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海外ビジネス コラム

市場動向 2016年03月18日

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積極的な取り組みで前年比11.1%増! 台湾のムスリム観光市場に迫る

堀 明則(Hopewill Group)

観光業は台湾における主要産業の一つであり、ムスリム観光市場においても非イスラム圏の国としては非常に早くから取り組みを始めている。今後も、ムスリム観光市場における更なる機会の拡大を見込み、公共機関・民間企業共にムスリム旅行者の受け入れ体制を強化する動きが見られている。今回は、東アジアにおいてムスリム観光市場を牽引する台湾の取り組みに迫る。

【台湾におけるムスリム観光市場】

台湾では近年、公共機関・民間企業共に、台湾をムスリムフレンドリー(ムスリム旅行者を受け入れやすい)な観光地にしようとする動きが数多く見られている。両者の積極的な取り組みもあり、昨年度は「マスターカード社及びクレッセントレーティング社による世界ムスリム観光における指標 (MasterCard-Crescentrating Global Muslim Travel Index)」の「ムスリムが旅行しやすい非イスラム圏の国ランキング」において第10位を獲得した。

中華民國観光局の統計によると、台湾は2015年度、イスラム教を主流とする国々から前年比11.1%増の20万人もの観光客を迎え入れている。台湾交通部観光局主任 Eric K. Y. Lin 氏は「イスラム市場は世界の総人口のおよそ4分の1を占めることから、台湾がイスラム市場に参入する機会はまだまだ多く存在している」と語る。

中華民國外交部は昨年11月に、東南アジアからの富裕層旅行者に対するビザの規制を緩和した。これにより台湾へのムスリム旅行者の数は一層増加すると予測されており、今後10年以内に100万人のムスリム旅行者を受け入れたいとも語っている。

【台湾のムスリム観光市場における取り組み】

台湾では既に85以上の旅行関連業者や施設においてハラル認証が取得されており、国立故宮博物館や台北101、阿里山国家風景区や日月潭におけるホテルやレストランがハラル認証を取得している。台湾政府は観光業に、より注力をしていく意向があり、現在台北駅や台中駅、桃園国際空港にはムスリムの為の祈祷室が用意され、今後高速道路のサービスエリアへの設置も検討されている。

台北101では、買い物客は、6日間の滞在中に1日で200-300米ドルもの消費すると見込まれる。台北101を運営する台北金融大樓公司 (Taipei Financial Center Corporation)は、ムスリム富裕層をターゲットとしたいと考えており、今後ムスリムの受け入れ体制をより一層強化していく。現時点では、台北101のショッピングモール内または展望台内に祈祷室と沐浴の為の設備を設ける予定である。

台北市に拠点を置く雲朗觀光集團 (L’ Hotel de Chine Group) もムスリム旅行者を受け入れる為の取り組みを行っており、台湾におけるムスリム旅行業市場の業界トップを目指している。

【台湾のハラルレストラン】

ムスリムは宗教上の理由から、豚肉等「ハラル」でないものを食すことができない為、常に食事面への懸念が、非イスラム圏を旅行する際の最も大きな障害の一つに挙げられている。この点において、台湾はハラルレストランに関する情報が手に入れやすく、また、ベジタリアン食やシーフードを提供する店が多い為、ムスリムにとって旅行しやすい国とされる。加えて、同国には台灣清真產業品質保證推廣協會 (the Taiwan Halal Integrity Development Association: THID) と中國伊斯蘭教協會 (the Chinese Muslim Association) の2つのハラル認証団体がある。

同団体は「ムスリムが運営するハラルレストラン」への認証と「ノン・ムスリムが運営するハラルレストラン」への認証の2種類のハラル認証を交付しており、ムスリム旅行者は自身のニーズにあったハラルレストランを探すことができる。ハラルレストランは特に台北市に多く、インターネット上にもハラルレストランに関する情報が多く掲載されている。

また、台湾にはベジタリアンの為のレストランも多く、ムスリム旅行者はハラルレストランを見つけられなくとも、ベジタリアンレストランで食事をすることが可能である。台湾国内300カ所以上で開かれる夜市では、シーフードを提供する屋台が複数出店している為、夜市で食事を楽しむムスリム旅行者の姿も見られている。

参考文献

http://taiwantoday.tw/ct.asp?xItem=242328&ctNode=2182

http://www.halaltrip.com/other/blog/a-muslim-tourists-guide-to-taiwan/

このコラムの著者

堀 明則

堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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