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海外ビジネス コラム

法律・制度 2014年10月06日

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中小企業の海外展開資金借入、官民連携で支援へ

上地 弘恭(FMBコンサルタンツ株式会社)

「海外展開支援融資ファシリティ」とは?

中小企業が海外進出に必要な資金調達。為替リスクを考えれば「現地通貨建て」で調達できないか…けれど現地の金融機関は融資に消極的。また金利も高い・・・。

このような中、政府系金融機関である国際協力銀行(JBIC)と民間金融機関の協調融資による資金調達が拡大しています。

協調融資とは、複数の金融機関が協調融資団を組成し同一条件で融資するもので、調達側の企業はまとまった資金の融資を受けられる一方、金融機関側にとっても貸し倒れリスクを分散できるメリットがあります。

JBICは2013年4月、中小企業を含む日本企業の海外展開を積極的に支援することを目的に「海外展開支援融資ファシリティ」を創設。民間金融機関との協調融資で、2013年度は50案件の資金を中小企業に供給しました。2014年度は海外展開を重点強化する政府方針を受けて融資案件数が既に30件を超え、昨年度を上回るのは確実な状況です。対象国の動向をみると、融資先の現地法人所在地は成長率の高いアジア諸国が大半で、その他はメキシコやブラジルの中南米となっています。

メガバンク中心だった協調融資に対し、地方銀行、信用金庫も積極的に

ここで注目したいのが、協調融資を行う民間金融機関はこれまでメガバンク中心によるものであったところが、ここにきて多くの中小企業がメインバンクとする地方銀行、信用金庫も本格的に取組み始めている点です。特に地方企業の海外進出にあたっては、より密着度が高い地方銀行や信用金庫がこの仕組みを活用し、積極的に支援に動いています。各国の規制やリスクから自行単独では融資に足踏みする案件でも、JBICが政府として一定のリスクを引き受ける形で融資できるため、地方銀行、信用金庫等にとってハードルが下がっているといえます。

融資通貨は米ドル、ユーロ又は円が原則ですが、現地法人の社員に支払う給料の他、最近では現地企業からの調達など現地通貨建て資金ニーズが高まっていることから、通貨の種類も多様化しています。これまでの実績として、タイバーツ、インドネシアルピー、中国人民元に加え、2014年6月には初のメキシコペソ建て融資が実現しました。

海外市場の成長を積極的に取り込む戦略を掲げる中小企業が増えている現在、官民が連携して資金調達を支援する取組みは、進出する中小企業、それを支える民間銀行の両者にとって重みを増しています。JBICが8月末に提出した平成27年度予算概算要求でも現地通貨建てファイナンスの活用を含めた海外展開支援の強化が謳われており、日本の産業の国際競争力維持・向上に資する取組みとして今後も拡大が予想されるでしょう。

海外展開支援融資ファシリティを活用した中小企業への融資案件(2014年度の例)

企業名

融資先現地法人等の所在地

協調融資銀行

融資総額

資金使途

カイハラ タイ 広島銀行、三菱東京UFJ銀行、商工中金

5800万ドル

現地法人設立
京都精工 インドネシア 京都信用金庫

50億ルピア

製造・販売事業
メタルテック タイ 百十四銀行、中国銀行

1億バーツ

JBIC分

生産設備増設
industria インドネシア 多摩信用金庫

86万5000ドル

生産設備増設
郷商事 中国 三井住友銀行

288万3000ドル

生産設備増強
カツデンアーキテック ベトナム 群馬銀行

1億5000万円

現地法人への貸付金
ユニカホールディングス ベトナム 西武信用金庫

200万8000ドル

工業団地建設
樋口製作所 中国 第三銀行

140万ドル

JBIC分

工場建設
大和精工 フィリピン 近畿大阪銀行、リサール商業銀行

693万5000ドル

設備増強
日進製作所 メキシコ 三菱東京UFJ銀行、京都銀行、みずほ銀行

2億3750万ペソ

JBIC分

工場設立
伊藤電機 香港 大垣共立銀行

100万ドル

供給体制強化

出所:国際協力銀行プレスリリース

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