ネットビジネス 2018年10月19日
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越境EC マレーシアのポテンシャルは?
9月3日、東京都は越境ECで中国向け販売、マレーシア向け販売を支援する事業を開始した。これは中国とマレーシアの現地モールに特設サイトを開設し、販売するというものだ。中国では、「寺庫(スーク―)」モールサイトで、マレーシアは「11street(イレブンストリート)」での販売となる。 東京都が越境ECで支援する中国向け販売と、マレーシア向け販売だが、東南アジアEC市場は2年前と比べると大きく様変わりしている。
マレーシアの人口は3,100万人、国民1人あたりのGDPは9,945米ドルとASEANの中ではシンガポール、ブルネイに次ぐ第3位。そして、地理的にもASEANの中心に位置し、インドや中国と隣接しているため、今後、最も発展が望める国とされている。今回は、この東南アジアでも成長著しい、マレーシアのEC事情について調べてみた。
●マレーシアはどんな国?
2018年5月9日、マレーシアで行われた総選挙で、マハティール・モハマド氏が率いる政党連合の希望連盟が過半数議席を獲得し、政権が交代した。これまでの権威主義的な政権が打破され、政治が刷新され、マレーシアは新しい国として生まれ変わろうとしている。 マレーシアの基本的情報は下記にまとめたが、マレーシアの人口は約3,205万人の多民族国家である。国民一人当たりのGDPは9,945米ドル、年平均4%~6%の安定した経済成長を続けている。
1991年にマレーシアの30年後の未来像として発表された「VISION2020」は、マレーシアが 2020年までに経済、社会、文化、精神のあらゆる側面で先進国入りすることを目標としている。
●マレーシアのインターネット事情
マレーシアは2020年、先進国の仲間入りのために、様々な施策を講じている。その一つが、デジタル産業の誘致である。90年代には優遇措置であるマレーシア・スーパーコリドー(MSC)ステータスを導入し、IT関連企業が集まる「サイバージャヤ」を建設した。2012年には「デジタルエコノミー」のイニシアティブである「デジタル・マレーシア」を策定し、企業のデジタル化サポートや子どもたちへのデジタル啓発活動も行われている。この「デジタルエコノミー」により、Eコマースがマレーシアでは盛んになりつつあるようだ。
2018年1月時点でのインターネット利用率は人口の79%で2,508万人。2017年時点では、71%で2,200万人だったので14%も伸びている計算になる。
利用ディバイスはPCより、スマートフォンの利用が高い。
- ◆ インターネット利用率は人口の79%、人数にすると2,508万人
- ◆ 利用ディバイスはスマートフォン88%、PC41%、タブレット18%
- ◆ インターネットの利用時間は1日のうち8時間27分とヘビーユーザーである
- ◆ SNS利用時間は1日のうち3時間
- ◆ SNSユーザー数は2,400万人 ・Facebookの利用者人数は1,900万人
●マレーシアのEC市場の動向
マレーシアのEC市場規模は、2015年から47%拡大し、24億1,000万米ドル(約2,744億円)規模に達していると、国営ベルナマ通信が2017年10月31日、フェイスブック・マレーシアで述べている。
また、Lazadaマレーシアによると、マレーシアではオンラインショッピングの主力は既婚(30歳以上)女性で、購入する商品の種類は電化製品からライフスタイル、サプリメント、美容、ファッションなどの商品であるとしている。
マレーシアのEC市場成長率は、23.7%に達し、今後も大きな成長が見込まれている。 マレーシアののEC市場は発展しているように見えるが、EC化率はまだまだ低く、小売市場の2~3%となっている。現実は商品の約80%は実店舗での買い物である。EC市場での取引額は小額だが、2016年11月に11ストリートがマレーシア国内の3,507人を対象に実施したアンケート調査よると、オンラインショッピング経験者は83%と高く、換言すれば、EC市場の発展はこれから進展する要素が高い。
同アンケートではECサイト売れ筋商品も紹介され、人気商品はファッション・美容、電子機器、スポーツ・ホビーなどで、今後は室内装飾・家具、家庭用品・雑貨、サプリメントに人気が高まるとしている。
●マレーシアの人気ECサイトベスト5
Lazada Malaysia アリババ(中)系
LAZADAは東南アジア最大級のモール型ECサイトである。東南アジア主要6カ国で事業を展開し、「東南アジアのAmazon」と呼ばれている。
中国アリババが2018年にラザダに対して、それぞれ10億米ドル、20億米ドルの追加出資を行った。
ラザダについては、以前のブログ「東南アジア最大級のECサイトLazada(ラザダ)を調べてみた」へ
11street Malaysia マレーシア・韓国企業の合弁
今回、東京都がECサイトで出店し、マレーシアでの販売を支援するのが、この11streetモールである。11streetモールは新しいモールサイトで新興サイトであるが急成長中で、出店料は無料で現在約13,000のショップが出店している。
Lelong.my 地場企業
Lelongは、1998年創業の老舗モール型ECサイトだである。7,000社以上のメーカーやブランドが出店しており、商品は日常品からファッション、電化製品など取り扱いは多岐にわたる。
Shopee Malaysia Sea(シンガポール)系
Shopeeは、2009年に設立された”Sea”という会社が提供するECサービスである。日本からは、孫氏がアドザイザーとして加わっており、2017年10月にNASDAQに上場を果たした。
Zalora Mallaysia ロケットインターネット(独)系
Zalora Mallaysiaは、Zalora Groupが東南アジアで展開するザロラ、マレーシアECモールサイトである。ファッション系ECサイトで世界の比較的高級なアパレル・ファッションECモールである。
●マレーシアの越境EC取引の動向
マレーシアのネットショッピングユーザーの多くは、自国のECサイトより、越境ECサイトを信頼している傾向があり、Lazada(ラザダ)に代表されるグローバル・マーケットプレイスを頻繁に利用している。また、11street Malaysiaでは少数ではなるが、日本の商品を扱っており、2016年はマウスウオッシュなど美容・健康関連商品が人気があある。
越境ECで売れ筋商品は下記商品となっている。
1位:粉ミルク
2位:スチール製の収納箱
3位:MILO[飲料]
4位:携帯型充電器(モバイルバッテリー)
5位:折り畳み式アルミニウム机
越境ECでの問題点は、マレーシアは多国籍国家のため、特定の文化圏の人々にターゲットを絞るのでなければ、ECサイトでは多言語(英語、中国語、マレー語、ヒンドゥー語)に対応する必要がある。
Eコマースの決済手段については、クレジットカードと銀行振込(インターネットバンキングを含む)が52%と最も多く、続いて、オンラインバンキングが42%、代金引換が12%、ペイパルが6%となっている。
●まとめ
世界有数の親日国として知られているマレーシアは、国家プロジェクトでもある「デジタル・マレーシア」が進んでおり、ASEAN地域を代表する経済大国になる可能性を大いに秘めている。
また、訪日観光客数も2012年から2016年の3年間の推移をみると、2012年の3倍の394,268人と増加し、その親日性を把握できる。このように日本との友好関係も深く、親日国ため、日本製品へ信頼も高い、マレーシアへはEC市場参入しやすい国の一つである。
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