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海外ビジネス コラム

市場動向 2013年01月29日

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ベトナム進出成功のために知っておきたい現地情報! ベトナム人は、何故そんなにテレビが好きなのか?

吉田 雅之(株式会社マックアンドサンク)

テレビは1日平均229分、インターネットは50分、新聞は16分

ベトナムの人たちの朝は早く、こちらがまだ深い眠りの中にいることなどお構い無しに朝5時頃になると、サイゴンの路地の家々から爆大音量でテレビの音が溢れ出てきます。

テレビが目覚ましや時計代わりで、朝起きてから、昼寝の時間を除き夜寝るまで、家に誰かがいる間は基本つけっぱなしの生活。テレビが好きというよりは惰性という感じですが、それが日常の習慣です。眼が悪くなることなど気に掛ける様子もなく、部屋の電灯を消して、皆で見るともなく眺め、おしゃべりをし、何かを口に運んでいます。

最近では、それにPCが加わっているのがごく普通のベトナムの都市部に暮らす人の生活で、テレビとPCがお友達、そんな風景も当り前となりました……。

今年の1月初め、ニュースの中にKantar Media VNという調査会社によるベトナムのテレビ広告をめぐる概況を伝えるものが目に留まりました。 http://goo.gl/v69st

その資料が伝えることには、
*印刷媒体、ラジオ等が伸び悩む中、テレビ広告は前年比30%増。
*ベトナムの90%の世帯がTVを持ち、27%の世帯が2台以上を保有。
*1日平均229分テレビを視聴。インターネットに割く時間は50分、新聞には16分。
*広告を1000人に届けるコストを比べれば他の媒体よりも安上がり。
*調査に応じた15~54歳までの世代の64%の人達が、テレビ広告が自分達の買物に大きな影響を与えていると回答。
*15~24歳の年代層ではインターネットを使う時間がテレビを試聴する時間を上廻っている、しかし、ネットに使う時間が増えている分だけTVを見ている時間が減っている、という明らかな証拠はない。

と、「かなり実感に近いな」と言うのが正直な感想です。

 

都市部ではケーブル・テレビが主流

1996年、私がベトナムと付き合い始めたころ、テレビのチャンネルは3つ程。朝放送して昼は休み、また夕方から放映開始という感じです。その時代でも街中の屋根にはテレビのアンテナが林立していました。

今は、ケーブル・テレビが都市部では主流。一ヶ月400円で70チャンネル、世界各国の番組を観ることが出来ます。インターネット・テレビも普及し始めました。他の技術的な事柄と同じく、白黒テレビ普及の段階を飛ばして、いきなりカラー、薄型、インターネット・テレビへ、ここでも「技術の中抜け現象」が起きています。

ベトナムの人達との会話で気がつくことは、テレビから得ている情報の量がとても多いことです。遠い外国のことを良く知っていたり、最新のファッションについて、化粧品について、流行の音楽について、色々な分野の“有名人”について、また世界各国のサッカーの勝敗から、政治、経済の動向についてまで……、知っている、知っている。

もともと口コミによる情報を最重要視して暮らしていたベトナムの人達に、テレビは別の価値基準を提供しました。すなわち、テレビに出ていることへの「信用」、それがそのままこの国のテレビ広告の効果を高めている原因だと思われます。1986年のドイ・モイ政策の開始によって「外国企業が急速にこの国に進出を開始した時期」と、「テレビの家庭への普及」「コンテンツの拡大」とは時期を同じくしています。当然のごとく外国企業のテレビ広告が溢れることとなり、名前さえ聴いたことのなかった外国の商品を人々に印象付けていき、そこから「信用・ブランド」が生まれてきました。

しかしながら1党独裁のベトナムでは、毎日のニュースの時間、どのチャンネルに合わせても同じニュース番組が提供されます。流れていくまま反芻されない情報、検証されない知識をひたすら吸収してしまう事への危うさをそこには感じます。しかし、ベトナムの普通の人達と接していると、皆、テレビなどにはこれっぽっちも期待していないようにみえます。こんなものに自分は影響されない、自分はもっと賢く強い、という自信に満ち、表面的にはどのような物でも受け入れながら、自分なりに解釈・理解する、そんなふうに見えて仕方ありません。ある意味、極端に自己中心的な姿勢ではありますが、しばしば そこにベトナム人達の計り知れない強さを感じます。

だが、それでも、9000万人の人口を抱えるベトナムのテレビはまだまだ強い!

※ 弊社では2013年「大奥」「花ざかりの君たちへ」「家政婦のミタ」などのドラマや、「新婚さんいらっしゃい!」などの日本のコンテンツをベトナムで積極的に展開していきます。

このコラムの著者

吉田 雅之

吉田 雅之

(株式会社マックアンドサンク)

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