法人の海外送金ガイド2026|手数料だけでなく、進出フェーズと取引目的で選ぶ
海外取引を始めると、日本から海外への支払い、海外顧客からの代金回収、現地法人の資金管理など、複数の資金移動が発生します。
これらは一見似ていますが、必要なサービスは同じではありません。日本法人から海外の取引先へ代金を支払う「海外送金」、海外顧客からカード等で代金を受け取る「オンライン決済」、現地法人が売上を受け取り現地で支払う「海外拠点の金融基盤」は、それぞれ別の課題です。
本記事では、法人が海外取引のための金融サービスを選ぶ際に、何を切り分け、どの項目を比較すべきかを整理します。
▼法人の海外送金ガイド2026|手数料だけでなく、進出フェーズと取引目的で選ぶ
1. まず整理したい3つの資金移動
1-1. 日本法人から海外へ支払う
仕入代金、業務委託費、現地調査費、海外子会社への送金など、日本法人が送金人となる取引です。
送金先の国・通貨、送金額、頻度、着金希望日、必要書類を確認したうえで、日本法人が利用できる銀行または海外送金サービスを選びます。
1-2. 海外顧客からオンラインで代金を受け取る
越境EC、SaaS、デジタルコンテンツなどで、海外顧客からカード等によるオンライン決済を受け付ける取引です。
これは海外送金ではなく、オンライン決済受付の領域です。対応する決済方法や通貨、決済画面の使いやすさ、不正利用対策、入金条件、EC・会計システムとの連携を比較します。
1-3. 海外現地法人で資金を管理する
現地法人の設立後は、現地通貨での売上回収、取引先への支払い、外貨の保有・両替、従業員の経費管理などが必要になります。
この場合、契約主体は日本本社ではなく、原則として現地法人です。利用できるサービスや機能は、現地法人の設立国、事業内容、審査結果、各国の規制によって異なります。
この3つを区別せずに「海外送金サービス」として一括比較すると、必要のない機能を選んだり、そもそも契約できないサービスを候補に入れたりする原因になります。
2. 海外送金のコストは、表示された送金手数料だけでは決まらない
法人の海外送金では、主に次の費用を確認します。
- 送金手数料:送金元の銀行またはサービスへ支払う費用
- 為替コスト:円を外貨へ交換する際の適用レートと基準レートの差
- 中継金融機関の手数料:送金経路によって発生する場合がある費用
- 受取金融機関の手数料:受取側で差し引かれる場合がある費用
- 口座・サービス利用料:初期費用、月額費用、追加機能の利用料など
送金手数料が低くても、為替コストや追加手数料を含めると総額が高くなる場合があります。反対に、固定手数料が高く見えるサービスでも、送金額や通貨によっては総コストを抑えられることがあります。
比較する際は、同じ送金条件を設定し、「送金側が支払う総額」と「受取側へ実際に着金する金額」の両方を確認してください。
比較条件として揃えたい項目
- 送金元と送金先の国
- 送金通貨と受取通貨
- 送金額と送金頻度
- 手数料の負担方法
- 希望する着金日
- 送金目的
- 受取先の法人・個人の別
為替レートや送金経路は変動するため、過去の一時点の金額だけで恒常的な優劣を判断しないことも重要です。
3. 法人が選べる主な送金手段
| 選択肢 | 主な強み | 確認したい点 | 向いている取引 |
|---|---|---|---|
| メガバンク・都市銀行 | 大口取引、貿易金融、信用状、複雑な確認への対応 | 送金・為替・中継手数料、必要書類、所要日数 | 大口送金、資本金、L/Cを伴う取引 |
| ネット銀行 | オンラインでの手続き、比較的簡素な運用 | 対応国・通貨、送金上限、初期費用、追加手数料 | 定型的な海外支払い、継続送金 |
| 海外送金サービス | 料金の確認しやすさ、対象通貨での迅速な送金 | 日本法人の利用可否、資金保全、送金上限、入金方法 | 小口・中口の定期送金、海外委託費 |
| 海外現地法人向け金融プラットフォーム | 現地通貨受取、外貨管理、支払い、カード、システム連携をまとめられる場合がある | 法人の設立国、現地での提供機能、審査、料金 | 現地法人の売上回収・支払い・経費管理 |
同じカテゴリでも、対応国、料金、審査、提供機能はサービスごとに異なります。「銀行かフィンテックか」だけで選ばず、自社の取引条件に合わせて確認する必要があります。
4. 進出フェーズ別の選び方
検討・準備段階
現地調査費、専門家への報酬、出張関連費など、少額かつ単発の支払いが中心です。
この段階では、初期費用や月額費用を抑えつつ、送金前に総コストと着金見込みを確認できることが重要です。送金回数が少ない場合、複雑なシステム連携よりも、手続きの分かりやすさを優先した方がよい場合があります。
現地法人の設立段階
資本金、オフィス関連費用、専門家への支払いなど、金額が大きく、送金目的の確認も増えます。
必要書類や送金先口座の条件を、法人設立を支援する専門家と事前に確認してください。資本金送金では、設立国側の要件や入金記録の形式が重要になる場合があります。
運用・拡大段階
仕入代金、業務委託費、海外子会社への送金などが継続的に発生します。現地法人側では、売上回収、外貨管理、現地支払い、カード・経費管理も必要になります。
この段階では、1回の手数料だけでなく、年間の総コスト、承認フロー、会計処理、複数ユーザー管理、API・会計ソフト連携まで含めて比較します。日本本社の送金手段と、現地法人の金融基盤を分けて設計することがポイントです。
5. 取引目的別の確認ポイント
海外仕入れ・外注費を支払う
確認する項目は、送金先国・通貨、送金額、頻度、手数料負担、必要書類です。受取額を固定したい場合は、中継金融機関や受取金融機関で手数料が差し引かれる可能性も確認します。
越境EC・SaaSで海外顧客から決済を受け付ける
海外送金サービスではなく、オンライン決済サービスを比較します。主な確認項目は次のとおりです。
- 対応するカードブランドと決済方法
- 対応通貨
- 決済手数料と入金条件
- 不正利用・チャージバック対策
- 定期課金への対応
- ECプラットフォームやAPIとの連携
- 日本法人が契約できるか
海外子会社の資金を管理する
現地法人が契約できる銀行や金融プラットフォームを比較します。
現地通貨での受取口座、外貨の保有・両替、国内外への支払い、法人カード、経費管理、権限設定、会計連携などを一体で利用できるサービスもあります。ただし、同じブランドでも、法人の設立国によって利用できる機能が異なる点に注意してください。
6. Airwallexを検討する場合の整理
Airwallexは、日本法人向けと海外現地法人向けで、現在利用できる機能を分けて確認する必要があります。
2026年8月21日時点で、日本法人向けに提供されているのはオンライン決済受付(Payment Acceptance)です。 日本向けのビジネスアカウント、Global Accounts、海外送金、コーポレートカード等については、Airwallexの日本向けページでサービス準備中・事前登録受付中と案内されています。2025年11月には第二種資金移動業者登録が発表され、日本法人向けビジネスアカウントのローカル入金・送金等の機能は今後の提供予定とされていますが、利用可能になる時期や範囲は最新の公式情報を確認してください。
一方、Airwallexが対応する国・地域で設立された海外現地法人は、その法人の登録国、事業内容、現地で提供される商品、審査結果に応じて、Global Accounts、海外送金、カード、経費管理等を利用できる場合があります。対応国の一覧に含まれていることは、すべての機能を利用できることを意味しません。
したがって、日本法人から海外へ送金する手段として、現在のAirwallexの海外現地法人向け機能を比較表へ入れるのは適切ではありません。日本法人のオンライン決済受付と、海外現地法人の金融基盤という2つの用途に分けて検討してください。
7. 導入前のチェックリスト
日本法人から海外へ送金する場合
- 日本法人が契約できるか
- 送金先の国・通貨に対応しているか
- 送金上限と必要書類
- 送金手数料以外を含む総コスト
- 受取側の着金額
- 着金までの目安
- 資金保全と問い合わせ窓口
- 社内の申請・承認フローに対応できるか
海外現地法人で利用する場合
- 現地法人の設立国がオンボーディング対象か
- 必要な機能がその国で提供されているか
- 対象業種と審査条件
- 現地住所や法人書類等の要件
- 受取・保有・両替・支払いの対応通貨
- カード、経費管理、会計・API連携の提供範囲
- 現地法人と日本本社の権限・会計処理を分けられるか
まとめ
法人の海外取引では、「送る」「オンラインで受け取る」「現地法人で管理する」を分けて考えることが出発点です。
日本法人からの海外送金では、表示された送金手数料だけでなく、為替コストや追加手数料、必要書類、着金額まで比較します。海外顧客からオンラインで代金を受け取る場合は決済受付サービスを、現地法人の設立後は、その国で利用できる金融基盤を別途検討します。
一つのサービスですべてを処理することを前提にせず、契約主体と取引目的に合わせて組み合わせることが、コストと運用負荷を管理するうえで重要です。
Airwallexへの相談を希望する方へ
日本法人として海外顧客からオンライン決済を受け付けたい方
Airwallex JapanのPayment Acceptanceについて、対応する決済方法、通貨、料金、入金条件、システム連携をご確認ください。
海外現地法人を設立済み、または設立予定の方
次の情報をご準備のうえ、現地法人が利用できるAirwallexの機能をご確認ください。
- 現地法人の設立国または設立予定国
- 設立状況
- 事業内容
- 希望する機能
- 主な取引国・通貨
利用可否と提供機能は、現地法人の登録国、商品提供状況、審査結果によって決まります。
参照情報
以下は2026年8月21日に確認した情報です。料金・提供機能・対象国は変更される場合があります。
- Airwallex 日本向けビジネスアカウント
https://www.airwallex.com/ja-jp/business-account - Airwallex「第二種資金移動業者登録を取得」(2025年11月12日)
https://www.airwallex.com/global/newsroom/airwallex-obtains-registration-as-a-type-2-funds-transfer-business-operator - Airwallex Eligible Countries and Territories
https://help.airwallex.com/hc/en-gb/articles/4408591334937-Eligible-Countries-and-Territories
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