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海外ビジネス コラム

生活・文化 2014年07月17日

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タイ、インドネシア、ベトナム、インドを、生活者と消費の目線から見る(8)

山崎 督(株式会社朝日広告社)

本コラムは、アジアエリアの中でも注目度の高い四カ国―タイ、インドネシア、ベトナム、インド―を対象に、マーケティングの視点から重要と思われるポイントを抽出しています。
ここからは広告、プロモーションについて特徴的な事をいくつかご案内します。

タイのコミュニケーションは店頭が必須 BTL is mandatory in Thailand

「商品購入の際の情報源」については、タイでリーフレットや店頭でのPOPなどマス媒体以外の比率が高くなる傾向が見られます。例として加工食品を見ると、タイではテレビ82.9%、パンフレット/チラシが41.1%、同様にインドではテレビ84.9%、パンフレット/チラシが7.7%となり、他国と比較してチラシの比率が高まります。他商品カテゴリーでも同様の傾向が見られます。

各国とも共通してテレビを中心としたマスメディアによるブランド認知向上が重要な施策となっています。これに加えタイでは店頭での施策(BTL:Below The Line)の重要性が高まっています。経済環境、チャネルの近代化、グローバルブランドの参入などが他国と比較して進行しており店頭での競争が激化しているためと考えられます。実際にタイの店頭視察の結果では、相当な数のローカルブランド、グローバルブランドが各カテゴリーともに陳列され、人々は豊富な品揃えからチョイスする事ができる状態でした。激しい競争環境の中、各ブランドとも積極的な店頭POPやキャンペーンを展開しています(写真参照)。

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映画がトレンドをリード celebrities in/from cinema

続いてインドの特徴的な事例をご案内します。インドの映画の広告費は22億円、全体の比率では0.6%と費用面ではわずかなウエイトですが、影響力は非常に大きなものがあります。インドでは映画の人気が高く、生活者のファッションやトレンドに非常に大きな影響力を持っています。映画が流行発信をする役割を担うと同時に、出演する俳優、女優も高い認知度と人気、影響力を持っています。広告でも映画で人気の高い俳優、女優を起用する事例が非常に多くなっています。

例えばインド映画「HEROINE」に主演の女優カリーナ・カプールが複数企業の広告でテレビから新聞、屋外広告まで多面的に露出されています。やや保守的な国民性には信頼や認知のあるセレブリティからのメッセージ発信が重要視される傾向にあります。

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参考までですが、映画でのプロダクトプレースメント(映画本編内での商品の露出など)も頻繁に行われています。映画HEROINEではiPhoneの着信シーンが相当数登場しますが、今インドではiPhoneは最もトレンディなアイテムの一つです。

購買に認知は必須 No awareness, No purchase

ブランド認知の重要性は対象四カ国において同様で、新しい商品、ブランドが市場に次々に登場するなか、知らないブランドは買わない、との意見は各国に共通しています。大別するとグローバルブランドとローカルブランドが対立する形となります。カテゴリーやブランドにもよりますが、社会階層別(SEC)で認知度にかなり開きのあるブランドもありますので注意する必要があります。

要因としてはA層やB層では大型店の利用比率も高く、豊富な品揃えの中から比較的新しく参入したグローバルブランドなども選択できます。一方、特にインドやタイでD層からの支持が極端に高いブランドが見受けられます。チャネル政策やサシェでの販売の取り組み方などによる影響が大きいと考えられます。

現地&グローバルブランド local & global brand

ブランドに関連する重要なトピックスとして表記方法があります。写真はいくつかの例ですが、タイではオリジナルロゴに加え、現地語のロゴを合わせて表記するパターンを非常に多く見かけます(写真左下)。一方で写真右下は英文ロゴのみですが、これは実はローカルブランドです。ロゴはブランド戦略としては非常に重要な要素となりますので、慎重に検討する必要があります。生活者の意見では「現地語表記のロゴの方が親近感がある、分かりやすい」という意見と「英語のみの方がスマート」といった意見の両方があります。ブランド戦略はもとより、チャネル政策や社会階層を勘案したターゲット戦略など総合的な判断が必要となります。

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なお、全般的に日本製品(ブランド)に対する印象は「高品質」など良好な評価が得られています。一方で具体的に想起できるブランド名がごく一部に限られています。店頭に並んでいるFMCG商品でも、現地生活者には日本ブランドとして想起できるものが限定されています。現時点での日本ブランドは現地市場ではまだ日が浅く、広告宣伝もボリュームが低い事などが要因と考えられます。
ただ、これは現状であり各国とも発展と変化の渦中です。今後、どの様なマーケティング戦略、ブランド戦略で臨むかによって成功の可能性は十二分にある巨大マーケットであることは言うまでもありません。

さて、前回お伝えしましたように、今回が本シリーズの最終回です。日本企業様のアジアにおけるマーケティング戦略の参考になればとの思いから記述してきた内容ですが、いかがでしたでしょうか? これまでコラムを読んで頂いた皆様にお礼申し上げます。皆様の海外ビジネス展開において少しでもお役立ていただければ幸いです。

このコラムの著者

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山崎 督

(株式会社朝日広告社)

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