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海外ビジネス コラム

市場動向 2015年12月10日

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オーストラリアでのビジネスチャンス、その本質とは?

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

初めまして。今回からコラムを掲載することになりましたNMA永井です。在豪は22年で、現在オーストラリアでビジネス、経営関係のコンサルティング会社を経営しております。

日本にも仕事の関係で、定期的に帰国しており、実はこのコラムが掲載される少し前まで、日本へ出張に行っておりました。日本での活動範囲は広く、東北から九州までと、ご要望があれば、どこでも足を運びます。

その活動内容も様々で、投資の話から、海外での起業相談、商材の売り込みまで及びます。アジアを含めた環太平洋エリアを活動範囲としてますが、一番得意なのは拠点としているオーストラリア。表も裏も熟知しているので、何でも対応が可能です。私自身の会社も中小企業なので、中小企業の経営者の方々のお気持ちが良く判ります。何か質問があれば、お気軽にお問い合わせてください。

魅力的な海外市場とは何でしょう?

国内でも、何らかのビジネスを行う際には様々な試練が待ち受けていますが、海外の場合には、今までの自分の経験にない、常識外での苦労を強いられることがあります。また正直な話、ビジネス、就職、生活、進学などなど全ての分野において、生まれ育った母国で生計を立てるのが、一番有利であることは言うまでもありません。

でも今日では、私に限らず、海外でビジネス展開をしている人は多くいると思います。なぜ経験する必要もない苦労をしてまで、海外とのビジネスをするのか。答えは簡単。利益が出る、儲かるからです。

皆さんのビジネスが、従来の商法にて、日本国内で需要と供給のバランスが取れ、今後は半永久的に利益を確保出来るビジネスモデルであれば、海外進出を考える必要はないかもしれません。ただ、デフレのスパイラルによって袋小路に追い詰められた日本経済に閉塞感を感じて伸び悩んでいるのであれば、多少のリスクは負ってでも、海外とのビジネスを真剣に考えるべきだと思います。もちろん私に言われるまでもなく、海外とのビジネス取引の重要性は理解されている方も多いと思います。

近年日本で取り上げられる海外進出国のトピックは、ASEAN諸国が多くみられます。シンガポール、タイ、マレーシアなどは、既に多くの企業も進出しており、ある程度認識されていましたが、近年ではベトナム、カンボジア、ラオスなど、一昔前では注目を浴びていなかった国々でも活気のあるニュースを耳にすることが出来ます。

ASEAN諸国は市場も多く、これからの伸びしろは先進国にはない未知なるポテンシャルを秘めていると思います。

極端な例えですが、ASEAN諸国とオーストラリアとの市場の大きさを数字で比較してみますと、ASEAN諸国が10万だとしたら、オーストラリアは10くらいの差があると思います。

「こんな市場の小さいところで商売しても、うま味がない。北米や中国などのほうが儲かるに決まっている」
ごもっともです。仰るとおりです。オーストラリアは国土が広い割には、人口が約2000万人。とても魅力的な市場ではないです。

人口=市場に直結するので、それは間違っていません。また実際、ASEAN諸国だけではなく、北米、中国、ヨーロッパの市場規模から比べても、微々たるものになるのでしょう。

「やはりオーストラリアの市場は小さいんだ。オーストラリアでビジネスチャンスがあるなんて聞いたことがない。まったくイメージがわかない」……etc。これが皆さんの率直な意見だと思います。

唐突ですが、皆さんはオーストラリアについてどのくらい知っていますか。またどのようなイメージを持っていますか。オーストラリアは北半球に属している日本とは、反対の南半球になるので、さむ~い日本とは異なり、こちらは毎日30℃を越える夏真っ盛りです。皆さんの多くがイメージされる、きれいな海や、青空の風景の時期には、実は日本は雪化粧だったりします。

のんびりとしたお国柄。国土は日本の約20倍もありながら、人口は2000万そこそこ、東京都の人口と同じくらい。日本人から見れば、コアラとカンガルー、それにグレートバリアリーフなどの海と自然しか思い浮かばないオーストラリアですが、これが所変わりヨーロッパやアジア諸国から見ると、オーストラリアは宝の山! ビジネスのチャンスが無数に転がっている国。彼らはそんな風に見ています。

特に大きな産業もなくて、本当に仕事をしているのか? とルーズなことばかりのこの国にそんなチャンスが転がっているのか……、転がっているのです! オーストラリアには本当にあちこちにビジネスチャンスが落ちています。それはなぜか。

違う角度からビジネスを発想してみると

私はビジネスの舞台としてオーストラリアを最良の地と選択しましたが、セオリーから考えると、私は成功と逆方面に動いたように思えるかもしれません。

でも時として、多勢のほうに流れずに、小数派に身を置くことによって勝機を得ることも、意外とあります。その理由は、この小さな市場が中小企業を保護してくれ、育て上げてくれる土壌だからだと言えます。

仮に我々がセオリー通り巨大な消費力を抱える市場に打って出たとします。市場が大きいので、巨万の富を得るチャンスがあるかもしれません。ただ、当然我々以外にも、同様に考えている人が多く存在するので、必然的に競争相手が増えることになります。また、豊富な資本を持った大手企業が参戦してくる可能性も予想されます。市場が大きいので、誰が参戦しようとも問題ないと考えてしまいますが、どんなに巨大な市場であったとしても、上限というものが存在して、食べられるパイの量には限りがあります。そのパイを食べたい人が群がり、パイの絶対量を上回ってしまえば、当然弾き飛ばされてしまう人も出てきます。

しかも、このパイ取り競争は一人一個ずつなどというように行儀よく決められているのではなく、力が強いもの(大手企業)がより多く食べてしまい、他大勢はその残りを取り合う事になります。この場合少しでもパイを確保できればまだしも、最悪、余りものさえ回ってこない可能性だって、決して低くはありません。

世の中の人は、甘くて果肉たっぷり、ジューシーなりんごを食べたい人が大半だと思います。近年は品質改良も進み、値段を度外視すれば、一年を通して美味しいりんごを食べることができます。もちろん私もこの大半の人に入ります。

ただ、世の中には異なる嗜好を持つ人がおり、昔ながらの少々すっぱいりんごを好む人も確実に存在します。割合からすれば90対10。いや、95対5かもしれません。普通は、この 「5」 を狙ってビジネスをしようと考える人は少ないと言えます。特に、資本を投入する大企業は、こんな小さい市場では採算が取れないはずです。でも、この「5」を狙うことによって、ビジネスを成功に導ける。私はそんな一風変わった視点を持っても良いと考えています。

「大きな市場に参加=儲かる」と、規模の魅力に目を奪われて錯覚しがちですが、この図式には必ず競争相手が加わることを考慮しなくてはいけません。そう考えたとき、名より実を取るではいないですが、この「5」という少ない市場が、世界から見たオーストラリアの市場であり、魅力です。

市場は小さいです。でも強力なライバルになる大手企業は採算ベースが合わないので、参戦してきません。ここで一つ、我々は何もせずとも、巨大なライバルの存在を排除できたことになります。

また、「採算が合わない」と言いますが、それは大きな資本を投入する大企業にとっては相対的なうま味が少ないという意味であって、我々中小企業にとっては十分な利益になります。そのためオーストラリアは、土壌的に大企業が育ちにくい環境で、7~8割が中小企業、いやスモールビジネス。従業員10名以下の零細企業の集まりです。つまりこの国は、資本がない人でも(最低限は必要ですが)、アイデア、能力、情熱さえあれば勝負できる環境なのです。

もちろん私はASEAN諸国に進出するトレンドに水を差すつもりはありません。人件費などのコストが安いASEAN諸国の環境は大いに利用するべきだと思っています。ただ世間のトレンドが右という場合に、左はどうなっているのか? そんな、人とは違う発想もビジネスの世界では必要なのではと思います。

次回も引き続きオーストラリア市場の魅力を書き進めていきます。ちょいちょいとインターネットを叩けば判る話や、ガイドブックに書いてあるようなことは、観光協会の人に任せておいて、私のこのコラムでは、地元に住んでいる人でもなかなか耳にしない取って置きの裏話をメインに、そこからビジネスチャンスの話題を中心に、その可能性などを探っていきます。

このコラムの著者

永井 政光

永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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