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海外ビジネス コラム

市場動向 2013年03月09日

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ベトナム進出成功のために知っておきたい現地情報! 「スタバが街にやって来た!」

吉田 雅之(株式会社マックアンドサンク)

ベトナムのコーヒー文化は?

スタバがサイゴンにやって来た! 2013年2月1日、香港のマキシムズ・グループと提携し、ニューワールド・ホテルのすぐ近くにスターバックス ベトナム1号店がオープンしました。行列も出来る騒ぎで、今後数百店の展開をベトナム国内で目指すというニュースも流れています。

堂々たるファサード


Starbucks Is Here !

アフリカから中近東~ヨーロッパへと伝わったコーヒーは、ヨーロッパ各国が植民地化を進める際、東南アジアに持ち込まれ、ベトナムのコーヒーの歴史も1862年のフランス統治から始まっています。宣教師がベトナムの気候風土に合ったロブスタ種を持ち込んだのが始まりと言われています。現在、ベトナムはブラジルに次いでコーヒー豆生産で世界2位、本国のスターバックスはコーヒー豆をベトナムからも輸入しています。永い間、珈琲の味、そしてまた珈琲を楽しむ場所といった珈琲の文化がこのベトナムには存在します。

カフェ激戦区ベトナム・サイゴンのカフェ事情

さて、サイゴンでの喫茶店のカテゴリーをまとめてみると、
【路上コーヒー店】
⇒道端、パラソル、プラスティックの椅子

【路面店エアコン無し】
⇒一応テーブルと椅子、半野外

【路面店エアコンあり】
⇒普通のテーブルと椅子、大音量音楽、サッカー中継、中でトランプ博打御開帳

【大規模店】
⇒うるさい音楽、綺麗なウェイトレス、ミュージッククリップ、パティオ・庭風の野外席

【外資系コーヒーチェーン店】
⇒独立店舗及び商業施設内テナント

【ホテルの中のコーヒーラウンジ】

といった所でしょうか。

上から下までの価格差は南部で一般的に飲まれるアイス・コーヒー“カフェ・ダァ”で15倍程、8000ドン(約35円)から12万ドン(約540円)くらいまでとなっています。

相手の会社とカフェで会うことになると得てして大人数になります。こちら側も複数、相手側も複数、それに初対面のケースであれば、必ず仲介する共通の知り合い、友人が同席。これも複数の場合が多いため、これだけでも最低で6人になります。カフェで仕事の顔合わせといえばあまり具体的な仕事の内容の話にはならず、ある意味お見合いとなり、相手がどういう背景を持っているかを探りあいます。
出身地は北か? 南か? 中部か? 家庭環境は? 共通の友人は? 党と関係があるか? 政府組織とのコネは? 政府、役人の高位の人間との繋がりは? 銀行関係は? そうしたことを、時間を掛けて当たり障りの無い話の中でお互い探っていきます。
当然時間は長くなるため、飲み物、軽食、お茶、時間によってはビールも登場します。
最初は5、6人で始まった顔合わせが、時間が経つにつれ10人、12人と増えていき、それに対応できるように簡単にテーブル、椅子をつなげてレイアウトを変えていきます。

恋人同士の場合、これはもう唯一つ、他から隔離された二人だけの空間である必要があります。昔の同伴喫茶的なコーナーもあって二人掛けのソファがひとつの方向を向いて並び、さり気なく置かれた観葉植物などで視界が遮られている、なんとなく恥ずかしい雰囲気。珈琲の味わいより優先されることがこの世の中には沢山あるようです……。

市内の中心部、目抜き通りには、雰囲気の良い落ち着いた店もあります。エアコンも程よくきき、椅子もテーブルも上品で、一人で仕事をする人も多く、ノートブックを持ち込みWi-Fiに接続、軽食メニューも用意され長時間滞在も可能です。声高に株とか土地とかの話をするうるさいお客やあぐらを組んで座る行儀の悪いお客もいません。そんな洗練されたモダンな空間で商談や仕事をゆっくり進めることが可能です。

目的もなく時間を潰すための珈琲というのもあります。大音量の音楽に、若く綺麗なミニスカートのウェイトレス、タバコを燻らしながら大画面のTVに映るサッカー中継に興じ、時にはトランプ賭博も開帳されます。そして極めつけは、とある特別の目的を持ってお客が来店し、ウェイトレスもその目的を理解しつつ交渉事に当たる、というカフェもここ社会主義、共産党独裁のベトナムに存在します。

様々な生活の場面で使う時の目的、気分に合わせて選べる多種多様なカフェがベトナムにはあります。スタバの登場でカフェの選択の幅がまた一つ増えて喜ばしいことだと思いますが、ただそれだけではないかと思います。新しいモノ好き、見栄っ張りのサイゴンッ子は、とりあえず1回は5万ドン(約220円)のコーヒーをスタバ飲みに行く事と思いますが、今後、カフェ激戦区のベトナムの中で、スタバがどのようなポジショニングとなるのか注目してみたいと思います。

このコラムの著者

吉田 雅之

吉田 雅之

(株式会社マックアンドサンク)

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