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海外ビジネス コラム

市場動向 2012年11月27日

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中国進出のキーワードは【安全】【安心】・・・日本製品不買運動への対応策

福田 完次(株式会社グラブポット)

先日、某社と共催で『今だからこそ日本企業が考えるべき中国ビジネス』と言う中国ビジネスセミナーを開催させて頂きました。

(以下、ヤフーニュースに掲載された内容です)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121115-00000041-scn-cn

お蔭様で超満員となり有り難いことではありますが、それだけお悩みのところが多いということでもあります。
そんなお悩みの中の一つが、尖閣問題に絡んだ日本製品不買運動の影響についてです。
日本製品は、今後売れないんじゃないか、中国市場では難しくなるのではないかと言うご不安です。

まずもって、私自身の経験や多くの中国の友人のヒヤリングから言えることは、彼らは国同士の関係が悪いからといって、その国の商品を全く買わないという事は考えにくいという事です。
日本のマスコミも中国側に載せられているところがありますので(中国側は、こんなに中国国民は怒っていると日本に見せたい訳です)、如何にも中国の方の多くが、今後は日本製品を買わないと言っているように思われるかもしれませんが、現場を聞いて回れば、決してそれが大勢の意見でないことが解ります。

はっきり言えば、遠い島の話より、自分達の身の回りの食品の安全や日々の生活の方が大切な人だってたくさんおられる訳です。
(そうでない方も勿論おられますが、私自身の感覚ではむしろそちらの方が大多数と感じます)。

そういう背景となれば、多くの普通の方々は、本当に欲しいもの、良いと思うものであれば、例えそれが日本製品でも買うと言うのは明らかです。
あるいは、反日デモで日本製品を買うなと声高に訴えている人々の中にも、家に帰れば日本製品に囲まれている人はたくさんおられます。

但し、外の目に見えるものを日本ブランドでというと、それは事情が違ってきます。
この状況下の中、政府関係者が日本車を買い、それで通勤など出来るわけがありません。
日本製品の不買運動なども、基本的には国として仕掛けている訳ですから、そこで働く人や政府機関あるいは国有企業が方針転換しないのに日本の製品をと言うのは相当に無理があります。

他方、個人の自宅であれば話は違います。
そんなものは表に出ない。
中国では食品の安全性が極めて不確かで薬も危ない。
特に子供のミルクや口にするものについては、中国の方々は物凄く神経質。
そういう彼らが、指導部が言っているから、あるいは国同士の関係が悪いから、大切な子供のために、安全なミルクでなくて危険なミルクを買うかといえば、そんなことはありません(勿論代替品があるかという問題も絡みます)。

自動車についても同じです。
確かに売上げは減っています。
ダメージも受けています。
それでも売上げがゼロになった訳ではありません。
公的機関やそこに勤める多くの人の販売が望めない中にあっても、一定の台数は売れている訳です。
要するに、日本車の品質や信頼性(特に故障しない所)、安全性などから、日本製品であっても欲しいと思ってくれる方々は実はたくさん居られるわけです。

政府に勤める私の知人が言います『日本車が買いたいのだけれど、今はちょっとね』。
彼は、もう少し落ち着くのを待って、こそっと日本車を買うのだそうです。
日本車は多少売れ行きも落ちているだろうから、結構な値引きをしてくれるかも・・何ともタフな話です。

こういう背景を冷静に考えた時に、確かに一時的な影響は避けられませんが、余りにそちらに注意を取られることよりも、もっと注力すべきことがあるように思えます。
技術をベースにした確かな品質、顧客満足を勝ち得るサービス、中国の方々のニーズを捉えるマーケティング、こうしたことにより更に良い商品を出し続けることこそがシェア回復の柱だと思うのです。

その中での最重要なキーワードは、【安全】、【安心】。

こういう努力の結果、元の市場規模まで戻せたとしたら、中国市場での日本製品の未来は更に期待の出来るものになります。
それだけのハンデを持ちながらも、中国の方々がより欲しいと思う商品群やサービスを作り出せたという事になるわけですから。

今の売上げも勿論大切ですが、それ以上に、素晴らしい商品開発や充実したサービスの提供を粛々と進めることこそが、我々日本企業に出来る一番の近道だと私は考えます。

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福田 完次

(株式会社グラブポット)

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