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FCA(Free Carrier / 運送人渡し)とは-インコタームズにおけるFCAの基礎知識

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FCA(Free Carrier / 運送人渡し)とは、「インコタームズ」における国際貿易の取引条件のひとつです。具体的には、貨物を運送人に引き渡すまでのリスクと費用を売り手が負担し、その後のリスクと費用は買い手が負担することを定めています。

FCAの特徴は、貿易取引における柔軟性と貨物に関するリスクの明確な移転点があることです。本文内で詳述しますが、そのFCAならではの特徴が、売り手と買い手の双方から重宝され、国際貿易において広く用いられているのです。

本記事では、そんなFCAの基礎知識として、そのメリットとデメリット、さらにはFOB(Free On Board / 本船渡し条件)との違い、そしてFCA取引の詳細な流れまで、海外への輸出入貿易を検討している日本人ビジネスパーソンに向けて、わかりやすく解説していきます。

1. FCA(Free Carrier / 運送人渡し)とは

本稿のテーマである「FCA(Free Carrier / 運送人渡し)」について解説する前に、まずは、FCAを始めとする様々な国際貿易の取引条件を定めた「インコタームズ」について、簡潔に解説します。

異なる法制度、税体系、および商慣習は、国際貿易における障壁となります。これらの障壁を乗り越え、円滑な取引を実現するためには、共通の言語と規則が不可欠です。ここで重要な役割を果たすのが、「インコタームズ」という一連の国際貿易規則となります。

インコタームズの主な目的は、貿易契約における買い手と売り手の間で責任とリスクの分担を明確にし、世界中での取引の透明性と効率を向上させることです。

インコタームズは、貿易契約における買い手と売り手の責任とリスクの所在を明確にし、全世界での商取引の透明性と効率性を高めることを目的としています。

そんなインコタームズ2020に基づき定義された、本稿のテーマである「FCA(Free Carrier / 運送人渡し)」とは、売り手と買い手の貿易プロセスにおいて、各自のリスクと責任の移転点を明確にすることで、取引の透明性を高め、予期せぬコストやリスクから各当事者を守る取引条件のひとつです。 具体的には、具体的には、貨物を運送人に引き渡すまでのリスクと費用を売り手が負担し、その後のリスクと費用は買い手が負担することを定めています。

この項では、そんなFCAの基本情報とインコタームズについて解説します。

そもそもインコタームズとは

まず、そもそもインコタームズとは、「International Commercial Terms」の略称で、国際商業会議所(ICC)によって定められた国際貿易取引条件であり、貿易取引における費用とリスクの分担に関する国際規則を指します。

「インコタームズ2020」は、最新の国際貿易の実務や習慣を反映したルールで、11の貿易条件が明確に定義されています。これにより、国境を越えた取引における責任とリスクの所在が明確にされ、よりスムーズな商取引が可能になります。

FCAの基本情報

FCA(Free Carrie)はそんなインコタームズのひとつで、「運送人渡し」を意味します。

FCA条件下では、売り手は貨物を買い手が指定した運送人に引き渡すまで、すべてのリスクと費用を負担します。引き渡し地点は、売り手の工場、倉庫、または他の任意の場所(例えば、陸上輸送ターミナル、港、空港など)が設定できます。これにより取引の柔軟性が高まります。

FCA条件下では、売り手から一旦貨物が運送人に引き渡されると、リスクが売り手から買い手に移転します。買い手はその時点からのリスクおよび、運送コストや輸入手続きに関連する費用を負担することになります。

FCAは、輸出手続きを売り手が担当し、貨物の輸送とそれに伴うリスクを買い手が管理したい場合に特に適しています。買い手と売り手がより柔軟に取引の条件を調整し、特にコンテナ輸送や複合輸送が関わる複雑な物流プロセスを簡素化することができます。

2. FCA(Free Carrier / 運送人渡し)のメリット

FCA(Free Carrier)は、国際貿易において柔軟性と効率性をもたらす重要なインコタームズのひとつです。この条件は、特定の状況下で、とりわけ買い手と売り手双方に有益なメリットを提供します。

ここではFCAのメリットについて、買い手と売り手の双方から解説します。

買い手にとってのFCAのメリット

FCA条項は、買い手にとって多くのメリットをもたらします。

最も顕著なのは、貨物のコントロールが売り手から買い手に早期に移転されることになります。これにより、買い手は輸送の手配やスケジュールの管理において大きな自由度を得ることができるのです。

具体的には、買い手は自身の物流ニーズやコスト効率の最適化に基づいて、運送業者を選定し、輸送ルートを計画することが可能になります。

また、FCA取引では、貨物が売り手の指定地点に到着するとすぐに買い手の責任となるため、輸送コストの削減や物流プロセスの最適化も期待できます。

売り手にとってのFCAのメリット

売り手側から見ると、FCAはリスク管理と手続きの簡略化の観点から大きなメリットをもたらします。

売り手は、商品を指定された場所(例えば自社の工場や倉庫)で運送人に渡すまでの責任を負うのみで、その後の輸送過程におけるリスクや追加コストから解放されます。これにより、売り手は自身の責任範囲内でのリスクを明確に把握し、管理できるため、予期せぬコストや問題に対する懸念を軽減できるのです。

また、FCA条件の下では、売り手が負担する手続きが輸出手続きに限られるため、取引プロセスが簡略化され、時間と労力を節約できる可能性も高まります。


これらのメリットを簡潔にまとめると、FCA取引においては、買い手は輸送プロセスをより詳細にコントロールでき、売り手は輸出段階のリスクと責任を明確に限定できることになります。

3. FCA(Free Carrier / 運送人渡し)のデメリット

FCA(Free Carrier / 運送人渡し)は、多くのメリットを提供する一方で、特定の状況下ではデメリットやリスクを引き起こす可能性があります。

ここではFCAのデメリットについて解説します。

買い手にとってのFCAのデメリット

買い手にとって、FCA取引の最大のデメリットは、貨物の引き渡し地点から先の輸送プロセス全体を管理し、その費用を負担する責任があることです。

これは、特に輸入国での通関手続きや輸送の手配が関わる場合、複雑かつ時間を要する作業になり得ます。

さらに、国際物流における経験や知識が不足している買い手にとっては、適切な運送業者の選定や輸送コストの見積もりが困難になることもあります。

このような状況は、予期せぬ遅延や追加費用につながり、全体的な取引コストの増加を招く可能性があります。

売り手にとってのFCAのデメリット

売り手の立場から見ると、FCA取引においては、貨物が運送人に引き渡された後のコントロールを完全に失います。これは、貨物が目的地に到着するまでの状態や遅延に関して、売り手が情報を持たないことを意味します。

特に、貨物が予定よりも遅れて到着した場合、売り手は買い手からの問い合わせに対して即座に対応できないかもしれません。また、FCA取引では、売り手は輸出手続きを担当しますが、これは特に輸出規制が厳しい国や複雑な手続きが必要な場合、予想以上の時間とリソースを必要とすることがあります。

これらのデメリットは、売り手にとって取引の効率性を低下させ、費用増加のリスクをもたらす可能性があります。


FCA条項は、買い手と売り手双方に有利な場合が多いですが、上記のようなデメリットが発生する可能性は否めません。したがって、FCA条項の適用を決定する際には、これらのリスクを慎重に検討し、対策を講じることが重要です。

4. FCA(Free Carrier / 運送人渡し)とFOB(Free On Board / 本船渡し)との違いとは

インコタームズの中でも、FCA(Free Carrier / 運送人渡し)とFOB(Free On Board / 本船渡し)は、もっとも多く活用される国際貿易取引条件です。

両者の条件は似ていますが、貨物の引き渡し点とリスク移転のタイミングに関して異なる規定を設けています。理解しやすくするために、これらの基本的な違いと、特定の取引状況においてどちらの条項が好ましいかを解説します。

この項では、CIFとFOBの基本的な違いと、特定の取引状況においてどちらの条項が好ましいかを解説します。

FOBとは

FFOB(Free On Board)とは、貨物が輸出港の船上に積まれた時点で、売り手から買い手へのリスク移転が発生する条件です。この条項は主に海上輸送や内陸水路輸送に適用されます。

FOB条件では、売り手は貨物を輸出港まで運び、輸出通関手続きを完了し、そして貨物を船上に積み込む責任を負います。貨物が船の甲板を越えた瞬間、リスクと責任が買い手に移転します。これにより、買い手は貨物の海上輸送、保険、および到着港での輸入手続きに関するすべての責任を負うことになります。

FOBは買い手が輸送プロセスをよりコントロールできるため、自分で輸送手段や保険を選びたい買い手に適していると言えるでしょう。

FCAとFOBの違いとは? どちらを選択すると良いのか?

FCAとFOBの主な違いは、貨物の引き渡し地点とリスク移転のタイミングにあります。

FCAでは、売り手は貨物を買い手が指定する運送人に渡す時点でリスクから解放されますが、この場所は国内の任意の地点(売り手の工場、倉庫、または輸送のハブ地点)である可能性があります。一方、FOBでは、リスク移転は貨物が輸出港の船上に積み込まれる時点で発生します。

一般的に、買い手が輸送プロセスの初期段階からより詳細なコントロールを望む場合や、特定の運送人との取引を好む場合には、FCAが好まれます。これにより、買い手は輸送費用の削減や輸送スケジュールの最適化を図ることができます。

その一方で、売り手が貨物を海上輸送の出発点までコントロールしたい場合、または輸出港での手続きに慣れている場合には、FOBが適しています。

例えば、コンテナ輸送が関わる場合や買い手が輸送プロセスをより細かく管理したい場合には、FCAが適していると言えるでしょう。反対に、バルク貨物(※個別の包装をせずに大型の容器で大量に運送される貨物。原油、穀物、石炭、鉱石、化学品などが含まれる)などの輸送や、売り手が輸出港までのプロセスに慣れている場合には、FOBが適切な選択肢となります。

5. 貿易におけるFCA(Free Carrier / 運送人渡し)の流れについて

最後に、貿易においてFCA(Free Carrier / 運送人渡し)がどのように進行するのか、契約締結から貨物の積み込み、輸送、そして最終目的地への到着に至るまでのプロセスを段階別に見ていきましょう。

① 契約の締結

取引の開始は、買い手と売り手が詳細な販売契約を結ぶことから始まります。この契約には、商品の説明、数量、価格、支払条件、指定された引き渡し地点、および予定される引き渡し日が含まれます。FCAを採用する場合、引き渡し地点で買い手が指定する運送業者に貨物が渡されることが特に重要です。

② 商品の準備と出荷

契約に基づき、売り手は商品を準備し、梱包します。これには、商品を保護し、輸送中の損傷を防ぐための適切な包装が含まれます。また、商品の出荷準備が整ったら、売り手は買い手または買い手が指定した運送業者に通知します。

③ 輸送と保険の手配

買い手は、商品の輸送と関連する保険の手配を行います。これには、適切な運送業者の選定と、必要に応じて貨物保険の加入が含まれます。FCA条件では、貨物が売り手から運送業者に引き渡される時点でリスクが移転するため、買い手はこの段階から商品の保護を確保する必要があります。

④ 船積みと運賃の支払い

運送業者が商品を引き取った後、船積みが行われます。このプロセス中に、運送業者は貨物を目的地に向けて輸送を開始します。運賃の支払いは、通常、買い手が行いますが、これは契約の条件によって異なる場合があります。

⑤ 輸送と追跡

商品が輸送途中である間、買い手は運送業者提供の追跡システムを利用して、貨物の現在地と予想到着日を監視します。これにより、買い手は商品の到着に必要な準備を事前に行うことができます。

⑥ 到着と輸入通関手続き

商品が目的地に到着した後、買い手または買い手の代理人は輸入通関手続きを開始します。この段階で、必要な輸入許可証、関税の支払い、およびその他の規制遵守のための文書が提出されます。

⑦ 保険の適用

万が一、輸送中に商品に損害が発生した場合、買い手は先に手配した貨物保険を利用して損害の補償を申請します。保険申請のプロセスには、損害の証明と、運送業者からの損害報告書の提出が必要です。

6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

貴社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は、FCAの基礎知識として、そのメリットとデメリット、さらにはFOB(Free On Board / 本船渡し条件)との違い、そしてFCA取引の詳細な流れについて解説しました。

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。海外進出のサポート企業を探すにあたっては、1社だけに絞るのではなく、複数のサポート企業を「比較する」ことが重要です。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

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(参考文献)
・「ICC(国際商業会議所)の新しいインコタームズ2020の概要」弁護士法人 東町法律事務所
・「インコタームズ2020(貿易条件)」SANKYU 物流情報サービス
・「インコタームズのFOB、FCA、FAS、CIFの違い 海上輸送の貿易条件【図解あり】」DEXTRE
・「【インコタームズ】FCAとCPT、貿易取引で輸入者が仕切りやすいのはどっち?」みんなの仕事Lab(シゴ・ラボ)

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