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海外ビジネス コラム

法律・制度 2012年10月18日

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『ベトナム進出成功のために「税金」を知ろう――大切なのはどう税金と付き合っていくかだ』

石川 幸(AGSホーチミン事務所)

ベトナムPITで居住者扱いになると...

ベトナムの居住者要件に該当する場合、仮にベトナム国内で所得を収受していない場合でも課税対象は全世界所得(日本も含む所得)となります。
つまり、貴職は、貴職の全世界所得(日本を含む所得)が課税対象となり、ベトナムで個人所得税の納税申告を行う義務が生じます。

貴職の所得額次第でありますが、全世界所得ベースでの累進課税となるため、一般的に、納税額は日本より大きくなる懸念がございます。
実行税率(最高税率35%は約4,000ドル以上となっております)としては、日本での個人所得税よりもベトナムの方が高い場合が多いと思われます。

難しい短期滞在者免税制度

ベトナムPITの扱いにおいて、非居住者の扱い以外に、より明確な制度として「短期滞在者免税制度」がございます。
ただし、これを取得するには幾つかの難点があります。

日越租税条約における3要件 : 3つすべての要件に該当すること

1        暦年の滞在日数が183日を超えない
2        給与等を日本法人が支払している
3        給与等をべトナム法人(恒久的施設)が負担していない

ポイントのひとつは上記の3要件充足が厳しいこと、次には実務的に短期滞在者免税制度に基づく承認を得にくいという実務的な障壁もございます。
これは自動的に認定してくれる制度ではないため、時間とコストを要します。

また、短期滞在者免税制度の適否と関係する論点(日本側がすべての費用負担を行う)ということについては、日本法人の納税や日本法人との取引関係も含めてトータルに考えないといけない側面がございます。

進出後も踏まえたアドバイス

上記ではベトナムPITにおける居住者要件(非居住者要件)について具体的に注意点をみてきました。
ほかに、ベトナム拠点での法的代表者との関係も実務的には留意が必要となります。
また、日本人従業員をベトナムに赴任させる場合(出向させる場合)、VISA(滞在)や労働許可証(就労)との関係にも注意して進める必要がございます。

ベトナムでのビジネス進展に備えて、現地進出時の一時的なアドバイスではなく、現地情報を踏まえた実践的/総合的なアドバイスが必要だとご理解頂けることと存じます。

<個人所得税についてのまとめ>

1.ベトナム滞在者 : 居住者扱いでのPITが発生する。

2.ベトナム出張者 : 貴職の状況による。居住者要件等(特に90日ルール)をチェックした後、居住者扱いPIT、非居住者扱いPIT、短期滞在者免税制度、の3方式から選択する。具体的に進出検討時から留意をして取り組むことがポイント。

3.ベトナム非居住者も要注意 :

文中で触れたように、非居住者要件を逸脱している懸念がないか注意して下さい。居住者扱いでのPIT申告/納税が発生している懸念もあるということになります。他の状況も踏まえてトータルに確認しましょう。

なお、個人所得税の課税計算そのものについてもいろいろと細かく留意すべき点がございますが、次回からは日本側の個人所得税(日本から出向者給与の日本側での扱い)について掲載して参ります。

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石川 幸

(AGSホーチミン事務所)

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