているケースがあるため、このような対応が求められる通称「ターンキー型」案件への入札も可能になります。


図02.


タケル
「専門商社から選りすぐりの案件情報を届けてもらえると、応札の可能性は上がりそうですね。煩雑な入札書類の作成も代行してもらえるなんて、マルチタスクを抱える社員の多い中小企業にとっては有難いです」

トモミ
「そうだね。国連調達では製品のスペックや価格だけでなく、過去の国連調達や民間における海外販売の実績を問われることもあるんだ。その点においても、経験豊富な専門商社と連携し商社名で入札できるのはメリットになるね。しかも、専門商社は納品時の据え付けだけでなくメンテナンスも対応可能であることが多いから、仕向け先に出先や販社がなくても安心。アフターサービスが求められる案件に参入できる可能性が広がるのは大きなメリットだと思うわ」

タケル
「PICTURES iサービスを利用すれば、遠い世界だと思っていた国連調達が、グッと身近なものになりそうです。より多くの日本企業にPICTURES iを活用してもらいたいですね」

このコラムの著者

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 | PICTURES i チーム

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