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タイ経営の実務課題とは?② 自走化を実現するガバナンス改革と"守り"と"攻め"の両立

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前編①では、タイ拠点が設立後3〜5年で停滞しやすい原価管理・レポーティング・業務属人化といった課題を取り上げました。本記事では、自走化をさらに阻む「人事・組織」の課題に焦点を当てます。

日本人駐在員とタイ人スタッフの間のマインドギャップ、現地マネジメント層への実質的な権限移譲の遅れ——こうした人と組織の問題を解決しないかぎり、どれだけオペレーションを整えても拠点は自走できません。

本記事では、人事・組織の再設計からガバナンス改革、バックオフィス効率化、さらなる販路拡大まで、"守り"と"攻め"を両立させる再構築戦略を解説します。タイ拠点の次のステージを見据えた経営の手掛かりとして、ぜひお役立てください。

▼ タイ経営の実務課題とは?② 自走化を実現するガバナンス改革と"守り"と"攻め"の両立

1.人事・組織の再設計が自走化の鍵

日本人とタイ人のマインドギャップ

タイの日系現地法人において、日本人駐在員とタイ人スタッフとの間には、仕事に対する価値観や行動原理の面で少なからずギャップが存在します。日本では「報告・連絡・相談」が当然とされていますが、タイでは上司に問題を報告することが「自分の失敗を認める行為」と捉えられ、避けられる場合があります。

また、日本的な「暗黙の了解」や「空気を読む」文化は、タイ人スタッフには伝わりにくい場面が多いのが実情です。このギャップを放置すると、相互不信が蓄積し、組織としての一体感が失われていきます。解決策として有効なのは、「期待値の明文化」です。求める行動や成果を具体的に言語化し、評価制度と紐づけることで、文化の違いを超えた共通基盤をつくることができます。

エンゲージメント低下の兆候

タイ人スタッフのエンゲージメント低下は、突然の大量離職という形で表面化することがあります。しかし、その兆候は日常の中に現れていることが多いのです。会議での発言が減る、提案や改善の声が上がらなくなる、残業を一切しなくなるといった変化は、組織に対する関心や帰属意識が薄れているサインです。

タイでは特に、給与水準だけでなく、職場の人間関係や上司との信頼関係がエンゲージメントに大きく影響するといわれています。日系企業がタイ人スタッフのエンゲージメントを維持・向上させるためには、定期的な面談の実施、キャリアパスの提示、そして日常的なコミュニケーションの質を高めることが必要です。数字には表れにくい人事課題だからこそ、意識的に観察し、早期に手を打つ姿勢が求められます。

現地マネジメント層の育成課題

タイ拠点が「自走する経営拠点」へと進化するためには、現地のタイ人マネジメント層の育成が避けて通れないテーマです。しかし現実には、管理職に昇進しても実質的な権限が与えられず、意思決定は日本人駐在員が行うという構図が残っている拠点は多く見られます。この状態では、タイ人管理職のモチベーションは上がらず、育成も進みません。

現地マネジメント層に経営の一端を担ってもらうためには、段階的な権限移譲とそれに伴う教育投資が必要です。具体的には、経営数値の共有、意思決定プロセスへの参画機会の提供、外部研修の活用などが考えられます。短期間で成果が出る領域ではありませんが、中長期のタイ経営を見据えたとき、この投資を惜しむことは拠点の将来を狭めることになります。

2.「守り」と「攻め」を両立させる再構築戦略

ガバナンスを"管理"から"仕組み"へ

タイ拠点の経営再構築において、まず取り組むべきは、ガバナンスの再定義です。前述のとおり、管理のためのルールとして導入されたガバナンスは現場に根づきにくい傾向があります。

これを「組織が自律的に機能するための仕組み」へと転換することが重要です。具体的には、承認フローの簡素化とデジタル化、例外処理の基準明確化、そして定期的な内部監査の実施が挙げられます。ポイントは、ルールの数を減らしつつ、重要な管理ポイントには確実に目が届く体制をつくることです。タイでは政府によるデジタル化推進も進んでおり、e-Tax InvoiceやPromptPayといった公的インフラの活用も管理業務の効率化に寄与します。ガバナンスを「守り」の基盤として機能させることが、攻めの経営に転じるための前提条件となります。

生産性向上とバックオフィス改革

タイ拠点の収益性を高めるうえで、バックオフィス業務の生産性向上は即効性のあるテーマです。経理・人事・総務といった管理部門の業務は、手作業や紙ベースの処理が残っている拠点も多く、効率化の余地が大きい領域といえます。

クラウド型の会計ソフトや勤怠管理システムの導入により、データ入力の手間を削減し、リアルタイムでの数値把握を可能にすることができます。また、日本本社との連携においても、共通のシステム基盤を持つことで報告業務の負担が軽減され、駐在員が本来注力すべき経営判断や営業活動に時間を振り向けられるようになります。

バックオフィス改革は地味に見えますが、コスト削減と本社への情報伝達の質向上を同時に実現できるため、タイ経営の再構築において最も費用対効果の高い施策の一つです。

販路拡大を実働で支える

「守り」の基盤が整ったら、次は「攻め」のフェーズです。タイは東南アジアのハブとしての地理的優位性を持ち、ASEAN域内への販路拡大の起点として活用できるポテンシャルを秘めています。しかし、既存業務に追われる駐在員が新規開拓に十分なリソースを割くことは難しいのが現実です。

ここで重要になるのが、外部パートナーの活用です。市場調査、展示会への出展支援、代理店ネットワークの構築といった実務を専門パートナーに委託することで、社内リソースを有効に配分できます。

CLMVと呼ばれるカンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムへの展開も視野に入れることで、タイ拠点の戦略的価値はさらに高まります。攻めの経営は、守りが固まってこそ実行力を持つのです。

3.まとめ|タイ拠点を"自走する経営拠点"へ

タイに進出済みの日系企業が直面する経営課題は、設立時には見えなかった実務レベルの問題が中心です。原価管理のズレ、レポーティングの形骸化、業務の属人化、そして人事・組織面でのギャップは、いずれも放置すれば拠点全体のパフォーマンスを低下させる要因となります。

これらの課題に対処するためには、個別の問題をモグラ叩き的に解決するのではなく、ガバナンスの再設計、バックオフィスの効率化、人材育成の強化といったテーマを包括的に捉え、経営の仕組みそのものを再構築するアプローチが求められます。「守り」と「攻め」を両立させ、現地法人を日本本社に依存しない自走する経営拠点へと変えていくことが、タイ経営の次のステージを切り拓く鍵となるでしょう。

なお、こうした人事・組織面の課題や、ガバナンスと実行力のバランスに関する悩みは、「重要だと分かっていても、どこから手を付けるべきか分からない」「制度を入れても現地で形骸化してしまう」といったかたちで放置されがちです。

これまで私たちは、タイ現地法人の経営フェーズや組織状況を踏まえ、人事・組織設計、マネジメント体制の再構築、現地スタッフが主体的に動ける運営の仕組みづくりを、現場に入り込みながら支援してきました。

日本本社の統制や可視化を維持しつつも、現地に権限と責任を委ね、「駐在員が前に出なくても回る組織」をどう実装するか、その設計と定着までを実務レベルで伴走する点が私たちの特徴です。

タイ拠点の組織運営や人材育成に違和感を覚え始めている場合、あるいは「このままでは自走化は難しい」と感じられている場合は、まずは現状の整理や課題の言語化からでも構いません。是非、お気軽にご相談ください。

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    2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも展開。
    20年近い海外実務の蓄積があり、実績・ノウハウも豊富にございます。

    また、自社拠点を持たない国についても、現地パートナー・提携専門家とのネットワークを通じて、世界どこでも対応可能な体制を構築しています。

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    弊社は、会計事務所を母体とし、26か国34拠点・グループ従業員357名のグローバルコンサルティングファームです。

    2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも展開。
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    また、自社拠点を持たない国についても、現地パートナー・提携専門家とのネットワークを通じて、世界どこでも対応可能な体制を構築しています。

    海外進出のご相談・市場調査から、現地法人設立、海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築、撤退まで、国際ビジネスのすべてのフェーズをワンストップでサポート。

    特に、会計・税務・法務・労務・人事の専門家を各国で内製していることが、他のコンサルティングファームにはない強みです。

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    ・販路開拓 現地企業マッチング(出島での小規模ニーズに対応)
    海外販路拡大、提携先・代理店のリストアップ、合弁パートナー探しを単発でもお請けします。
    各国の現地拠点・駐在員のネットワークに加え、拠点のない国も提携専門家経由で対応。「まず1〜2社、現地候補と面談したい」というスポットご相談から承ります。

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