CIF(運賃保険料込み条件)とは?FOBとの違い・メリットデメリット・費用負担をわかりやすく解説
CIF(Cost, Insurance and Freight)とは、インコタームズで定められた貿易条件の一つで、売り手が仕向港までの運賃と海上保険料を負担する取引条件です。日本語では「運賃保険料込み条件」と呼ばれ、国際貿易において最も広く使われている条件の一つです。
CIF条件では、売り手が輸送費と保険料を負担する一方、リスク(危険負担)は商品が積み地の本船に積み込まれた時点で買い手に移転します。この「費用負担」と「リスク移転」のタイミングが異なる点が、CIF条件を理解する上で最も重要なポイントです。
本記事では、CIFの基本的な意味から、FOBやCFRとの違い、メリット・デメリット、CIF価格の計算方法、取引の具体的な流れまで、貿易実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ・CIF(運賃保険料込み条件)の意味と正式名称
- ・CIF条件における売り手・買い手の費用負担とリスク移転の仕組み
- ・CIFとFOB・CFR・CIPの違い
- ・CIF取引のメリット・デメリット
- ・CIF価格の計算方法と具体例
- ・CIF取引の流れと実務上の注意点
▼CIF(運賃保険料込み条件)を徹底解説
CIF(運賃保険料込み条件)とは?意味と基本をわかりやすく解説
CIFの正式名称と定義
CIF(シーアイエフ)とは、「Cost, Insurance and Freight」の略で、日本語では「運賃保険料込み条件」と訳される国際貿易の取引条件です。国際商業会議所(ICC)が制定するインコタームズの11条件のうちの一つであり、海上輸送および内陸水路輸送に適用されます。
CIF条件では、売り手が以下の3つの費用を負担します。
- ・Cost(原価):商品そのものの代金
- ・Insurance(保険料):海上輸送中の貨物保険料
- ・Freight(運賃):指定仕向港までの海上運賃
つまり、CIF条件とは、売り手が商品代金に加え、仕向港までの運賃と保険料をすべて含んだ価格で取引を行う条件です。買い手は仕向港に届いた貨物を受け取ればよいため、輸送や保険の手配にかかる手間を大幅に省くことができます。
インコタームズにおけるCIFの位置づけ
インコタームズ(Incoterms)とは、国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件に関する国際規則です。2020年に改訂された最新版「インコタームズ2020」では、全11条件が定められています。
CIFはこの11条件のうち、「海上および内陸水路輸送にのみ適用される条件」に分類されます。同じ分類に属する条件としては、FOB(本船渡し)、CFR(運賃込み条件)、FAS(船側渡し)があります。
インコタームズ全体の中で、CIFは売り手の負担範囲が比較的大きい条件に位置づけられます。売り手は商品代金だけでなく、運賃と保険料も価格に含めて提示するため、買い手にとっては費用の見通しが立てやすい条件です。
CIF条件の費用負担とリスク移転のポイント
CIF条件を正しく理解するために、最も重要なポイントは「費用負担の範囲」と「リスク移転のタイミング」の2点です。
■ 費用負担の範囲
売り手が負担する費用は、商品の原価に加え、積み地から仕向港までの海上運賃と貨物海上保険料です。一方、仕向港に到着した後の荷下ろし費用、輸入通関費用、国内輸送費用は買い手の負担となります。
■ リスク移転のタイミング
CIF条件では、貨物のリスク(危険負担)は、商品が積み地の本船の船上に積み込まれた時点で、売り手から買い手に移転します。つまり、売り手は仕向港までの運賃と保険料を支払いますが、船積み後に発生した事故や損害のリスクは買い手が負うことになります。
この「費用負担の終点」と「リスク移転の時点」が異なる点は、CIF条件を理解する上で最も混同しやすいポイントです。売り手は仕向港まで費用を負担しますが、リスクは船積み時に移転するのです。
CIF条件における売り手と買い手の役割
売り手(輸出者)の義務と負担範囲
CIF条件において、売り手は以下の義務を負います。
- ・契約に適合した商品を用意し、インボイスやパッキングリストなどの商業書類を作成する
- ・輸出許可の取得および輸出通関手続きを行う
- ・積み地から指定仕向港までの海上運賃を支払う
- ・貨物海上保険を手配し、保険料を支払う(最低でもICC(C)条件以上)
- ・船荷証券(B/L)やその他の運送書類を買い手に提供する
- ・商品を本船の船上に積み込む
売り手の費用負担は、仕向港までの運賃と保険料を含みますが、仕向港での荷下ろし費用は原則として買い手の負担です。ただし、運送契約の条件によっては売り手が荷下ろし費用を含む場合もあるため、事前の確認が重要です。
買い手(輸入者)の義務と負担範囲
CIF条件において、買い手は以下の義務を負います。
- ・契約に定められた代金を支払う
- ・輸入許可の取得および輸入通関手続きを行う
- ・仕向港での荷下ろし費用を負担する(契約による例外あり)
- ・仕向港から最終目的地までの国内輸送費を負担する
- ・輸入関税や国内の諸税を支払う
買い手は運賃や保険料の手配をする必要がないため、輸送に関する事務負担が軽減されます。ただし、CIF条件における保険の補償範囲は最低限の条件であることが多いため、追加の保険を手配する判断も必要になります。
CIF条件でのリスク移転のタイミング
CIF条件におけるリスク移転は、商品が積み地の本船の船上に積み込まれた時点で発生します。この原則はインコタームズ2020で明確に定められています。
具体的には、以下のような流れでリスクが移転します。
- ・船積み前:売り手がリスクを負う。倉庫での保管中や港への輸送中に生じた損害は売り手の責任
- ・船積みの瞬間:リスクが売り手から買い手に移転する
- ・船積み後:買い手がリスクを負う。海上輸送中の事故や損害は買い手の責任(ただし保険でカバーされる)
ここで重要なのは、売り手が保険料を支払っているとはいえ、保険金の請求権は買い手にあるという点です。船積み後に事故が発生した場合、買い手は保険会社に保険金を請求する立場になります。
CIFのメリット・デメリット
買い手にとってのメリット
CIF条件は買い手に以下のメリットをもたらします。
1. 輸送・保険手配の手間が省ける
CIF条件では売り手が運賃と保険の手配をすべて行います。そのため、買い手は自ら船会社や保険会社を探す必要がありません。特に貿易経験が浅い企業にとって、この利点は非常に大きいです。
2. 総費用の見通しが立てやすい
CIF価格には商品代金、運賃、保険料がすべて含まれています。買い手は仕向港到着までの費用を一つの金額で把握できるため、コスト計算や予算管理がしやすくなります。
3. 仕入れ先の比較がしやすい
複数の売り手からCIF条件で見積もりを取れば、運賃や保険料の差も含めた総合的なコスト比較が可能です。FOB条件のように、別途運賃や保険の見積もりを取る手間が不要になります。
売り手にとってのメリット
1. 輸送手段と保険を自社で管理できる
売り手が輸送と保険を手配するため、信頼できる船会社や保険会社を自ら選定できます。これにより、商品の品質保持や安全な輸送に対する管理がしやすくなります。
2. CIF価格に利益を上乗せできる
運賃や保険料を含んだCIF価格を提示することで、これらの費用にマージンを上乗せする余地があります。特に大量輸送で運賃の割引を得られる場合、売り手にとっての利益向上につながります。
買い手にとってのデメリット
1. 輸送手段や保険の選択ができない
CIF条件では売り手が輸送手段と保険を手配します。そのため、買い手は輸送ルート、船会社、保険条件を自分で選ぶことができません。より安い運賃やより手厚い保険を選びたい場合でも、売り手の判断に委ねることになります。
2. 保険の補償範囲が最低限になりがち
CIF条件で売り手が手配する保険は、インコタームズの規定上、最低でもICC(C)条件以上とされています。ICC(C)条件は補償範囲が限定的であるため、より広い補償が必要な場合は、買い手が追加で保険を手配する必要があります。
3. コストの透明性が低い
CIF価格には運賃と保険料が含まれているため、それぞれの費用がいくらなのか内訳が見えにくくなります。売り手がこれらの費用にマージンを上乗せしていても、買い手には判別しにくい構造です。
売り手にとってのデメリット
1. 費用負担が大きい
売り手は商品代金に加え、仕向港までの運賃と保険料を負担する必要があります。特に長距離輸送や高額商品の場合、運賃と保険料の負担は大きくなります。
2. 事務手続きが増える
輸送と保険の手配、船荷証券の取得、各種書類の作成など、CIF条件では売り手の事務負担が増加します。船会社や保険会社との調整も必要となり、管理工数が増えます。
3. 運賃や保険料の変動リスクを負う
契約締結から実際の船積みまでに時間がかかる場合、その間に運賃や保険料が変動するリスクがあります。燃油サーチャージの急騰や保険料率の変更があると、当初見込んでいた利益が圧迫される可能性があります。
CIFとFOB・CFR・CIPの違いを比較
CIFとFOB(本船渡し)の違い
FOB(Free On Board / 本船渡し)とは、商品が積み地の本船に積み込まれた時点で、売り手の義務が完了する条件です。CIFとFOBの最大の違いは、運賃と保険料の負担者にあります。
■ CIF条件の場合
・運賃:売り手が負担
・保険料:売り手が負担
・リスク移転:船積み時
■ FOB条件の場合
・運賃:買い手が負担
・保険料:買い手が負担
・リスク移転:船積み時
リスク移転のタイミングはどちらも同じ「船積み時」ですが、費用の負担者が異なります。CIF条件では売り手が運賃と保険を手配するため、買い手の手間は少なくなります。一方、FOB条件では買い手が自ら輸送と保険を手配するため、コストを自分で管理できます。
日本の輸入取引ではFOB条件が多く使われる傾向があります。これは、日本の買い手が自社で船会社や保険会社と契約を結ぶことで、運賃や保険料のコストを最適化できるためです。
CIFとCFR(運賃込み条件)の違い
CFR(Cost and Freight / 運賃込み条件)とは、売り手が仕向港までの運賃を負担するが、保険料は買い手が負担する条件です。CIFとCFRの違いは、保険の取り扱いにあります。
■ CIF条件の場合
・運賃:売り手が負担
・保険料:売り手が負担
・リスク移転:船積み時
■ CFR条件の場合
・運賃:売り手が負担
・保険料:買い手が負担
・リスク移転:船積み時
CIFとCFRの違いは保険料の負担者だけです。CIF条件では売り手が保険を手配して保険料を支払いますが、CFR条件では買い手が自ら保険を手配する必要があります。
買い手が特定の保険条件を希望する場合や、自社で信頼できる保険会社との取引がある場合は、CFR条件のほうが適しています。
CIFとCIP(輸送費保険料込条件)の違い
CIP(Carriage and Insurance Paid To / 輸送費保険料込条件)とは、売り手が指定仕向地までの運賃と保険料を負担する条件です。CIFと似ていますが、適用範囲と保険の条件に違いがあります。
■ CIF条件の場合
・適用輸送:海上輸送・内陸水路輸送のみ
・保険条件:最低でもICC(C)条件以上
・リスク移転:本船への船積み時
■ CIP条件の場合
・適用輸送:すべての輸送手段に対応(航空、陸上含む)
・保険条件:最低でもICC(A)条件(オールリスク)
・リスク移転:最初の運送人への引き渡し時
最大の違いは適用される輸送手段です。CIFは海上輸送のみですが、CIPはあらゆる輸送手段に使えます。また、インコタームズ2020では、CIPの最低保険条件がICC(A)条件(オールリスク)に引き上げられたのに対し、CIFはICC(C)条件のままである点も重要な違いです。
コンテナ輸送やマルチモーダル輸送(複数の輸送手段を組み合わせた輸送)を利用する場合は、CIFではなくCIPを使うのが適切です。
どの条件を選ぶべきか?選択基準のポイント
CIF、FOB、CFR、CIPのどの条件を選ぶかは、取引の状況に応じて判断する必要があります。以下に選択の目安を示します。
■ CIFが適しているケース
・買い手が輸送・保険の手配に不慣れな場合
・海上輸送(在来船)を使う取引の場合
・総費用を一括で把握したい場合
■ FOBが適しているケース
・買い手が運賃や保険を自分でコントロールしたい場合
・買い手に有利な運賃契約がある場合
・日本への輸入取引(日本企業が買い手の場合)
■ CFRが適しているケース
・売り手に運賃の手配を任せたいが、保険は自分で選びたい場合
・特定の保険条件を希望する場合
■ CIPが適しているケース
・コンテナ輸送やマルチモーダル輸送を使う場合
・海上輸送以外の輸送手段を含む場合
・より手厚い保険(ICC(A)条件)を求める場合
CIF価格の計算方法と具体例
CIF価格の構成要素
CIF価格は、以下の3つの要素で構成されています。
- ・Cost(原価):商品の製造原価や仕入れ原価に、輸出者の利益を加えた金額
- ・Insurance(保険料):海上輸送中の貨物保険にかかる費用
- ・Freight(運賃):積み地から仕向港までの海上運賃
これらを合計した金額がCIF価格です。CIF価格は「商品を仕向港まで届けるために必要な費用の総額」と理解すれば、わかりやすいでしょう。
CIF価格の計算式
CIF価格の基本的な計算式は以下のとおりです。
CIF価格 = FOB価格 + 海上運賃(F) + 保険料(I)
ここで、保険料の計算には注意が必要です。貨物海上保険の保険金額は、通常「CIF価格の110%」に設定されます。つまり、保険金額の算出にCIF価格自体が必要になるため、以下の計算式を使います。
保険料 = CIF価格 × 110% × 保険料率
この式を整理すると、CIF価格は以下のように求められます。
CIF価格 = (FOB価格 + 海上運賃) ÷ (1 - 110% × 保険料率)
CIF価格の具体的な計算例
以下の条件でCIF価格を計算してみましょう。
- ・FOB価格:100,000ドル
- ・海上運賃:5,000ドル
- ・保険料率:0.5%(ICC(C)条件)
計算手順は以下のとおりです。
手順1:FOB価格と海上運賃を合計します
100,000ドル + 5,000ドル = 105,000ドル
手順2:CIF価格の計算式に当てはめます
CIF価格 = 105,000 ÷(1 - 1.10 × 0.005)
CIF価格 = 105,000 ÷(1 - 0.0055)
CIF価格 = 105,000 ÷ 0.9945
CIF価格 ≒ 105,581ドル
手順3:保険料を確認します
保険金額 = 105,581 × 110% = 116,139ドル
保険料 = 116,139 × 0.005 ≒ 581ドル
このように、CIF価格は約105,581ドルとなり、そのうち保険料は約581ドルです。
CIF取引の流れ|7つのステップで解説
CIF条件での取引は、以下の7つのステップで進行します。
ステップ1:売買契約の締結
まず、売り手と買い手の間で売買契約を締結します。契約書にはCIF条件であることを明記し、以下の項目を具体的に取り決めます。
- ・商品の仕様、数量、単価
- ・指定仕向港(例:CIF Tokyo、CIF Yokohama)
- ・決済条件(信用状(L/C)決済、T/T送金など)
- ・船積み期限と書類の提出期限
- ・保険の条件(ICC約款の種類を指定する場合)
ステップ2:商品の準備と輸出通関
売り手は契約に基づいて商品を準備し、輸出通関手続きを行います。具体的には、輸出許可の取得、インボイスやパッキングリストの作成、必要に応じた検査の実施などです。
ステップ3:海上輸送と保険の手配
売り手は船会社と運送契約を締結し、指定仕向港までの海上輸送を手配します。同時に、保険会社と貨物海上保険の契約を結びます。
CIF条件では、売り手はインコタームズの規定に基づき、最低でもICC(C)条件以上の保険を手配する義務があります。保険金額は通常、CIF価格の110%に設定します。
ステップ4:船積みと船荷証券(B/L)の取得
商品を本船に積み込み、船会社から船荷証券(Bill of Lading / B/L)を取得します。この船積みの時点で、リスクが売り手から買い手に移転します。
船荷証券は、貨物の受け取りに必要な重要書類です。売り手はこの書類を買い手に送付する義務があります。
ステップ5:書類の送付と代金決済
売り手は以下の書類を買い手に送付します。
- ・船荷証券(B/L)
- ・商業送り状(コマーシャルインボイス)
- ・保険証券(Insurance Policy)
- ・パッキングリスト
- ・その他、契約で定められた書類
信用状(L/C)決済の場合は、これらの書類を銀行経由で送付し、代金の決済を行います。
ステップ6:貨物の到着と輸入通関
貨物が仕向港に到着したら、買い手が輸入通関手続きを行います。輸入許可の取得、関税の支払い、必要な検査の受検など、仕向港到着後の手続きはすべて買い手の責任です。
ステップ7:貨物の受け取りと検品
輸入通関が完了したら、買い手は貨物を受け取り、検品を行います。輸送中に損害が発生していた場合は、保険会社に保険金の請求を行います。
CIF取引における保険の基礎知識
CIF条件で求められる保険の種類
CIF条件で売り手が手配する保険は「貨物海上保険」です。これは、海上輸送中に貨物に生じた損害を補償する保険です。
インコタームズ2020の規定では、CIF条件における売り手の保険手配義務は「最低でもICC(C)条件以上の保険」とされています。つまり、ICC(C)が最低ラインであり、買い手が望めばICC(B)やICC(A)など、より広い補償範囲の保険を契約で指定することも可能です。
ICC約款(A/B/C)の補償範囲の違い
ICC(Institute Cargo Clauses)約款は、貨物海上保険の補償範囲を定めた国際的な標準約款です。A、B、Cの3種類があり、補償範囲が異なります。
■ ICC(A)条件:オールリスク
・すべての偶発的な損害を補償する最も広い条件
・除外項目(戦争、ストライキなど)以外のすべてのリスクをカバー
・保険料は最も高い
■ ICC(B)条件:中間的な補償
・火災、爆発、座礁、沈没、転覆、衝突などの事故による損害を補償
・地震、噴火、落雷による損害も補償
・荒天による海水の浸入で生じた損害を補償
・積み込み・荷下ろし中の落下による損害を補償
■ ICC(C)条件:限定的な補償
・火災、爆発、座礁、沈没、転覆、衝突などの重大事故による損害のみ補償
・盗難、抜荷、不着、雨濡れ、破損は補償対象外
・保険料は最も安い
CIF条件の最低義務はICC(C)条件ですが、取引する商品の性質やリスクに応じて、より広い補償を選ぶことが望ましいです。高額商品や損傷しやすい商品の場合は、ICC(A)条件を指定することをおすすめします。
保険金額の算出方法
CIF条件における保険金額は、通常CIF価格の110%に設定されます。この10%の上乗せは、貨物が損害を受けた場合の逸失利益(得られるはずだった利益)を補償するためのものです。
保険金額の計算式は以下のとおりです。
保険金額 = CIF価格 × 110%
例えば、CIF価格が100,000ドルの場合、保険金額は110,000ドルとなります。保険料は、この保険金額に保険料率を掛けて算出されます。
CIF条件を使う際の注意点
コンテナ輸送にはCIF条件は不向き
現代の国際貿易では、コンテナ輸送が主流です。しかし、CIF条件はもともと在来船(バラ積み貨物船)による輸送を前提としたルールです。
コンテナ輸送の場合、貨物はコンテナヤード(CY)で船会社に引き渡されますが、実際に本船に積み込まれるのはその後です。CIF条件のリスク移転は「本船への船積み時」であるため、コンテナヤードでの引き渡しから船積みまでの間のリスク負担が曖昧になる恐れがあります。
そのため、コンテナ輸送を利用する場合は、CIF条件ではなくCIP(輸送費保険料込条件)を使うことが国際商業会議所でも推奨されています。
危険移転と費用負担の分離に注意
CIF条件の最大の特徴であり注意点は、危険移転の時点と費用負担の終点が異なることです。
売り手は仕向港までの運賃と保険料を負担しますが、リスクは船積み時に移転します。つまり、船積み後に貨物に損害が生じた場合、費用は売り手が支払った保険でカバーされるものの、保険金請求の手続きは買い手が行う必要があります。
この仕組みを理解せずにCIF条件で契約すると、「売り手が保険を掛けているから安心」と誤解してしまうことがあります。買い手は、保険証券の内容を必ず確認し、補償範囲が十分かどうかを事前にチェックすることが重要です。
信用状(L/C)取引との関係
CIF条件は信用状(L/C)決済との相性がよい条件です。信用状取引では、売り手が船荷証券や保険証券などの書類を銀行に提出することで代金の支払いを受けます。
CIF条件の場合、売り手が保険証券を手配するため、信用状で求められる書類を一括して用意できます。FOB条件では買い手が保険を手配するため、保険証券の提出に関して売り手側で対応できない場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1:CIFとは何ですか?
A:CIF(Cost, Insurance and Freight / 運賃保険料込み条件)とは、インコタームズで定められた貿易条件の一つです。売り手が商品代金に加え、仕向港までの海上運賃と貨物海上保険料を負担する条件で、海上輸送および内陸水路輸送に適用されます。リスク(危険負担)は商品が積み地の本船に積み込まれた時点で買い手に移転します。
Q2:CIFとFOBの違いは何ですか?
A:CIFとFOBの違いは、運賃と保険料の負担者です。CIF条件では売り手が仕向港までの運賃と保険料を負担しますが、FOB条件では買い手がこれらを負担します。リスク移転のタイミングはどちらも船積み時で同じです。買い手が輸送コストを自分で管理したい場合はFOB、手配の手間を省きたい場合はCIFが適しています。
Q3:CIF条件ではいつリスクが移転しますか?
A:CIF条件では、商品が積み地の本船の船上に積み込まれた時点でリスクが移転します。売り手は仕向港までの運賃と保険料を負担しますが、リスク自体は船積み時に買い手に移ります。船積み後の事故や損害については、買い手が保険会社に保険金を請求する立場になります。
Q4:CIF条件で必要な保険は何ですか?
A:CIF条件では、売り手が貨物海上保険を手配する義務があります。インコタームズ2020の規定では、最低でもICC(C)条件以上の保険を付保する必要があります。保険金額は通常CIF価格の110%に設定されます。ただし、ICC(C)条件は補償範囲が限定的なため、高額商品や損傷リスクの高い商品の場合は、ICC(A)条件やICC(B)条件を契約で指定することが推奨されます。
Q5:CIF価格はどのように計算しますか?
A:CIF価格は「FOB価格 + 海上運賃 + 保険料」で算出します。ただし、保険金額がCIF価格の110%を基準に計算されるため、正確にはCIF価格 =(FOB価格 + 海上運賃)÷(1 - 110% × 保険料率)という計算式を用います。例えば、FOB価格10万ドル、海上運賃5,000ドル、保険料率0.5%の場合、CIF価格は約105,581ドルとなります。
Q6:CIFはコンテナ輸送でも使えますか?
A:CIFはコンテナ輸送には不向きとされています。CIF条件のリスク移転は「本船への船積み時」ですが、コンテナ輸送では貨物がコンテナヤードで引き渡された後に船積みされるため、リスク負担のタイミングが曖昧になります。コンテナ輸送の場合は、同様の機能を持つCIP(輸送費保険料込条件)の使用が国際商業会議所でも推奨されています。
Q7:CIF条件で買い手が注意すべきことは何ですか?
A:CIF条件で買い手が最も注意すべきは、保険の補償範囲の確認です。CIF条件における売り手の最低付保義務はICC(C)条件であり、盗難や破損などは補償対象外です。必要に応じて、契約時に保険条件を上位のICC(A)やICC(B)に指定するか、買い手側で追加の保険を手配することを検討してください。また、リスクは船積み時に移転するため、船積み後の事故対応は買い手の責任となる点も理解しておく必要があります。
まとめ
本記事では、CIF(運賃保険料込み条件)の基本的な意味から、FOBやCFRとの違い、メリット・デメリット、価格の計算方法、取引の流れまで、包括的に解説しました。
押さえておくべきポイント
- ・CIF(Cost, Insurance and Freight)とは、売り手が仕向港までの運賃と保険料を負担する貿易条件
- ・リスク(危険負担)は商品が本船に積み込まれた時点で買い手に移転する
- ・費用負担の終点(仕向港)とリスク移転の時点(船積み時)が異なる点に注意
- ・FOBとの違いは運賃・保険料の負担者。リスク移転のタイミングは同じ
- ・CIF条件の保険は最低でもICC(C)条件以上。商品に応じてICC(A)を指定することも重要
- ・コンテナ輸送ではCIFではなくCIPを使うことが推奨される
CIF条件は、買い手にとって輸送・保険の手配が不要で利便性が高い一方、費用の透明性や保険の補償範囲には注意が必要です。自社の取引状況やリスク許容度に応じて、最適な貿易条件を選択することが重要です。
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参考文献・出典
- ・国際商業会議所(ICC)「Incoterms 2020」
- ・日本貿易振興機構(JETRO)「貿易実務オンライン講座 インコタームズの基礎」
- ・日本損害保険協会「外航貨物海上保険についてのご案内」
- ・税関(財務省)「輸入(納税)申告における課税価格の算出方法」
- ・日本海事協会「船荷証券に関する基礎知識」
(当コンテンツの情報について) 当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。 当コンテンツのご利用についてはご自身の判断にてお願いいたします。当コンテンツに掲載している情報についてのご質問やご意見はこちらよりお問い合わせ下さい。
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