市場動向 2013年02月10日
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<アジア・クロスボーダー戦略> 経済特区 ミャンマー【1】
前回のコラムでは、
「アジア事業戦略を「面」で捉えて考える時代に入ってきた」
と言うことをお伝えさせていただきました。
実際にアジアにコントロールタワーとしての統括拠点の設置をした後、どのように事業展開を図っていくのか。
つまりは、どこの国々を対象にして、面を捉えていけばよいのか。
これらを考えてゆく際に、アジア各国の「経済特区」の存在が重要になってきます。
経済特区を上手に活用することで、アジアを面で捉えた事業展開の組み立てがより効果を発揮するはずです。
大中華経済圏の勃興と、それへの対応を考察してゆくことは大変に重要です。
そこで、弊社の「アジア・クロスボーダー戦略コンサルティング・チーム」がまとめます情報を発信させていただきます。
まず第一国目は、民主化と経済開放により、日本企業の進出先としても関心が高まっているミャンマーについてのレポートになります。
どこの国にどのような機能を求めていくのかは重要なことであるが、ミャンマーに関しては、30歳未満が全国民の約6割を占める豊富な若年労働力と、高い成人識字率に加え、英語も通じやすいといった優秀な労働力が魅力である。
この魅力ある労働力と低賃金によるコストの抑制により、日系企業は製造業や漁業、観光にはじまり、最近では縫製業の投資が相次いでいることはよく知られるところである。
現状を考察するに新たな製造機能地としての活用も一つではないだろか。
ちなみに、このミャンマーの経済成長率は、2011年度は5.5%(IMF調べ)で、2010年時点での日系企業進出数は約50社ほどである。
このような背景の下で、ミャンマー内での事業展開を目指すことになるのだが、それでは一体、ミャンマー内のどこに具体的に進めば良いのだろうか。
その答えの一つになるのは、SEZ(Special Economic Zone)と呼ばれる経済特区への進出ではなかろうか。
経済特区とは、国の経済発展の促進を目指して、外資を誘致すること目的とした国家の指定する特定地域であり、様々な投資優遇制度が整えられている場所である。
具体的には、国家の産業育成方針の下でこの特区に進出可能な業種を定め、ハイテク産業やインフラ整備と行った経済発展に資する産業や、雇用機会を創出できる事業を奨励し、それら企業には税制面で優遇を与えている。
また土地の利用方法にも優遇措置を講じている。
現在、ミャンマーにはこの経済特区が3つあるが、記憶に新しいところでは、日・ミャンマー首脳会議で議題に上がったティラワ経済特区の開発があげられる。
このティラワ経済特区は、日本政府も関係省庁間でタスクフォースを設け、新規円借款の一部を開発事業に充てるなど力を入れており、ミャンマー政府側でも、この特区への進出企業向けに経営人材や産業人材の育成に取り組みを始めている。
なお、この地区での労働人口は、製造業で218,000人、商業で65,000人を予測している。
ちなみに、12万人想定の居住区も特区内に開発予定である。
2015年までに開発と企業誘致を完遂させることを目標としている。
概要としては、ヤンゴン中心市街地から約23Kmに位置する所で工業団地等の総合開発を行うものである。
開発面積は約2,400haで、大型船も接岸できるようにヤンゴン川沿いに港湾施設も設け、コンテナ輸送も可能としている。
将来的なコンテナ取扱量は100万TEUを見込んでいる。
進出業種としては、労働集約型の輸出加工業や、国内市場向けの製造業や食品加工業がイメージされているが、経済特区法においては、貿易や運輸・物流、ホテル・観光、クリーン&グリーン産業などの事業分野なども挙げられている。
その他、SEZ内では海外の口座開設が可能であり、中央組織が定める外貨の送金及び着金が可能となっている。
土地の使用権については、最低30年間使用可能であり、大規模投資事業に該当すれば、+30年+15年の延長措置により、最長75年間の使用が可能である。
ちなみに、中規模投資超事業では最長60年、小規模投資事業は最長40年となっている。
所得税については、生産またはサービス開始から5年間の海外向け売上げに対し免税され、その後の5年間も50%減税措置がある。
輸入関税及びその他諸税に関しては、事業に使用する機械設備や運搬車両は、営業開始から5年間は免税で、その後の5年間も50%の免税措置が用意されている。
以上がティラワ経済特区の概要である。
(文責)
ホープウィル・グループ
アジア・クロスボーダー戦略コンサルティング・チーム
次回は、ミャンマーの残り2つの経済特区に焦点を当ててお伝えする予定ですが、大中華経済圏を面として捉えた際のミャンマーの製造機能地のとしての有効性、皆さんはいかが感じられますか?
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