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海外ビジネス コラム

生活・文化 2014年09月30日

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インドネシアのリアルをレポート ― IT関連は、価格/納期/品質に注意!

江崎 晃司(TIS株式会社)

こんにちは。TISの江崎です。
(本コラムを初めてご覧になる方、初めまして)

前回の「インドネシアでの余暇の過ごし方」に関するコラムはいかがでしたでしょうか?インドネシアと日本では、かなりの差があることがお分かりいただけたかと思います。マイモール文化など、渋滞の激しい国ならではの事情がありますが、こういった違いに新たなビジネスチャンスが隠されているともいえます。

さて、当シリーズの最終回である今回は、「インドネシアのIT事情」についてお話いたします。前回までのコラムでは、インドネシアで暮らし始めると誰しもが直面する視点から「インドネシアとはどういう国か」をお伝えしてきました。最終回は私の専門分野である「IT」という切り口で、インドネシアの実態をお伝えいたします。

インドネシアは新興国?

BRICSという言葉があります。経済発展が著しいブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の5カ国を指すものですが、アジア通貨危機の前にはインドネシアもこれに含めるかどうかという議論がなされていました。通貨危機により一度は失速したインドネシアですが、あれから10年以上がたった今、BRICSに肩を並べる存在に戻りつつあるようです(VISTAという言葉もありますね)。

インドネシアは新興国です。国外から見ると色々なところが「発展途上」に映るかもしれませんが、こちらで過ごしてみると「そうでもないぞ」と思える部分が多く見えてきます。ことITに関していえば、「発展途上」の域を脱しつつあるように感じます。

最近、インドネシアの大手IT企業が主催するカンファレンスに参加しましたが、日本の大手IT企業が開催するようなものに十分匹敵していました。扱っている製品やサービス、これらは日本と比べても全く遜色ありません。ただ、IT関連の製品/サービスをコントロールする、IT要員の品質となると、まだまだ日本には及びません(後述)。
それでもモノは既にある状況ですから、IT要員(ベンダ側、ユーザ側ともに)の品質も急速にレベルアップしていくものと推測しています。

事実その1:ITプロダクトの価格は安くない

第2回のコラムでも触れましたが、新興国だと「なんでも安い」というイメージを持つ方が多くいます。たしかに、地産地消のものは安いのですが、輸入モノは何もかもが高いのです。食品だって、緑と赤のカップ麺が400円もします。

ポイントは「輸入モノは高い」という部分です。

ITプロダクトの場合、ほぼ全てが海外からの輸入です。IT機器に関してはほとんどがシンガポールからの輸入になります。当然価格は上がり、日本と同じか若干高いケースがほとんどで、日本よりも安いというケースはほぼありません。これからインドネシアに進出される企業のみなさん、ぜひIT予算は日本と同じ感覚で計上しておいてください。安いのは「地産地消」のもの、IT製品は安くありません。

事実その2:ITプロダクトの納期は2か月ほどみておくべし

IT製品は輸入が基本。国内在庫がなければ、発注から納品までのリードタイムも非常に長くなります。日本でIT製品を手に入れようとする場合、通常は約1か月をリードタイムとして考えるケースが多かったのですが、こちらでは最低でも2か月はみておかないといけません。

そして「最低」というのがまたミソなのです。輸入ですから税関を通す必要がありますが、これが曲者でして、運悪く抜き打ちチェック対象(レッドラインといいます)に入ると、いつ出てくるかは神のみぞ知る状態になります。そうなるとプラス1か月はかかるものと覚悟しなければなりません。

加えて、インドネシアの配送事情も納期を伸ばす要因になっています。既にお伝えした通り、インドネシアの至るところで毎日のように激しい渋滞が発生しています。そのため配送状況が読めず、到着予定日の連絡も大体直前(3,4日前)に来ます。

システム構築ではスケジュールは非常に大切であり、モノの納期がクリティカルパスになるケースが少なくありません。このクリティカルパスが、インドネシアでは2~3か月もかかってしまうのです。プロジェクト管理をしている側としては、納品されるまで不安な日々が続きます。日本とは全く異なることを、理解していただきたいです。

事実その3:「ローカルの○○」の品質は高くない

とあるデータセンタでのことですが、センタ標準のラックに機器を搭載しようとしたところ、うまく搭載できない! という事件がありました。原因は、センタ標準ラックの品質が悪く、うまくネジ穴が合わないというものでした。たしかに、よくみるとネジ穴のピッチ(間隔)が不均一で、これは衝撃を受けたものです(この時は棚板を用意し、その上に機器を載せて回避しました)。

また一方で、簡単な作業をローカルのパートナーに依頼した際に、同種のサーバにもかかわらず出来上がった環境がバラバラなことがありました。同じ作業者が実施したのでしょうけれども、特定のドライバが入っていたり入っていなかったり・・・。その後のサーバ構築では作業チェックシートを作成したのですが、今度はこれに沿った作業しかできません。また、手順通りにできなかった部分に関しての報告もありません。自分で判断をしてどうするこうする、という動きは全くありませんでした。

ローカルの人は基本的に細かい仕事が苦手です。「キラキラ(インドネシア語で、だいたいという意味)」という言葉に代表されますが、結構適当なものです。これで苦労されている日系企業様は多くいらっしゃいます。現地でITの仕事を外部委託する際は、そこに日本人メンバ(ないしは日本品質を理解したメンバ)がいるかどうか、キチンとチェックすることをお勧めします(もしくは、丁寧な仕事はあきらめるか、のどちらかです)。

よくいう「ローカル価格で日本品質を」なんてものは、ほぼありません。やはり値段に見合った品質にしかならないことを、十分理解しておいてください。

最後に

今回のコラムはいかがでしたでしょうか。インドネシアでIT関連の準備をするのであれば、価格/納期/品質について十分注意をしてください。日本と同じではない、ということを十分に理解しておいた上で計画されることを強くお勧めします。

さて、全7回のコラムはいかがでしたでしょうか。インドネシアは日本から遠い国です。その実態を知ることはなかなか難しいですが、このコラムが皆さまの一助となれば幸いです。

TISはインドネシア駐在員事務所を開設して1年も経ちませんが、多くのお客様のサポートをさせていただいております。私自身もエンジニアとしてインドネシアの各所に出向いております。もし、本コラム読者の方がインドネシアに来られ、何かITで困ることがありましたらお気軽にお問い合わせください。ビジネスであろうがなかろうが、協力できるものは協力させていただきます。以前のコラムでお伝えした通り、ここでは”Team Japan”ですから。

全7回、お付き合いいただき、ありがとうございました。いつの日かインドネシアでお会いできることをお待ちしております。

このコラムの著者

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江崎 晃司

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