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海外ビジネス コラム

市場動向 2014年05月09日

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ハラルを取得すればOK? マレーシア人観光訪日のビジネスチャンス

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

急増すると予測されるマレーシア人の訪日に対する有効な戦略は?

前回に続いて、昨今のハラル認可取得ブームについてのコメントをしたいと思います。

昨年7月にマレーシア人が日本に観光旅行に行く際のビザ要件が緩和されると同時に、日本への一大観光ブームが押し寄せています。羽田・関西につづき名古屋への格安エアラインのエアアジアの路線拡充も後押しし、今後も日本を訪れるマレーシア人の数は急激に右肩上がりになると観光庁(JNTO)は予測しています。
それを見越し、日本からは連日のように、旅行業界関係者や各都道府県ほか自治体の関係者がマレーシアにきて、誘致に動いています。私のほうにも何組かの自治体関係者が来られ、いわゆる町おこしと地域振興のためにどうマレーシア人を取り込めばいいのかというアドバイスを求められてきました。
多くの日本の関係者が思っているのが、マレーシア人が安心して利用できるためのレストランや施設の拡充だったり、ハラル関連商材を販売するモールであったり、ムスリムタウンを作るということのようです。その際には、マレーシア政府の役所であるJAKIM(マレーシアイスラム開発局)が認定したJMAやJHAなどの在日本の代理認証機関を通じて厳格なハラル審査を受け設置するという流れになります。

「マレーシア人=イスラム」という思いこみや誤解

前回も書きましたが、たしかにマレーシア人口の65%を占めるムスリム(=マレー系)を取り込もうと思うとこういうハラル対応施設をつくっていくという策も有効でしょう。ただ、本気でやろうと思うと、通常のキッチンとは別に、豚やアルコールを使用しないハラル規定の別のキッチンをつくったり、スラウ(礼拝場所)をあちこちに設置したりで、巨額の予算が必要になります。地域ごと施設ごとの競争もあるでしょうし、そこまでの設備や人員に大きな投資を行ったにもかかわらず、観光客があまり取り込めなかったでは目も当てられません。
「マレーシア人=イスラム」という思いこみや誤解もあるのでしょうが、残りの35%ほどは「非イスラムのマレーシア人」であり、もっとも富裕層が多く購買力のある中華系マレーシア人が観光のリーダーシップをとっていることにも注目する必要があると思います。
また、イスラム・マレー人の中でもさほど厳格でない層もいて、絶対ハラル対応でなくても、ポークフリー(アルコールは置いてあるが豚肉はメニューにない)であれば問題ないと考える人も沢山います。そういう意味で対投資効果を見るだけの緻密なマーケティングは必要でしょう。

むしろ私が別に気になることは、「おらが村」という発想で日本の都道府県がそれぞれ個別にラブコールを送り、うちの県だけに滞在してほしいというような発想です。マレーシア人からすれば、北海道スキーも東京ディズニーランドも富士山登山も関西グルメも、可能な限り全部楽しみたいという発想があるので、ここは是非オールジャパンとしての発想(むしろ韓国あたりがライバル)で総力あげて誘致いただきたいと思います。

このコラムの著者

鵜子 幸久

鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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