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海外ビジネス コラム

市場動向 2016年05月17日

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米国と欧州、二大経済圏での輸出拡大を分析!(その1)

秋田 哲宏(サードフォース株式会社)

これより数週にわたり、海外展開に関連する情報を発信いたします。記事テーマの予定は下記のとおりです。

1. 前書きと要約(今回)
2. 世界最大の消費国である米国は、どの国から何を輸入しているか:日本は第4位の貿易相手国
3. 米国は機械分野でどの国からどのような製品を輸入しているか:日本のシェアは今でも高い
4. 米国は食品分野でどの国からどのような製品を輸入しているか:日本のシェアは非常に低い
5. 巨大経済圏欧州の主要国は、どの国から何を輸入しているか:米国と傾向は似ているが日本のシェアは低い
6. 機械類の輸出はまだまだ増やせる:日本の大企業の海外進出は進んだが、中堅中小製造メーカーの輸出はこれから
7. 工業製品の輸出大国ドイツ:果敢に海外展開するドイツの中堅中小企業
8. ドイツの優良中堅企業「隠れたチャンピオン」の凄さ
9. 日本の中小機械・部品メーカーが輸出を増やすにはどうすればよいか
10. 日本からの食品の輸出を増やす余地はとても大きい:どうすればもっと売れるか

日本からの輸出拡大を目指す上で、対象市場として米国と欧州に着目する

米国は、経済規模が世界最大であることに加えて、世界最先進国として一人当たり購買力が高く、日本が得意とする高品質・高付加価値の製品・サービスを輸出する市場として最も魅力的と言える。日本の視点ではなく米国の視点で、米国の主要輸入相手国を鳥瞰し、米国がどの国とどの程度の貿易を行っているかを把握し、米国が多く輸入している品目と、それらをどの国々から輸入しているかを調べることで、米国向けの製品別輸出市場の規模を把握する。加えて、米国向け主要製品別輸出市場における日本の輸出シェアを把握することで、現在の立ち位置とシェア拡大の可能性について検討していきたい。

また、欧州は、最近はTPPの盛り上がりの陰に隠れて見られがちではあるが、生活水準が高く、一人当たりの購買力が高いという特徴がある。欧州が大きな経済圏であることとに加えて、ドイツ・英国・フランスなど欧州を構成する主要国それぞれの経済規模と輸入額は大きい。この点は概ね購買力が成長途上にある東南アジア・東アジアの多くの国と異なり、また所得は高いが人口が比較的少ないシンガポールや香港とも異なる。同様に、欧州からの視点で、対外貿易における日本の立ち位置を把握し、更なる輸出拡大に向けた可能性を検討する。

米国が輸入する主な製品として、大別して機械・部品類、及び食品類を取り上げる

 
(1)機械・部品類:自動車・自動車部品などの日本のシェアは大きいが、中堅・中小機械メーカーが輸出を増やす余地は大きい。

日本の輸出における特徴として、大企業の多くは輸出・進出に取り組んでいるが、輸出総額に占める中小企業の割合は3%程度と非常に低く、海外に直接投資を行う中小企業は1%程度にすぎない。

元々、日本の多くの中堅・中小企業の多くは、国内取引や系列内での取引のみを行ってきたため、輸出・海外進出の比率は自ずと低かった。国内市場の縮小や、取引先の海外展開などがきっかけで、近年に多くの企業が海外市場への取り組みを意識するようになった。

具体的な海外展開を進める上で、ネックになっているのは、大別して2点で、海外展開をどう進めて具体的に取引につなげるか、というノウハウの課題と、それを実行する人材の確保の課題が、しばしば挙げられる。

日本と同様に工業立国で、多くの中堅・中小企業が存在する、日本と比較的立ち位置が似ているドイツにおいては、中堅・中小企業が積極的に輸出を行っており、輸出に占める比率は20%に達していると言われる。また、ドイツには特定の強みに特化してグローバル市場で高い競争力があり、一般にはあまり知られていない「隠れたチャンピオン」企業が多く存在する。 

これらの企業の特徴は、積極的なグローバル化を推進している点を除いては、日本企業と良く似ている。日本の中堅・中小企業にとって手本となる点は多い。これら企業を参考としながら、日本の輸出拡大に向けた施策を検討する。

 
(2)食品類:米国・欧州の日本からの輸入は極めて限定的。輸出を大幅に増やすチャンスがある。

農林水産省によると、2015年の農林水産物・食品の輸出額は7,452億円となり、前年比21.8%増加し、過去最高値を更新した。しかし、主要国の食品輸入額に占める日本のシェアは殆どゼロに近い。

日本の食品は、品質と安全性において競争力が高く、海外における認知度も年々高まり続けている。一方で、日本からの食品の輸出額は、大きく増加しているものの、その額や主要国におけるシェアは非常に低い。このことは日本からの食品の輸出を、大幅に増やすことができる素地を示している。

日本から食品を海外に輸出する際に、多くの生産者やメーカーは、商社などに商品を国内で販売し、商社などが海外卸・顧客に販売する「間接貿易」の形態をとることが多い。

この方法は、生産者・メーカーにとっては国内商売となるため回収リスクが低く自社でマーケティングをしなくても商品が売れる「可能性がある」。しかしながら、多くのケースにおいて、商社が自らマーケティングを行うことはあまりない。商社は現地でニーズがある商品を買いつけるが、現地で知られていない商品を積極的に買い付ける可能性は低い。現地で知られていない商品が売れる可能性は低い。商社経由の取引を始めてみたが、量が出ずに立ち消えになるケースが後を絶たないのはこのためと考えられる。

重要なことは、生産者やメーカーが主体的にマーケティングを行うことである。自社では対応しきれない企業が殆どであるため、公的な支援を活用したり、現地販路を持つ支援企業や卸と組むことも有効である。主体的な販路開拓の施策について検討する。
 
これらのテーマについて深掘りして、今後数回にわたり、発信させて頂きます。何卒ご覧いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

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秋田 哲宏

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