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海外ビジネス コラム

市場動向 2013年06月18日

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ベトナム現地の今がわかる! 地下鉄はベトナムに何を持ってくるのか?

吉田 雅之(株式会社マックアンドサンク)

メイドインジャパンの都市開発! 地下鉄1号線と東急電鉄

ベンタン地下駅ターミナル予想図

ホーチミン地下鉄1号線路線図

 

サイゴンで計画中の地下鉄1号線がBinh Duong新都市まで延伸されるかもしれないというニュースを読みました。

ホーチミン市に隣接するBinh Duong省は日本をはじめ多くの国から多額のFDIを誘致し、南部地域の一大生産拠点となりつつありますが、旧来のBinh Duong省の政治・経済の中心を新しく開発した新都市に移し、より一層の拡大を図っています。

そこで東急電鉄は、Binh Duong省の土木建設業の大手Becamexと合弁企業を設立し、新都市の一部地区に高層、低層の住宅と商業施設を中心とした不動産開発に着手し、既に第一期の高層住宅「Sora Gardens」 (約400戸 専有面積67m2~105m2 平均価格$1,000/m2)の販売を開始しています。

東急電鉄の投資が正式に決まってから、当時の羽田国交省大臣など、日本政府からの要人が省人民委員会を度々訪問し、この開発の後押しを表明していた官民鳴り物入りの投資案件です。

もともと地下鉄1号線は日本のODA案件でもあり、この地下鉄延伸計画も、東急電鉄の開発に合わせ、強力な公共交通インフラのバックアップを、という意図であることは言うまでもありません。

ベトナムの公共交通機関の現状とこれから

さて、ベトナムの公共の交通機関といえばバスとタクシーの二つのみ。多くのベトナム人は費用も考えて、移動はバイクに頼っています。公共交通機関を乗継いで、徒歩で目的地に向かうという発想の無いベトナムでは、街を歩くベトナム人は多くはありません。しかしながら雨季のあるベトナムで、雨が降る中でのバイクによる移動は、かなりつらいものがあります。そこで、生活に余裕のある層は自動車へと移動手段を移していきますが、2012年現在ホーチミン市の車とバイクの合計台数は既に580万台、これに周辺の省からの100万台のバイクや車が加わり、毎日市内を動き回っているため、貧弱な道路整備と交通規範の欠如によって毎日いたる所で大渋滞が引き起こされています。

この解決のために、政府は、道路の拡張整備、駐車場の開発、立体交差、新しい橋、そして現在の交通手段を変革するための公共交通機関への投資、地下鉄、モノレール、バス、タクシーを有機的につなげる移動手段を模索しています。

拡大を続ける都市、その機能を維持拡大するためにはインフラへの投資を続けなければならなりませんが、この交通、移動関連への投資だけでも海外からの資金協力を利用しなければ実現することが不可能な現状です。

ベトナム人が地下鉄に乗って通勤するようになる?

農耕社会であるベトナムに暮らす人達の生活圏は極々狭く、サイゴンに住む人でハノイに行ったことがない、またはその逆という人は多いようです。おそらくホーチミンに隣接するBinh Duong省に暮らす人の中でさえも、まだ一度もサイゴンに行ったことがない、という人がいると思います。

仕事は自宅や近所で、日々の買い物も近くの小さな市場で、という生活であれば、決まった時間に決まった場所まで移動する必然性はありませんでした。

そんなベトナムでも大都市が生まれ、これまでと全く異なった規模のお金が動き、利益が生み出されています。会社に通い、毎月給料をもらうことが日常となる生活が確立し、ある意味羨望の眼差しで見られているのも事実です。

いつの日か、ベトナム人も郊外にある家からサイゴンにある会社まで、通勤バッグを片手に、片道1時間かけて出勤し、終わればまた1時間かけて家路につくという生活が始まるかもしれません。

でも、今は、まだまだそんなベトナム人は、想像できませんが……。

このコラムの著者

吉田 雅之

吉田 雅之

(株式会社マックアンドサンク)

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