マレーシア人に響く“体験消費”のインバウンド誘致|背景・傾向と手順を徹底分析
マレーシアでも消費傾向は「モノ消費」から「コト消費」へと移行しています。円安により購買力が高まり、特にクアラルンプールなどではトレンドの発信拠点としての影響力が高まっており、日本への関心も深化しています。本記事では、マレーシア発のインバウンド消費動向と、日本側が取るべき手順などをご紹介します。
▼ マレーシア人に響く“体験消費”のインバウンド誘致|背景・傾向と手順を徹底分析
第1章:マレーシア → 日本インバウンドは増えているのか?
日本を訪れるマレーシア人旅行者はコロナ前後を通して堅調に回復しており、観光庁のデータによれば、訪日外客数は2024年に過去最高水準に近づいています。特に中間層以上の旅行者が増え、リピーターも多く、体験型コンテンツや地方旅行への関心が高まっています。
マレーシア人旅行者の特徴は、家族や友人とのグループ旅行が主流でありながら、近年は個人旅行(FIT)層も増加傾向にあります。訪日動機も多様化しており、買い物中心の旅から、食・自然・文化を楽しむ「体験型」へとシフトしています。
このような変化を背景に、マレーシアは今、インバウンド戦略上の“注目国”となっています。人口ボーナス期を迎えたことや、若年層のSNS発信力の高さも、潜在的な誘客力を高める要因となっています。
第2章:モノ消費から“コト消費”へ——体験価値を求めるマレーシア旅行者
かつてマレーシア人旅行者の日本訪問は、ブランド品や家電などを購入する“モノ消費”が中心でしたが、近年その傾向は大きく変化しています。今では、旅行の目的が「何を買ったか」ではなく、「どんな体験を得たか」へと移りつつあり、着物体験や温泉、ローカルグルメ巡りといった“コト消費”に注目が集まっています。この変化の背景には、SNSによる情報発信が旅行体験の一部となっている現代の価値観があります。InstagramやTikTokなどで「共感される体験」や「映える時間」をシェアしたいというニーズが高まっており、消費行動がより感情的・視覚的な満足に重きを置くようになっています。
さらに、こうした体験消費を後押ししているのがマレーシア国内の経済的変化です。特に都市部では可処分所得が向上しており、生活コストの安定や円安の影響もあいまって、日本旅行を“割安に質の高い体験ができる国”と捉える層が増えています。また、クアラルンプールを中心に、日本的な文化やデザインを取り入れたカフェやショップが人気を集めており、こうした都市型トレンドが「日本への憧れ」として旅行動機を刺激している点も見逃せません。
第3章:マレーシア人向けインバウンド施策を設計するステップ
訪日動機の可視化とターゲットの明確化が起点
まず最初のステップは、マレーシア人旅行者の「訪日動機」を明らかにすることです。なぜ彼らが日本を訪れたいと思うのか——そこには“憧れの文化体験”“安心できる食事環境”“自己発信できる旅行”など、複数の背景が存在します。これらのインサイトを掴まずに一律な施策を打っても、深い共感は得られません。加えて、年齢層・宗教・居住都市・SNS使用状況などを基に、ターゲットをセグメント化することが重要です。特に、クアラルンプールやジョホールバル在住のZ世代は、デジタルネイティブとして情報収集と共有の行動特性が顕著です。彼らの関心に寄り添ったメッセージ設計が、第一歩として求められます。
“体験型”商品設計とプロモーション施策の組み立て
モノ消費からコト消費への流れを捉えた体験型商品の設計が、マレーシア市場での競争力を高める鍵です。たとえば、「着物を着て神社を巡るコース」や「浴衣を着て地方の夏祭りに参加」、「ハラル対応の和菓子作り体験」、「陶磁器の産地での陶芸教室参加」など、“日本的で特別な体験”を商品化することが効果的です。そして重要なのは、こうした商品をどのように伝えるかというプロモーションです。日本国内で完結する手法ではなく、マレーシア人のKOL(インフルエンサー)起用、SNSなどでのCtoCコミュニケーション、旅行博出展、現地代理店の活用など、多層的なチャネル設計が不可欠です。事前の期待値を高め、旅行者が「日本でこれを体験したい」と思わせる導線づくりが求められます。
宗教・言語・情報アクセシビリティへの配慮
マレーシア人旅行者の過半数はイスラム教徒であることから、ムスリム対応も施策設計における条件になります。ハラル認証レストランや祈祷スペースの情報発信はもちろん、施設スタッフの基本的理解や案内表記などの配慮が必要です。英語が通じる環境の整備とともに、高齢層を含むターゲットにアプローチする場合では、スマホでの情報取得を前提にWeb・SNS・口コミサイトなど以外の情報発信やアプローチの仕方も検討すべきでしょう。
第4章:継続成長に向けた運営最適化と改善サイクルの設計
マレーシアからのインバウンド誘客を持続的に成長させていくためには、運営と施策の最適化が欠かせません。まず重要なのが、旅行者から得られる声を起点とした改善サイクルの構築です。SNS上のレビューや現場でのヒアリングなどから得たフィードバックを迅速に施策へ反映させることで、満足度と再訪意欲の向上につながります。また、KPIを設定し、ツアー参加率や満足度、SNS上の反応などを定期的にモニタリングすることで、戦略の有効性を可視化できます。さらに東京・大阪での成功体験をもとに地方誘客へ展開したり、リピーター向けのイベントを設計したりと、体験型の施策を拡張させることが肝要です。運営体制の継続性を意識しながら、計画・実行・改善を繰り返すことが、中長期的な成功を支える鍵となるでしょう。
まとめ:マレーシア・インバウンドの“流れ”を読む視点が鍵
マレーシアから日本へのインバウンド市場は、単に訪日者数の増加という“結果”を見るだけでは、その本質をつかみきれません。背景には、マレーシア社会の経済成長や都市部における若年層を中心としたライフスタイルの変化、SNSを通じたトレンド感度の高まりなど、多様な“流れ”が交錯しています。この文脈を理解することが、他国との差別化を図るうえでも大きな武器になります。
とりわけ、「モノからコトへ」の消費変化は、日本側が提供すべき体験価値の再設計を迫るものです。ただ商品を並べるだけではなく、マレーシアの若者たちが“シェアしたくなる”“記憶に残る”ような体験をデザインすることが、次なる需要を喚起する鍵となるでしょう。
また、ムスリム対応や言語面での配慮、アクセスしやすい情報発信の整備も、リピーター獲得や信頼構築において重要な要素です。流れを読み、仮説を立て、施策を実行・検証・改善する。このプロセスを丁寧に回し続けることで、マレーシアからのインバウンド誘致は、より確かな成長基盤となっていくはずです。
なお、Service PR Japan株式会社は、マレーシアからのインバウンド誘致を成功させるための支援を提供しています。変化する旅行者のニーズに対応し、貴社の体験型観光戦略を強力にサポート。ぜひお気軽にご相談ください。
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株式会社ダズ・インターナショナル
東南アジア・東アジア・欧米進出の伴走&現地メンバーでの支援が強み
私たちは東南アジア・東アジア・欧米進出の伴走サポートを強みとしております。
対応する主要各国にメンバーを配置し、海外進出後も支援できる体制を整えています。
事業開始から20年弱、850社を超える成功も失敗も含めた実績・ノウハウから積極的に支援します。
昨今の国際情勢を見てみると良くも悪くも変動性が高く、かつウェブ・SNS等の膨大な情報が仇となり、
リアルタイムかつ最適な情報を獲得することが難しい時代です。
私たちはこの状況に対応すべく、現地のリアルを理解し、支援できる体制づくりにこの数年力を入れています。
特に強化しているエリアは現在日本企業の進出が増加傾向にあるASEAN各国です。
2025年、カンボジア・プノンペンにも新しい拠点を追加しております。
どの国が最適か?から始まる、海外進出のゼロ→イチを伴走する支援をさせていただきます。
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■サポート対象国(グループ別)
海外進出支援や活用・生活を支援する対象とする国は以下の通りです。
※サポート内容により、対応の可否や得意・不得意な分野はあります。
↳欧米(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ)
↳アジア①(タイ・カンボジア・ベトナム・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ラオス)
↳アジア②(日本・香港・シンガポール・台湾・韓国)
↳アジア③(ドバイ・サウジアラビア・インドバングラデシュ・モンゴル・ミャンマー)
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■海外進出(前)支援
日本企業の海外ビジネスのゼロイチを共に考え、目標達成のために共に動くチーム
対象法人:これから海外進出を開始する企業 / 海外事業担当者不在、 もしくは海外事業担当者が不足している企業
契約形態:①伴走支援(月額 10万円〜)②スポット支援(施策により変動)
『ポイント』
✓ゼロ地点(「海外で何かやりたい」のアイデア段階)から伴走サポート
✓BtoB・BtoC・店舗開業など幅広い進出支援に対応
✓現地で対応する駐在スタッフを各国に配置
✓現地で専門分野に特化したパートナー企業・個人と提携
『対応施策』
⚫︎海外進出の準備・設計・手続き/申請サポート
↳各種市場調査・事業計画設計(稟議書策定) /会社設立/FDA等申請等
⚫︎BtoC販売促進サポート
↳マーケティング企画設計/分析/SNS運用/ECモール出品〜運用
↳プロモーション(広告運用/インフルエンサー施策含む)/各種制作
⚫︎BtoB販路開拓サポート
↳現地パートナー起業候補の探索〜交渉〜契約/展示会サポート
↳セールスマーケティングキット制作
⚫︎飲食店開業サポート(ほか店舗開業サポート含む)
↳エリアマーケティング〜テナント居抜き探索
↳現地人材候補の探索〜交渉〜契約/現地店舗運営代行
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■海外進出(後)支援
現地日系企業の現地での集客課題を共に考え、目標達成のために共に動くチーム
対象法人:すでに海外へ進出済みの企業 / マーケティング関連業務の担当者不在、もしくは不足している企業
契約形態:①伴走支援(月額 500ドル〜)②スポット支援(施策により変動)
『ポイント』
✓丸投げ(担当者もいない・知識もない)ウェルカムの代行サポート
✓BtoB・BtoC・店舗運営など幅広い集客支援に対応
✓現地で対応する駐在スタッフを各国に配置
✓現地で専門分野に特化したパートナー企業・個人と提携
『対応施策』
⚫︎マーケティング関連施策サポート
↳各種マーケティングリサーチ
↳デジタルマーケティング全般の企画設計/分析/PDCA改善
⚫︎セールス支援サポート
↳インサイドセールス全般(営業代行/メルマガ配信)
⚫︎各種プロモーションサポート
↳MEO/SEO/リスティング広告/インフルエンサーマーケティング
↳EC運用/SNS運用
⚫︎各種制作サポート
↳サイト/LP/ECサイト/オウンドメディア/コンテンツ(記事・動画)
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合同会社サウスポイント
アジアに近い沖縄から海外ビジネスをサポート
2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
沖縄をハブに、台湾・中国・香港・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・ドイツ・ブラジル各国にパートナーエージェントを配置し、アメリカ合衆国・インドは提携先を設けていますので、現地でも情報収集、視察等も直接支援可能、幅広く皆様の海外展開とインバウンド事業をサポートしております。 -
プルーヴ株式会社
貴社の海外事業進出・展開をサポートさせていただきます
プルーヴは世界市場進出における事業戦略の策定と実行のサポートを行っている企業です。
「グローバルを身近に」をミッションとし、「現地事情」に精通したコンサルタントと「現地パートナー」との密な連携による「現地のリアルな情報」を基にクライアント企業様の世界市場への挑戦を成功へと導きます。 -
株式会社レイン
海外ビジネスの羅針盤として 〜レイン独自の専門家ネットワークで総合支援〜
【会社概要】
■私たちレインは、世界40カ国以上にわたり構築された専門家とのネットワークで、様々な日本
企業のグローバルな展望に基づいた海外進出の支援をしています。
■レイン独自のネットワークは現地語・日本語を解する多数の専門調査員や、様々な専門領域を
持つ大学教授陣、また、現地の内情に精通した各国の調査会社などから構成されます。
■カバーする地域は東アジア、東南アジア、南アジア、中東、欧州、アフリカ、北米、中南米
及び、世界各地における効果的な調査とその分析により、現地の最新状況をつぶさに把握する
ことが可能です。
■レインは現地のリサーチだけでなく、海外視察のプラニングからビジネスパートナーの発掘、
商談のコーディネートもサポート。海外進出においてあらゆる局面のニーズに対応した包括的な
ソリューションを提供しています。
【レインの特徴】
①『日本からの視点と世界のトレンドの交差点から最新情報を提供』
>>> 世界40カ国のネットワークで国内・海外の視点から最新の調査・分析を実施します。
②『複数カ国の調査・コーディネーションを同時に実施可能』
>>> 海外進出の様々な局面において、ワンストップサービスを効率的に提供します。
③『大手調査会社・シンクタンクとの信頼と実績』
>>> 企業のバックエンドとして、あらゆるストラテジーに対応してきた経験があります。
④『徹底したフォローアップとスピーディーなバックアップ体制』
>>> 様々なニーズにマッチした最適なソリューションで迅速にサポートします。
【世界に広がるレイン独自のネットワーク】
■日本と海外を熟知した専門家とのパートナーシップ
レインとパートナーシップを結んでいる専門家は、現地の言語と日本語、または英語を解し、
日本企業を含む多くのグローバル企業との幅広いプロジェクト経験を持っており、日本国内
と海外双方の視点からビジネスを熟知しています。
■東南アジアすべての国にIT・経営学系等の教授陣とのネットワーク
日本やアジアの大学教授陣との連携により、学術的な観点を取り入れた専門知識のインプッ
トだけでなく、様々な専門家・有識者の窓口として応用もできます。また、このようなネッ
トワークを活用し産学連携プロジェクトを企画することも可能です。
■地場にネットワークを持つ調査会社との連携
大規模な調査については、現地の内情に精通した各国の現地調査会社や、その地域特有の文化、
言語、法律、習慣を熟知した地場系の調査会社と連携することで、よりローカルな視点で
精度の高い情報収集と分析を可能にしています。
【実績のある国】
東アジア >>> 中国・韓国・台湾・香港
東南アジア >>> タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン・マレーシア・シンガポール 他
南アジア >>> インド・スリランカ・ネパール・パキスタン・バングラデシュ
中東 >>> トルコ・UAE・サウジアラビア
欧州 >>> イギリス・スペイン・イタリア・フランス・ドイツ・スウェーデン
アフリカ >>> 南アフリカ・エジプト・ジンバブエ・ケニア
北米 >>> アメリカ・カナダ
中南米 >>> ブラジル・アルゼンチン・メキシコ






























