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海外ビジネス コラム

市場動向 2012年08月10日

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急成長する巨大マーケット・インドのEC市場。御社のとるべき戦略は?

安宗 哲也(株式会社イノセス)

今、インドのEC市場がすごい勢いで成長しています。

以前から鉄道チケットなどの旅行商品の販売は活発でしたが、この1~2年で物販が急速に伸びており年成長率が35%にも達しています。
代表的な物販サイトでは、2007年に書籍販売のECとして創業したFlipcartが、書籍の成功を足掛かりに取扱商品を拡充して事業を拡大して、今年6月に月間売上が10億ルピーを超えました。
前年度の「年間」の売上が50億ルピーでしたので驚異的な成長です。
アパレル販売のMYNTRAも2007年に創業、月間売上が1億5千万ルピーになっており、今も成長が続いています。
同社では売上の半分以上をTier II, III都市(Tierはインドの格付け基準)からの注文が占めており、これはECが富裕層だけではなく中間層にも拡がっていることを示しています。
他にもSnapdeal, HomeShop18, Yebhiなど急成長しているECベンチャーは数多くあります。

3~4年前にインド出張で知り合った数人のインド人に、ネットで商品を買うか尋ねたときに、決済や物流に不安をあるので時期尚早と全員が答えたことが懐かしく思われます。まだまだ課題は多いですが、インドでもやっとネット通販が広く認知されて、消費者の信頼感が高まってきたということでしょう。

これだけ急成長しているEC市場ですが、インドの小売業に関しては外資規制が厳しく、マルチブランドを扱う小売業は原則として参入が禁止されています。
これにより、海外企業はBtoC ECには直接的に参入できません。
ただし、この規制は緩和されると見られており、海外事業者がインド市場に参入できる日は遠くないでしょう。
それを見越して米Amazonは、Jungleeというサイトを今年2月に立ち上げ、商品価格の比較や米国amazonからの直接購入に繫がるサービスを提供しています。
規制が緩和されたらこのサイトで本格的にECに参入するのでしょう。

ソーシャルメディアの普及、3G携帯電話網、スマートフォンの浸透など、インドECを取り巻く環境は絶えず変化しています。
インドはIT大国であり、既にインド企業が様々なネットビジネスを立ち上げていますし、規制が緩和されれば欧米企業も参入するでしょう。
激しい競争が待ち受けていますが、大きな可能性がある市場です。
市場動向を見ながら規制緩和を待つのか、早期にEC関連市場に参入するのか、海外市場への進出を狙っているEC企業にとってインド市場は検討する価値があると思います。

このコラムの著者

安宗 哲也

安宗 哲也

(株式会社イノセス)

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