市場動向 2017年08月29日
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オーストラリアの医療&保険事情
日本国内で病気や怪我で何らかの医療を受ける際、国民健康保険に加入していれば最小限の負担金額である一定水準のケアーを受ける事が出来ます。また高度な医療技術を必要とし医療費が高額になった場合でも、高額療養費制度などを申請すれば、更に医療費を抑える事が可能になります。
オーストラリアに限らず海外で我々日本人が何らかの医療を受ける時には、当然日本の健康保険は使用する事が出来ません。有効的な保険に加入していないと、ちょっとした治療でも、家を購入できるくらいの治療費が掛かる可能性があるのは万国共通の話になります。転ばぬ先の杖ではありませんが、海外旅行の際には治療費のカバーをしてくれる海外旅行保険のお世話になる事になります。
オーストラリアには、日本の健康保険制度と同様に公的医療制度が存在します。その医療制度はメディケア(Medicare)と呼ばれ、オーストラリア国籍保持者と永住権保持者が加入対象者となっております。それ以外のビザ保持者、就労ビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザなどの場合には、各種民間医療保険に自分自身で加入するする形になります。ただ学生ビザ取得の条件として、政府は学生に対して留学生用健康保険Overseas Student Health Cover(OSHC)の加入をビザ取得の条件の一つとしております。
オーストラリアのメディケアと日本の健康保険との大きな違いは、ほとんどすべての治療に関して一定のカバーをされている日本の健康保険に対して、メディケアは治療方法や内容、検査によって時には高額な治療費を請求される場合もございます。また救急車、歯や目の治療などは保険の適応外となっており、メディケアでカバーされていない治療に関しては、他のビザ保持者と同様に民間医療保険に加入する必要があります。こちらの民間医療保険は高額なプランも多く、永住権保持者であったとしても、歯の治療の為に日本に帰国する人も少なくありません。
日本とオーストラリアの相違点及び問題点
私がオーストラリアに来た当初は、学生ビザ、就労ビザ保持者に対してもメディケアが発給されておりました。その後学生ビザが対象外となり、次に就労ビザ保持者が外れ現在のスタイルとなりました。そのスタイル変化の背景には年々膨れ上がる保険への政府負担額が上げられます。2000年前後から負担額は上昇の一歩をたどり、2015年度にはオーストラリアのGDPに対し10%の大台に乗ってしまいました。
膨れ上がる政府の保険負担額を抑えようと、政府はメディケアオフィスの縮小とインターネット化を進め、人件費を大幅にカットし、組織のスリム化に着手、実行しております。保険負担費に頭を悩ませているのは、日本もオーストラリアと同様ですが、日本はオーストラリアに比べ、まだまだ打てる対策、政策はあるように思えます。
日本の場合には日本国籍や永住権を有していない、海外からの留学生であったとしても、諸条件を満たせば健康保険の対象資格者になります。また近年では日本の保険制度のほころびを狙い、ペーパーカンパニーを設立し、会社から合法的に健康保険を発給し、母国では受けられない高度な医療や、スタンダードの高い日本の医療サービスを低額で受けようとする人達も増え、社会問題になっております。
2020年には東京オリンピックも控え、年々日本を訪れる外国人観光客数は増えておりますが、必ずしも海外旅行保険に加入している人達ばかりではなく、中には急遽体調を渡航先の日本で崩し、治療を受けたが、治療費を払わずにそのまま行方不明になってしまうケースもあります。この様なケースは治療を受けた患者は国外に出国されてしまえば、その後所在を追うことは難しく、善意で治療を施した医療機関が治療費を負担し、泣き寝入りになっております。
日本人は元来外国人に比較的優しい国ですが、グローバルスタンダードの視点から見ますと、何らかの保険に加入していない患者に対しては、ほとんどの医療機関がドライな対応をしてるのが現状です。また国民からの税金は国民に還元するのが大原則で、外国人はその対象外。その様な考えが世界では常識です。医療負担費が40兆円を超えると言われている日本ですが、オーストラリアと同様に留学生の学生ビザ発給条件として、留学生用保険の強制加入。国民健康保険対象者は、日本国籍及び、永住権保持者のみとすれば、多少なりともこの負担費が削減出来るのではと考えております。
いずれにしましても、海外で何らかの医療サービスを受ける場合には、膨大な治療費を請求されますので、出国前には持病等の治療や、海外でもサポートしてくれる民間医療保険の加入は必須だと言えます。
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