海外進出企業インタビュー

掲載日:2014年8月11日

海外進出企業

ローカライズの見極めが肝心

プロフィール

グロービート・ジャパン株式会社

海外営業部 

石井 孝典

2001年、グロービート・ジャパン株式会社に入社。「らあめん花月 嵐」で店長を務める。海外人材の受け入れ・教育、海外店舗のオープン補佐、スーパーバイジングなどを担当。2011年、海外FC展開を始めるにあたり、海外営業部の責任者となる。

現地パートナーを尊敬し、イチからブランド力を構築せよ!

貴社の事業についてお教えください。

弊社は、「らあめん花月 嵐」「とんこつらぁ麺 CHABUTON」などの飲食店経営、フランチャイズ事業を展開しております。2013年には20周年を迎えますが、ラーメンチェーン店としては後発です。現在、国内に270店舗、海外に18店舗を展開しており、2012年中には300店舗を達成したいと考えております。弊社のアピールポイントとしては、何と言ってもメニューです。毎月、他の店舗さんや有名人とのコラボ商品を企画しております。
 
他の飲食業に比べ、ラーメン業界はまだまだ味一本で勝負するという雰囲気があります。言い方を変えると、味に甘えてしまっているということです。他業態は競争が激しく、味以外の付加価値をつけることに積極的です。たとえば、コンビニでは料理人とのコラボレーション商品を企画したり、居酒屋では新しいサービスを開発したりしています。そうした他業態の工夫を応用することで、ラーメン業界にはまだまだチャンスがあるはずと考えております。
 
実は、こうした取り組みを嫌がる人が、お客さんにも同業者にもいらっしゃいます。しかし、コラボしたいと先方から問い合わせを受けることも増えてきていますね。

海外進出事業の内容についてお教えください。

台湾に「らあめん花月 嵐」、タイに「とんこつらぁ麺 CHABUTON」を、それぞれ9店舗ずつ展開しています。グラフを見ていただければ分かるのですが、どちらも売上・店舗数ともに順調に伸びております。
 
シンガポールでも話が進んでいますね。実際、シンガポールにはすでに多くの日本のチェーン店が進出していて、ラーメン市場が成熟してきているんです。飽和してるといってもいいかもしれません。ただし、弊社のやっているような戦略はまだ持ち込まれていない。そこがチャンスだ、ということで現地企業にも興味を持ってもらい、話を進めている段階です。また、インドネシアやマレーシアにも進出予定です。

なぜ海外進出されようと思われたのでしょうか?

もちろん、事業を拡大させていくためですが、時代の流れもあります。一時期のラーメンブームを経て、もはやラーメンは日本の食文化に定着しました。国内での競争も激化しますし、海外に目を向けていくのも当然の流れだと思います。

ひとつ面白いマレーシアでの調査結果があるんです。「日本に来て食べたい食べ物」に関する調査なのですが、昔は「寿司」「天ぷら」「刺身」「とんかつ」といったものが上位でした。しかし、今では2番目にラーメンが挙がるんです。

海外から見たラーメンは、もはや日本食なんですね。だから、その昔、寿司屋さんが海外に進出していったように、日本を代表して文化を発信して行かなければいけないな、と思っています。「日本ここにあり!」という感じを、業界全体で切磋琢磨して創りあげていきたいですね。

海外進出にあたって苦労したことはありますか?

それは苦労の連続ですよ。私たちは何とかうまくやっていますが、うまくいっていない飲食店も多いです。やっぱりそれだけ難しい。

私達が一番気を使っているのは、「ローカライズしていい場所」と「いけない場所」の見極めです。味を変えるのか、メニューのラインナップを変えるのか、といったことです。そして、絶対変えてはいけないのは日本らしさ。つまり接客サービスの良さですね。
 
ラーメン店に関して言うと、海外ではレストランとして受け取られるんです。だから、サイドメニューを充実させて、シェアもしやすくしなくてはいけません。
 
味に関しては、企業判断によりますね。どちらがいいかは、一概には言えません。売価にもよるでしょう。日本と同じ材料を仕入れて値付けすると、現地では高い値段になってしまいます。それでも、あえて本場の味を謳い、値段を高めに設定するというのも戦略の一つです。日本人が「あれは日本の味だ」と、口コミで広めてくれることも期待できますし。
 
ただ、味もトムヤムクンラーメンのようにローカライズさせ、量を少なく値段を抑えるというのも戦略の一つでしょう。「はちばんらーめん」さんなんかは、その手法でタイに90店舗ほど展開して、成功していますよね。

なるほど、ありがとうございます。 さて、話は変わりますが、なぜ出島を利用されようと思ったのでしょうか?

経緯から言うと、突然、海外展開の担当になり、海外進出に関しては右も左もわからなかったんです。

国内店舗での海外人材の受け入れや教育、海外店舗のオープン補佐などは経験していたのですが、FC展開のパートナー探しなどについての知識は全くありませんでした。会社自体にも、それまで海外の企業から話を持ち込まれることはありましたが、積極的に探してはいなかったのでノウハウの蓄積もない。

それでイチから色々と情報収集していく中で、出島というポータルサイトにたどり着いたんです。多くの企業が紹介されていて、業務内容がわかりやすく、とっつきやすかったので、利用させていただきました。
 
個人的に、「急に海外展開の担当になった」というようなことは、これからどんどん増えてくると思っています。私もセミナーなどに参加して、そうした方に知り合うことは多いのですが、既にやってる方から見ると知らないことが多いと感じます。

実際に利用されたご感想は?

紹介いただいた企業からすぐに連絡が来て、一時的にかなり忙しくなりました(笑)。

実際にある企業と契約を結んでいただくこともできましたし、感謝しております。また、ご紹介いただいた企業さまは、みな親身になって色々とお教えくださり、それが本当に良かったですね。おかげ様で相場感なども身につけられたと思います。
 
インドネシア、マレーシア、シンガポールなど、複数の国への進出を考えていたので、全てを網羅するポータルサイトだというのも魅力的でした。

海外進出成功の秘訣は何だと思いますか?

現地パートナーの質が最重要だと思います。そのためには厳正なる選別を行う必要があります。そして自分たちのことも知ってもらわなければなりません。そうして、お互いが尊敬しあえる関係になること、それが秘訣ではないでしょうか。
 
ラーメンの場合、どこの企業も「日本の」という枕詞をつけて出てきます。その一方で、そのラーメン屋自身の看板、つまり日本でのブランド力はゼロになってしまいます。実際に食べてみて、ブランド化されていく。ラーメン以外でも同じ事でしょう。
 
それを一緒に作っていくパートナーは、やはり何よりも重要です。
 
「日本での実績は捨て、イチから作り上げていく」そういう気持ちがないと、足元をすくわれると思います。基本的に、日本でうまくいっているところが進出していくにも関わらず、明暗は分かれます。日本料理とは何なのかも研究して行かないといけないですね。普段意識しませんが、焼き肉は海外に出れば、韓国料理です。そう考えると、日本の企業が進出するには相当な工夫が必要になってくるはずです。

御社の今後の展望をお聞かせください。

みなさん、弊社のようなフランチャイザーが海外進出すると聞くと、グロービート自身が海外に出ていき、現地で個人や法人で開業したいという、いわゆるフランチャイジーを募ることを考えます。しかし、私達はそうではなく、現地での私達の代わりになれる存在、つまり現地のフランチャイザーを作っていこうとしています。
 
たとえば、日本マクドナルドはマクドナルドの子会社ではなく、日本でのパートナー企業です。つまりマクドナルドという会社が世界に進出しているのではなく、マクドナルドの商品がパッケージとして海外進出しているということなのです。

私達も目指すところは「らぁめん花月 嵐」というパッケージを世界中に届けることです。そのために世界の国々で尊敬しあえるパートナーを探していくことになります。ですので、国内の場合とは違い、今のところ海外では個人の開業は受け付けていません。

今後、海外進出を考えている日本企業にメッセージをください。

日本というものをちゃんと認識するためには海外に出ていかなくてはいけないと思うんです。出てみると、どれだけ日本という国が愛され、尊敬されているかがわかります。それを自覚することなしに、日本という国の未来はないと思っています。
 
たとえば、人に謙虚に物を教え、伝えていくということをできるのは日本人だけです。相手の価値観を大切にすることに長けた民族なんです。今後は、それを自覚して海外に出る。そうすると、世界における自分たちの活かし方を考えざるを得ないですよね。その先に成功があると思うんです。
 
私の経験談として、海外に行って一番勉強しなければいけないのは日本のことでした。日本のラーメンについてはすべて知っていると思って聞いてきます。もちろん、スカイツリーといった時事ネタも説明できないといけない。
 
その中で、不思議と海外の人の良さもわかってきて、尊重しあえるようになります。是非、自分たちを知って、楽しく暮らしていくためにも海外に目を向けて行きましょう。

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