海外進出企業インタビュー

掲載日:2025年8月22日

海外進出企業

海外展開を「一歩」進めるための “INFORICH・梶流” ネットワーク構築術

日本企業にとって重要戦略の一つとなった「海外展開」。重要性は理解しつつも、なかなかスタートできない企業もいれば、始めてみたものの思うように進まなくなっている企業もいらっしゃるかと思います。

しかし、海外展開を進めていく上で、そのハードルを超えるために重要となる「一歩」があるはずです。

そこで、2025年1月に「Digima~出島~」が主催したセミナーでは、海外展開を実施している先人たちに、その「一歩」をどの様に踏み出していったかをご教示いただきました。登壇していただいたのは、株式会社INFORICH 執行役員Officer(Global担当兼営業担当)である梶様です。株式会社INFORICH様は、2018年にモバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」をローンチし、現在全世界に約65000台設置。香港やシンガポールをはじめとしたアジア地域やオーストラリアで現在展開中で、2024年10月イギリスに子会社を設立し、今後ヨーロッパ地域にも拡大していく予定とのこと。まさに今、世界各国に展開し、海外進出の最前線で成功している秘訣についてお話しを伺いました。

本記事は、その内容についての要点をインタビュー記事としてまとめたものです。是非、御社のビジネス展開に活かしてください。

梶 桃郎

プロフィール

株式会社INFORICH

執行役員Officer(Global担当兼営業担当)

梶 桃郎

東京生まれアメリカ育ち。アクセンチュアにて国内外のプロジェクトを牽引。その後、サンフランシスコのITベンチャーのエグジットや、国内一部上場企業の関連会社役員を経て、その他、数多くの海外ベンチャー企業の日本進出及び国内オペレーションの立ち上げを支援。

1. 情報収集や市場調査を「一歩」進めるためには?
 海外展開企業同士のネットワークを構築! 身近な海外展開コミュニティを築こう

インタビュアー: 海外展開において、情報収集や市場調査は非常に重要な要素ですよね。特に、企業同士のネットワーク構築が有効だとお聞きしました。実際に、どのように海外展開企業同士のネットワークを作り上げてきたのでしょうか?

梶様: はい、私たちは常に海外展開を進める企業同士が意見交換できる場を提供することを大切にしています。これにより、お互いの経験をシェアし、成功例や失敗例を共有することが可能になります。

具体的には、定期的な勉強会やネットワーキングイベントを通じて、同じような課題を持っている企業とつながり、情報を交換しています。特に重要なのは、業界ごとの特性や地域ごとのニーズの違いを理解することです。ネットワークを作ることで、競争相手だけでなく、協力者としての関係も築くことができ、互いに支え合いながら進展できるのです。

進出検討企業に最も多い課題「進出国を選定するには?」

インタビュアー:海外展開を考えている企業が最も頭を悩ませるのが「進出国選定」だとよく聞きます。その選定プロセスについて、どのようなステップを踏んでいますか?

梶様: 進出国選定は非常に重要なプロセスで、しっかりとしたデータに基づいた判断が求められます。まずは、ターゲットとなる市場の経済規模、成長率、そして政治的安定性を評価します。その次に、消費者の嗜好や文化的背景、競争環境を調査します。

私たちは、現地のビジネスパートナーと連携して、詳細な市場分析を行います。データの収集には、現地の商工会議所やビジネス団体が提供する市場レポートを活用したり、現地に駐在している人々の意見を聞くことも大切です。また、現地の消費者とのフィードバックを得るために、インタビューや調査を通じて情報を得ることも重要です。

重要な事前調査プロセスについて

インタビュアー:進出国を選定した後、事前調査が必要だと思いますが、その調査プロセスについて教えていただけますか?

梶様: 事前調査は進出国選定後の次のステップで非常に重要です。まず、業界ごとの市場動向、消費者動向を把握するために、現地の競合他社の動向をしっかりと分析します。特に注目すべきは、価格帯や製品ラインナップ、マーケティング手法です。さらに、法的規制や輸入税、現地でのビジネス慣行についても深く調査します。

これらの情報を基に、進出先におけるリスクを洗い出し、最終的にどのような戦略でアプローチするかを決定します。この段階で、外部の専門家やコンサルタントを活用することが多いですね。

緻密な調査の実施がポイント

インタビュアー: 調査を行う際のポイントはどこにありますか?

梶様: 緻密な調査がカギを握ります。特に「現地に行って実際の環境を見る」ことが大切です。どれだけデータが豊富でも、実際にその場所に足を運ばないと見えてこないことが多いです。例えば、現地の文化や習慣、消費者の行動パターンを肌で感じることができます。また、現地のパートナーとともに訪れることによって、直接的なビジネスの感覚を掴むことができます。この実地調査により、データだけでは見えなかったリスクやチャンスを発見できるのです。

必要に応じた外部支援の活用は「成功の鍵」

インタビュアー: 外部支援を活用するタイミングについてはどう考えていますか?

梶様:外部支援は非常に重要です。特に現地の法律や税制、規制の理解が求められる場合、専門家の力を借りることが不可欠です。また、現地の人材を雇用する際には、現地での採用や労務問題に精通したコンサルタントのサポートを受けることが多いです。現地の知識やネットワークを活用することで、リスクを最小限に抑えつつ、効率的に事業を展開することができます。適切なタイミングで外部支援を得ることが成功への近道だと感じています。

2. 海外の潜在顧客、新たな顧客開拓の「一歩」を進めるためには?  展示会を有効活用! 現地ローカルとのネットワークを築こう

インタビュアー: 展示会を活用することが顧客開拓において重要だと伺いました。どのようにして展示会を活用していますか?

梶様:展示会は、現地市場に対する理解を深め、潜在顧客と直接会話できる貴重な機会です。実際に私たちも、いくつかの国で展示会に出展し、その国の企業や消費者と直接対話をすることを重視しています。展示会では、製品を実際に触れてもらい、その反応を見ながらマーケティング戦略を調整することができます。また、現地企業の担当者と直接話すことで、どのようなニーズがあるのかを直接感じることができ、実際の商談につなげやすくなります。

現地を直接見て、現地企業と直接対話することの重要性

インタビュアー: 現地に足を運んで直接対話することの重要性について教えてください。

梶様: 現地を直接見て、企業と直接対話することは、オンラインや電話でのやり取りとは異なり、非常に価値があります。現地のビジネスマンは、直接会うことで信頼感が増しますし、商談がよりスムーズに進むことが多いです。さらに、現地の市場を肌で感じることによって、商習慣や文化的な違いもよく理解できます。実際に現地を訪れることで得られるインサイトは非常に多く、これは現地に住んでいる人々と対話しないと得られないものです。

海外における顧客開拓のノウハウは?

インタビュアー: 海外市場で顧客開拓をする際、どのような方法を用いていますか?

梶様: 顧客開拓には、まず「ターゲットを絞る」ことが重要です。その国のどの層が自社製品に適しているのか、需要が高いのかを調査します。次に、リードジェネレーション(潜在顧客の獲得)を行い、見込み客をリストアップします。これには、展示会やオンライン広告を活用することが多いです。そして、その後のステップとして、リードが関心を持った段階で、製品デモや商談を進め、最終的にはコンバージョン(契約成立)へと繋げます。このプロセスを繰り返し、徐々に顧客基盤を広げていきます。

長期的な関係を築くための「評価のプロセス」

インタビュアー: 顧客を評価する際、どのような基準を設けているのでしょうか?

梶様:  顧客評価には、まず「関心度」と「購入意欲」を見極めます。例えば、どの程度自社の製品に関心を持っているのか、また商談後のフォローアップの反応から購入意欲を判断します。次に、その顧客が長期的に付き合うことができるパートナーかどうかを考えます。ビジネス関係が続くかどうかは、最初の評価段階で見極めることが重要です。

3. 海外企業との商談を「一歩」進めるためには?  準備こそすべて! 信頼される商談でネットワークを強固に!

インタビュアー: 商談を成功させるために、最も重要だと思うことは何ですか?

梶様: 商談で最も重要なのは、準備です。事前に相手企業について徹底的に調べ、その企業のニーズや課題を理解することが大切です。また、商談の際には、単に自社の製品やサービスをアピールするのではなく、相手が抱える問題を解決する方法を示すことが求められます。信頼される商談ができると、自然とネットワークも強化され、今後のビジネス展開が円滑に進むことが多いです。

インタビュアー: 本日は貴重なお話をありがとうございました。

《インタビューの元となったセミナー動画も視聴できます!》

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