海外進出事例集

代表取締西側様_01

飲食・宿泊業 ほか

日本とメキシコがより愛される世界を創る【株式会社 Encounter Japan】

株式会社 Encounter Japan( Encounter de Mexico Japon S.A de C.V )

今回は、『株式会社Encounter Japan』の海外進出成功事例をご紹介します。

メキシコ合衆国において、日本食レストラン経営、日本の食産品の卸売販売など幅広い事業を展開する同社。

学生時代の海外放浪を通じて「居場所」の大切さを実感。その後の総合商社勤務を経て、「自分の人生を懸けて“日本と中南米”に携わりたい」という想いで、メキシコでの海外事業をスタートさせた代表の西側赳史氏にお話をうかがいました。

2018年9月25日

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今回は、『株式会社Encounter Japan』の海外進出成功事例をご紹介します。

メキシコ合衆国において、日本食レストラン経営、日本の食産品の卸売販売など幅広い事業を展開する同社。

学生時代の海外放浪を通じて「居場所」の大切さを実感。その後の総合商社勤務を経て、「自分の人生を懸けて“日本と中南米”に携わりたい」という想いで、メキシコでの海外事業をスタートさせた代表の西側赳史氏にお話をうかがいました。

世界一周の旅を経て実感した「居場所」の大切さ

代表である私・西側は学生時代に1年半をかけて世界一周の旅を経験しました。その旅を経て実感したのが、人々にとって発着点となるような「居場所」があることの大切さでした。

旅の道中で魅了された街に、自らの、そして誰かの「居場所」を自身でも作りたいという思いを抱き、それを形にしたものが当社「Encounter Japan」の前身となるカフェバー「Cafe & Bar ENcounter Shibuya」となります。

オープンの翌年には法人化させ、晴れて「株式会社 Encounter Japan」が誕生しました。現在は「居場所創生運営部門」「輸入卸売部門」「クリエイティブ部門」「メディア部門」の計4部門にて構成されています。

日本の食産品の海外向けブランディング、メキシコ合衆国での幅広い実績を評価され、中小企業庁補助事業である「ふるさとグローバルプロデューサー育成支援事業」では、“2016・2017年度のOJT受入先企業”を拝命しています。

4つの部門を有機的に連動させた事業展開

先述の4つの部門を有機的に連動させながら、Encounter Japanにしか提供できないサービスや付加価値を最大化すべく日々事業に取り組んでいます。

下記に各部門のサービス概要をご説明します。

■1.「居場所創生運営部門」
東京都内での店舗運営に加え、メキシコ合衆国グアナファト州グアナファトにて日本食レストラン兼宿泊施設である「Hostal & Bar Encounter Guanajuato」に加え、同州レオン市内にて日本食レストラン兼日本食材店「GOEN」を経営しています。

■2.「輸入卸売部門」
輸入卸売として、広島県の「ますやみそ」の商品を中心に、中国地方の良質な日本酒や味噌、加工食品等を取り扱い、主にメキシコシティ市内のホテルや日本食レストランへの卸売販売を行っています。またこれらの商品については直営店舗での活用も行っています。

■3.「クリエイティブ部門」
CM動画やドキュメンタリー動画、グラフィック制作をメインとしながら、中南米市場を対象としたマーケティングを行っています。また、広島県食産品の中南米市場向けPR動画の制作実績もございます。日本人とメキシコ人のセンスやアイデアを融合しながら、クリエイティブソリューションを企業向けに提供しています。

■4.「メディア部門」
メキシコに住む日本人やメキシコに興味のある日本人へ、安心とワクワクを届けることをコンセプトとした「メキシコ総合情報サイトamiga(アミーガ)」の運営。メキシコの観光、治安、ニュース、グルメなど多岐に渡る情報を提供しています。

世界放浪→総合商社勤務→起業

世界一周の旅を終えた私にとって、「居場所づくり」と「中南米と日本の架け橋となる」ことが実現したいことでした。

そもそもが、渡航前に想像していた中南米のイメージと、実際に旅して触れた中南米の現実は全く違っていました。そんな中南米の魅力に惹かれた私は、学生時代の海外放浪を経て、総合商社である双日株式会社に入社。中南米向けの自動車部門に配属されました。

そこで中南米の自動車に関わるビジネスに携わり、メキシコ合衆国、とりわけ同国の中央高地に位置するグアナファト州へ、相次いで大手日系企業が進出している状況を目の当たりにすることで、数10年前の東南アジアのように今後マーケットが成長して行くと確信しました。

さらに、1億2,000万人の人口を擁する魅力に加えて、いまだベンチャー企業の進出が見られない、つまり競合となる企業が存在しないことに商機を見いだし、同社を退社した後、先述の「Cafe & Bar ENcounter Shibuya」を立ち上げ、学生時代に魅了されたメキシコへにて現在の事業を執り行うに至りました。

メキシコ進出の前に立ちはだかったファイナンスの壁とは…?

メキシコ進出前に行った施策としては、最初に訪日関連のコンテンツビジネス事業に取り組む予定であったことから、まずはマクロなメキシコのマーケット調査を実施しました。

インターネットを駆使して、英語、スペイン語、日本語のそれぞれの情報を収集しましたが、当然ながらネットで収集できる情報には限りがあるので、法人設立やビザ取得に関わるデータについては、事前にしっかりと理解しておく必要があります。

また現地のマーケットデータなどの調査は、数回に渡る現地視察を通じて行い、税務や現地ならではの細かい許認可関連については、メキシコ人のプロフェショナルや現地パートナーに調査してもらうことが最も効率的であることは間違いありません。

加えて、グアナファト州にて開業した飲食兼宿泊施設である「Hostal & Bar Encounter Guanajuato(ホスタル&バー エンカウンター グアナファト)」の立ち上げに掛かる費用の一部を獲得するため、クラウドファンディングを通じて、計160名から160万円前後の資金調達を行っています。

正直なところ、海外への直接投資を行う上で、想像以上に日本国内の金融機関からの融資に難航し、また「メキシコ」という日本人にとって馴染みのない市場で行う事業であることに加え、ベンチャー企業であることから、エクイティファイナンス(※新株の増加を伴う、原則として返済期限の定めない資金調達方法)での調達も実現できませんでした。

海外、とりわけメキシコや中南米での海外進出に関する、日本国内および現地でのファイナンスは、現状、非常に難しいことを理解しておくべきだと思います。

メキシコでの事業展開にともなう3つの苦労

現地で事業を行う日々の中で、メキシコ特有の苦労や障壁は日常的に発生します(笑)

あえて進出に当たっての苦労を申し上げるとすれば、以下の3つとなります。

■1.煩雑な許認可取得及び税務・会計の理解
日本で飲食店の開業及びアルコールの提供におけるハードルは低いのですが、メキシコでは非常に困難です。アルコール提供のみならず、全ての事業に関わる許認可の取得には各社が頭を悩ましています。

また、税務・会計が非常に複雑である点も私の想像以上でした。毎月の事業結果をもとに、消費税・法人税を支払う必要があることから、キャッシュフローが非常に読みづらく、予算も立てづらいのが現状です。税務・会計の知識が足りないままメキシコで事業を進めると、思いがけないキャッシュアウトや予期せぬ違反などを通じて痛い目にあいます。

■2.スケジュール通り物事が進まない
プロジェクトの立ち上げは、先述のように許認可取得の遅滞などを通じて、ほとんどと言っていいほど予想通り進みません(笑)

潤沢な資金を準備するのが難しい場合は、事前にかなり余裕を持ったスケジュールを作成することが重要です。立ち上げに関わる人材の給与、固定費を十分に確保しておかないと、進出を果たせない結果になる可能性があります。

■3.人材雇用及び定着が難航
前述の通り、様々なハードルを乗り越えた当社にとっての一歩目であった「Hostal & Bar Encounter Guanajuato」の事業をスタートさせた際、オープニングスタッフが数ヵ月で全員辞めてしまった苦い経験があります。

レストランで働くスタッフの多くは、チップでの収入が大きなモチベーションとなる中で、開店当初は思うように客足が伸びず、彼らのモチベーションを保つことが困難となり、全員が退職してしまったのです。

新たな人財を採用するまで安定した営業ができず、メキシコ人を雇用することと定着させることの難しさを痛感しましたし、それは現在でも日々感じています。その経験から、インセンティブツアーとしてメキシコのスタッフを日本へ研修に向かわせるなどして、スタッフのモチベーションの向上と定着を目指しています。

中南米マーケットの中でもっともチャンスがあるメキシコ市場

日本とメキシコの人口は1億2,000万人前後と同じサイズですが、メキシコの平均年齢は27歳前後と非常に若い国です。ただし貧富の差が非常に激しく、いまだ銀行口座を持たない人々も多々存在します。

2017年には、フィンテック関連企業がブラジルを抜いてラテンアメリカ市場の中で最多数となったように、今後も様々な分野において、中南米市場の中でもっともチャンスがある市場となっていくでしょう。

また、大手自動車メーカーを始めとして多くの日系企業が進出していますが、大手といえど従業員育成や求人など、海外展開には様々な問題がつきものです。そこで弊社が展開する動画制作サービスやメディアでの広告配信サービスのような、メキシコでのB to Bサービスは今後も更に需要が拡大して成長してくととらえています。

また、トランプ政権に移行したことによるリスクについては、自動車を中心としたメキシコからアメリカにモノを輸出する際の「関税」については懸念事項ではありますが、国内消費は今後も増加していく見込みがあり、引き続き様々な分野での商機が存在します。

確かに、モノづくりの拠点としてのメキシコ→市場としての米国…と言うビジネスモデルは今後リスクが拡大していく可能性はありますが、それ以外で大きな問題は現時点で発生しておらず、また今後も顕著化しないのではと考えています。

大手日系企業が多数進出を果たす「グアナファト州」の可能性

私たちがメキシコでの事業を伸長できている背景としましては、現地で事業を行なっていく日々の中で、事前のマーケット調査を通じて、グアナファト州における日本食レストラン・食材店の商機が十分に存在すると確信できていたこと、及びメキシコの商習慣や税務・会計などにおける理解に加えて、それらをバックアップしてくれる政府関係者の存在が挙げられます。

具体的に説明すると、弊社が拠点を置くグアナファト州は、近年大手日系企業が相次いで進出しており、ここ6〜7年間で日系企業数は3倍に増加し、1,100社を超えています。

また弊社の新店舗を開業した同州のレオン市には2,500人の日本人が生活をしています。さらにメキシコの情勢を見ると、自動車産業の発展に伴い経済も急速に発展しつつあります。それらの要因によって、メキシコ人中間層が増加しており、高級なイメージのある日本食が日常的なものになりつつあるのです。従って、この地で「日本」 をテーマとした店舗は必ず成功すると考えていました。

海外で暮らす日本人に必要な2つのこと

法人または個人に関わらず、海外で何かをする際に必要なことは2つあります。それは「主張力」と「受容力」です。

メキシコを始めとする海外では、皆が自身の意見を主張します。日本人は自己主張が苦手だと言われていますが、それなしでは、自身が属する企業の想いや戦略はもちろん、個人として何を考えているのかも理解してはもらえません。

国籍が異なるチームとして一致団結する上でも、メキシコで事業を行うことの目標や意味をしっかりとお互いに伝え合うことも大切であることは言うまでもありません。

また受容力の点でいうと、海外の日系企業は「日本での当たり前」と「日系企業のやり方」という2つの枠から外れることを嫌うように思えます。「郷に入っては郷に従え」の精神で、従来の方法論や成長実績を踏襲するのではなく、マーケティング戦略や人事戦略などについても、ローカルの意見や現地で成功している企業から学び、うまく噛み砕いて自らの事業に浸透させることが、非常に重要であると考えています。

「誰もまだ空けていない宝箱をメキシコで探す」

私は日本で生まれ育ち、国籍も日本です。現在は1年のうち、メキシコで約8ヵ月、日本で3〜4ヵ月の時間を過ごしていますが、悲しいかな日本に帰るたびに感じるのが、この国全体に活気がないということ。

日本が今まで創ってきた文化や歴史が非常にオリジナルかつ魅力的であるため、現在はインバウンド需要が高まり、日本食なども海外で人気です。しかし、これらは過去の遺産であり、いわば貯金を切り崩しているようなものだと考えています。私は、次世代はもちろん、さらに次の次世代において、今後も日本が世界でプレゼンスを発揮できるような未来を作るべく、日々努力を続けていきたいと思っています。

加えて、メキシコで事業を行なってるベンチャー企業が非常に少ないことから、「誰もチャレンジしてないことに挑戦する」ことにも、ロマンを感じています。まるで「空いてない宝箱を探す」ような魅力を感じており、自身が恋したメキシコと日本の架け橋にならなくては!…という使命感に駆られながら、目の前の仕事に取り組んでいる毎日です(笑)

最高の仲間と共に日本とメキシコがより愛される世界を創る

今後の事業展開としては、「食」と「人材」の分野において、川上から川下までを弊社のサービスで一気通貫して提供すること、さらに将来的にはメキシコと日本に限らず、その他の国々でも事業を横展開していきたいと考えています。

現在「食」においては、食材の卸売に加え、直営店舗のレストラン及び食材店を通じて消費者に向けて提供を行っていますが、将来的には「メーカー機能を持って生産機能を獲得」した後に「ECを通じた食材の販売」を実現したいと思っています。ECについては2018年中にスモールスタートとなるとは思いますが、早急に開始する予定です。

また「人材」に関しては、現地での専門学校の立ち上げに興味があります。調理専門学校やクリエイティブに特化した学校や語学学校を通じて、メキシコ人の方々に人生の選択肢が増えるきっかけと場を創りたい。

卒業生にはEncounter Japanで就職する機会や、弊社のネットワークを通じてメキシコ国内はもちろん、日本での就労を紹介できるような仕組みができれば嬉しいですね。

さらに、メキシコの食材やメキシコ料理店を日本やアジアで展開することにもチャレンジしたいと思っています。

いずれにせよ、「最高の仲間と共に日本とメキシコがより愛される世界を創る」ことをビジョンに掲げて、今後も積極的な事業展開を行っていきます!

企業名株式会社 Encounter Japan( Encounter de Mexico Japon S.A de C.V )
業種・業態飲食・宿泊業 ほか
進出国
事業内容

・飲食・宿泊施設運営事業
・メディア運営事業
・輸入卸売事業
・動画制作事業
・デザイン、クリエイティブ制作事業

法人設立年2016年5月
海外進出時期2016年12月
日本法人所在地〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-19-6 道玄坂OKビル 4F
海外所在地

Callejón Campanero 5, Guanajuato, estado de Guanajuato, México

代表者西側赳史
資本金270万円
電話番号070-6475-1491
URLhttp://encounter-japan.com
依頼したサポート内容

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