Digima〜出島〜

海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

海外ビジネスサポート企業はこちら

検索フィルター

検索コンテンツを選ぶ

検索したいコンテンツを選んでください

国を選ぶ

検索したい国を選んでください

業種を選ぶ

検索したい業種を選んでください

課題を選ぶ

検索したい課題を選んでください

海外ビジネス コラム

市場動向 2015年12月11日

  • share

ハラルワクチンとは? 医療の現場におけるハラルに迫る!

堀 明則(Hopewill Group)

ムスリムは豚肉を食べることを禁じられている為、豚由来のゼラチンが用いられるワクチンの使用に強い抵抗がある。ムスリムが安心してワクチンを接種できるよう、サウジアラビアとマレーシアを中心にハラルワクチンの開発が進められており、3年以内にハラルワクチンの普及が始まるとされている。今回は、医療分野におけるハラル医薬品・医療用品市場を特集する。

【ハラルワクチンの需要】

ムスリムは豚肉を食べることを禁じられている為、豚由来のゼラチンが用いられるワクチンの使用に強い抵抗がある。ナイジェリアやパキスタンではイスラム教指導者がワクチン接種に対して反対の意を示しており、同国でのワクチンの接種率は低下している。2012年に、オーストラリアのイスラム教系の小学校に通う児童の両親を対象に調査が行われ、40%がワクチン接種の意思決定をする為の十分な情報が与えられていないと回答し、内70%がワクチン接種の際には、よりワクチンに関する詳細な情報が必要であると回答した。

ムスリムが豚由来のゼラチンを使用したワクチンを接種することに抵抗があることから、イスラム教学者はハラル対応のワクチンを早急に導入するべきだと警鐘を鳴らしているが、世界保健機関 (the World Health Organization: WHO) は「ゼラチンを使用したワクチンもハラルと認識されるべきであり、ムスリムは宗教的理由でワクチン接種の拒否はできない」との主張をしている。現在、ムスリム圏では、アンチ・ワクチン運動が活発になっており、ワクチンの接種に対して否定的であることから、集団免疫の働きが弱くなり、集団感染の危険性が高まっている。

しかし、ムスリムの間でのワクチンに対する不信を和らげる為、また、ワクチンに対する理解を促す為、近年、ハラル認証を取得する「ハラルワクチン」の開発が少しずつ進んできている。今後、ハラルワクチンの開発により、ムスリムが安心してワクチン接種を行えるようになり、感染症拡大の予防に繋がるであろうと考えられる。

【ハラル医薬品・医療用品市場の可能性】

ハラルワクチンは17億人を有するイスラム市場をターゲットとしており、大きな利益を見込める新興のビジネスである。マレーシアに拠点を置くサウジアラビアの製薬会社である、 AJファーマ・ホールディングス (AJ Pharma Holdings) は、2030年までにハラルワクチン市場が11億米ドルの市場規模に拡大すると予測しており、様々なハラルワクチンの開発を進めている。イスラム市場は世界人口の25%を占める17億人を有し、成長が注目されるインドネシア、パキスタン、インド、バングラデシュや富裕層を多く抱える湾岸諸国が含まれる。サウジアラビアは、ハッジに訪れるムスリム巡礼者に対して髄膜炎ワクチン接種証明書の持参を義務づけており、ムスリム巡礼者の間での巨大なハラルワクチンの需要も見込まれている。

ハラルワクチンは、ムスリムのみでなく、ノン・ムスリムの間でも需要が加速すると予測されている。ハラル食品市場は既に7000億米ドルの市場規模となっており、ムスリムとノン・ムスリム双方の市場で急速な成長を見せている。ロシアのモスクワはノン・ムスリムの市場であるが、2004年から2006年の2年間で2500万米ドルものハラル食品の売り上げの成長が見られた。ハラル化粧品市場でも同様の動きが見られ、インドのハラルコスメティックスメーカーであるイバ (Iba) は、同社の顧客の50%がノン・ムスリムであると発表している。ハラル製品は、菜食主義者やエシカルビューティ (ethical beauty) を求める消費者の間でも高い需要があり、急速に市場が拡大している。

ドバイに拠点を置くハラル食品製造業者のAl イスラミ・フード (Al Islami foods) は、ノン・ムスリムに対して市場拡大することが成長の鍵であるとしている。「ハラル」は品質、安全、衛生を保証している為、ムスリム、ノン・ムスリムを問わず医療の現場で今後広く取り入れられると予測されている。医療の現場におけるハラルの需要は、ワクチンのみでなく、ハラル医薬品、ハラルの外科用縫合材料や血漿由来生成物質等多岐にも広がっている。

【医療現場へのハラル導入の課題点】

医療の現場へのハラルの導入は決して容易なものではない。ハラル医療用品を製造する為の国際的な基準が設けられていないことも、ハラル医療用品を普及させる障害となっている。ハラル食品に対する明確な基準や指針は既に広く用いられているものの、これらの基準を医療やヘルスケアの分野にそのまま適用することは難しい。また、ハラルに対するニーズも国によって異なり、ASEAN諸国内でも、インドネシアやマレーシアの基準はパキスタンのものより厳格になるだろう。

ハラルの医療現場への導入は新しい試みであり、今後市場は大きく拡大していくだろうと考えられる。最初のステップとして、ムスリムの間でハラルとワクチンに関する認識を高め、十分な知識を得た上で、納得のいく意思決定を行い、ワクチン接種を奨励することが重要である。現在、イスラム市場は世界の製薬会社にとって欠かせないマーケットとなってきており、ムスリムが安心して使用できるハラル医療用品を普及する為、医薬品・医療用品業界における国際基準のハラル認証制度の整備が急がれるだろう。

参考文献

http://www.euronews.com/2014/04/10/halal-vaccines-to-be-ready-in-three-years-/

http://halalfocus.net/exploring-the-opportunity-for-halal-in-healthcare/

このコラムの著者

堀 明則

堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

コラムニスト詳細

ジャンル別 新着コラム